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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act14 2人の能力者

ミハルが追った先では、ザルバとハンネが対峙していた。

追いかけたミハルの先では。


「貴様。一体何者だ?本当のザルバ二等兵を何処へやったんだ?」


ハンネがザルバの後ろから呼び止める。


「何の事だい、ハンネさん。僕はザルバだよ」


振り返りもせず、ザルバがハンネに答える。


「そうかい。

 私の知っているザルバ二等兵の資料によると、

 ザルバ・ガンオム少年は銀髪だったと思うが・・・違うか、邪な者よ?」


ハンネが切れ長の瞳を更に細めて訊く。


「何の事だい、邪な者って。

 僕は銀髪が嫌で黒く染めただけだ。その資料ってのが古いだけだろ」


ザルバは尚も振り返らず答える。


「それより君は何故こんな事を訊くんだい。君こそ一体何者なんだハンネ・パルミールさん」


ザルバはそう言うと、ポケットに手を入れる。


「さあて・・・何者でしょうね。

 少なくともあなたの様に悪さはしないわ。

 砲弾の件も砲尾の件も、あなたが仕出かした事でしょ。何が狙いなの?」


ポケットに手を入れたザルバに警戒しつつハンネが答える。


「さあ、何の事を言っているのか・・・僕には解らないな」


ザルバはとぼけて歩き出す。


「解らないって?

 ならこのジョイントを知らないとでも言う訳?

 昨晩整備場から出た時に捨てたでしょう。見ていたのよ、あなたがこれを捨てた所を」


ハンネが一本のプラグジョイントを取り出す。


「これを壊れた砲から抜き取った事を証明して見せれば、

 あなたは破壊工作者として捕えられるわ。目的を達する事無くね・・・」


ハンネの言葉に足を止めたザルバが、


「何処まで知っている、ハンネ」


ポケットからゆっくりとサイレンサー付きの拳銃を抜き放ち振り向いた。


「ふふふっ。私はあなたの目的が知りたいだけ。私は私の任務を邪魔する者を排除するだけ」


ザルバが振り向いた先には、ハンネの姿は消え失せていた。


「何っ?」


驚くザルバが辺りを見回して、ハンネの姿を探している頭上から。


「私の任務の邪魔にならないのなら、放って置いてあげる。だけどもし邪魔と判断したなら・・消す」


ハンネの声が誰も居ない空間から聞こえる。

圧倒的な力の差を感じるザルバが息を呑む。


「さあ言いなさい。あなたの目的は何?」


ハンネの声が威圧的にザルバを脅す。

その声に冷や汗を垂らすザルバが答える。


「くっ・・くっくっくっ。

 目的?それはあの2人を別れさせる事さ。

 リーン皇女とシマダ・ミハルを。2人の間に溝を作り、仲違させる。

 そうすれば<双璧の魔女>ではいられなくなる・・・」


ハンネの威圧に屈してザルバが目的を告げる。


「ほう。でもそれが最終目的な訳じゃないでしょ。本当の目的を言いなさい」


ハンネの声が更に強く回答を求める。


「くっ!最終目的だとっ!それを知ってどうするって言うんだ。貴様こそ答えろ!」


ザルバが声のする空間に向けて叫ぶ。


「ふふふっ、あなたに答える必要なんてない。

 さあ!言いなさい、さもなくば今此処であなたを消去ってもいいんだよ」


見えないハンネがザルバを脅す。


「くっ!貴様・・・。貴様は一体?」


ハンネの声が告げる。


「私・・・か。

 私は聖剣の巫女、聖王女を守る剣巫女けんなぎ

 それが私の任務。それ以外の事には手を出さない・・・

 さあ言いなさい。邪な術を与えられし者よ!」


ー  聖剣の巫女・・・剣巫女ですって?


ザルバ達を追って来たミハルが物陰からハンネの声を聞いていた。


ー  この2人は共に能力者なんだ。邪な者かは別として・・・


黙って2人の会話を立ち聞きしているミハル。

そのミハルに気付かない二人は続ける。


「邪な術とは言ってくれるなハンネ。僕はあの方から力を授かったのさ、邪顔の術と共に」


ー  あの方?一体誰の事を言っているの?


「・・・お前の主か。お前に命令を下す者に力を授かったと言うんだなザルバ?」


ハンネの声が求める、あの方と言う者の正体を。その力を授けた者の名を。


「我が主。そうさ、あの方の力は絶対だ。

 僕に力を授け、この世界を変えようとされている。

 その為には必要とされているんだ、あの娘の力が・・・」


ザルバがハンネの声に答える。


「お前の主は何をするつもりだ。

 世界を変えるだと?それに必要とされているのが・・・ミハル、シマダ・ミハルだと言うのか?」


ー  あ、私?私が何故?


ザルバとハンネの会話に何故自分が出てくるのか解らず、ミハルは戸惑う。


「そう、あの娘を我が主は欲しているのさ。何故だかは知らないがな」


ザルバは肩を窄めて答えた。


「一つ・・・訊く。

 お前の狙いはリーン皇女ではないのだな。聖王女に危害は加えないつもりなのだな?」


ハンネの声がミハルの耳を突く。


「そう、僕は皇女に危害を加える気は無い。そんな命令は受けてはいない」


「ふん、解ったわ。ならばお互い邪魔をしないことね。

 私はリーン皇女に危害を及ぼす者を倒すのが使命。

 聖王女を守る剣巫女。覚えておく事ね、偽ザルバ・・・」


有無を言わさぬ声が空間から辺りを震わす。


「それは助かるよハンネ。じゃあシマダ・ミハルに手を出してもいいんだな?」


ザルバが細く笑んで言った。


「私の任務を邪魔しない限りはね。

 あなたの主が邪な者だとしても、私には関係ない事だから。

 そう言っておきなさい、邪顔のザルバ。あなたの主に、邪な主に・・・」


その声が徐々に遠のいていった。


ー  ハンネさん・・・消えていった


ミハルが物陰から様子を伺っているのも知らず、ザルバは消え失せたハンネの声を見上げて、


「くそっ、急がなければいずれハンネに邪魔されるか、正体がバレてしまう・・・」


焦りの色を顔に浮かべたその顔は、ミハルの弟マモルとは似ているが別の顔形となっていた。


立ち聞きしていたミハルは、ザルバを捕えるべきか泳がせておくべきか悩む。

そして、結論は・・・・。


次回 失態

君は自らの油断からトンでもない失態を犯す

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