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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act9深まる謎

2人の新兵。

その一人、ハンネの事を気に掛けるリーンとミハル。

謎の少女ハンネ・・・一体彼女は?


新入隊した二人の事を話あう。


「ミハル、どう思う?あの娘の事」


リーンが風に髪を靡かせながら訊く。

誰にも聞かれない場所・・・見張台で二人が話す。


「そうだね、もしマクドナード曹長の考えが的中していたとしたら、

 リーンがまだ目標なのは間違いないと思うんだ。

 でもその目的と命じた者が判らない。

 継承者はユーリ皇女に決まっているんだから、リーンを狙う理由なんて無いのに」


小首を傾げて難しい顔をするミハルに、


「でも、ミハル。そうとは限らないかもしれないよ。もっと別の目的が有るのかも知れないし・・・」


リーンは自分を狙っているとは限らないと言う。


「うーん、取敢えずは相手の出方次第ってとこかな。まずはその目的が何であるのかを知る事が優先だね」


城壁にもたれかかってミハルが言ったら。


「それにしてもあんな娘が・・・ねえ。一体誰が何を命じたのかしら?」


風で煽られる金髪を押えてリーンが呟く。


「うん・・・もしかしたらマクドナード曹長が言った様に凄腕の暗殺者かもしれない。

 人は見かけに因らないって言うし・・・」


ミハルは右手の宝珠を見詰めて訊いてみた。


「ねえ、ミコトさん。どう思う、あの娘の事」


<うむ。確かに何かを感じてはいるのだが、判らない。今は様子を見るしかあるまい>


そう答えた聖巫女に、リーンの宝玉が同意する。


<うん、ミコトの言う通り。微かな気は感じられるんだけど・・・

 それが邪な気なのかどうか。それすらも判らないんだ。決して油断してはいけないよ、リーン>


リインが2人の継承者に忠告する。


「はい、聖王女」


リーンも<双璧の魔女>に答えてから。


「じゃあミハル。あの娘に何か異変があったら教えてね。私も気付いたら教えるから」


「うん、判った!」


ミハルは了承して城壁から下を見るとそこには。


「ん?あれはラミルさん・・・。何をしているんだろ?」


ラミルが下の城壁で自分の髪飾りを握り締め、空を見上げている姿があった。


「ミハル、彼女から聞いたんだけど。

 ラミルのお兄さん・・・戦死されたそうよ。あの髪飾りは、お兄さんの形見なんだって・・・」


リーンがミハルの傍によってラミルを見下して教える。


「えっ?・・・そう・・なんだ。知らなかった」


ずっと故郷の空を見上げて立ち尽くすラミルを2人で見て、リーンもミハルも黙ってその姿を見詰めていた。




「先輩。ミハル軍曹、起きてください。当直ですよ!」


夜間当直の申し継ぎの為にミリアに起こされたミハルが、眠い眼を擦って起き上がる。


「ふぁあ。もうそんな時間?了解、別に何も無かったでしょ、ミリア?」


ミリアが上着を脱ぎだしながら、


「ふぁい、何もありませんでしたぁ・・・おやすみなさいぃ、ミハルセンパイィ・・・」


あくびをしながらベットへ潜り込んだ。


「はいはい、おやすみミリア」


上着を着て外套を掴んだミハルが受け持ちの見張台へと向う。


「ん?誰だろこんな時間に?」


ふと気付けば整備場で灯りが見えた。

懐中電灯の灯かりが車内から洩れている。


訝しんだミハルがそっと気付かれないように近付くと。

キューポラから出て来たのは・・・


ー  ザルバ君?どうして君が?


辺りの気配を窺ってキューポラから出て来たザルバの手には何かの部品が握られていた。

その部品をポケットに入れて何事も無かったかの様にザルバは整備場から出て行った。


「何をしていたんだろう、ザルバ君は?」


疑問を持ったミハルが車体を見上げて考える。


ー  彼が手にしていた部品、それが問題だ。明日の整備で解るだろうけど・・・


ミハルは当直に向う為、整備場を離れた。


ー  何だろう、胸騒ぎがする・・・


一人見張台で当直に立つミハルが外套を着込んで右手の宝珠に訊いてみた。


「ねえミコトさん。胸騒ぎがするんだけど・・・判らないかな?」


右手の宝珠の中でミコトが答える。


<継承者よ、それはリインに対してか、お前に対してのモノか?どっちなんだ?>


「えっ?判りません。ただ何となくそう感じてしまって・・・」


<今、感じている不安。

 それは2人に何かが起きようとしている事には違いない。・・・油断するな!>


ミコトにも的確には判らない様だった。


「ハンネさんとザルバ君。2人の新兵が何かを起こそうとしているのか。

 それとも全く違う何かが襲ってこようとしているのか・・・」


心配が不安となりいたたまれなくなる。


ー  リーンは大丈夫なのだろうか。

   ここで見張りを続けているより、リーンの傍に居たほうが良くはないかな?


リーンの身を心配するミハルがイライラと時間が過ぎるのを待っていた。


ー  間も無く当直終了時間だ。それまで何も起きない事を祈るだけね・・・


交代時間がくるのをひたすら我慢して待つミハルが、

出入り口に背を向けていると、人の気配を感じた。


「早かったですねラミルさん。助かりました、後をお願い・・・」


そう言って振り向いた先に居た者は・・・


ー  えっ!?ハンネ・・・さん?


振り向いた先に佇んでいたのは、新兵のハンネだった。


「先任搭乗員、ミハル・シマダ軍曹・・・」


銀色の前髪で切れ長の青い瞳を半ば隠したハンネがそう呼びかけた。


「こんな時間に何かしら、ハンネさん」


右手の宝珠に力を溜めてミハルが訊く。


挿絵(By みてみん)


「あなたが何故選ばれたかは知らない。けど、私は任務を遂行しなければならない」


ハンネは低いが良く通る声でミハルに語り掛ける。


「任務?それはどんな任務なの、ハンネさん?」


ミハルが身構えて訊くと。


「ふふふっ、いずれ判る。その時が来れば・・・」


そう言うと、ハンネはミハルに背を向けて立ち去ろうとする。


「待って!待ちなさいっ!」


引き止めるミハルにハンネは背中越しに。


「警告はしたからな、<双璧の魔女>さん」


そう告げると出入り口に行ってしまった。


慌てて追ったミハルの眼には、既にハンネの姿は何処にも映らなかった。

かき消す様に姿を消したハンネに、ミハルは言い知れない恐怖を覚えて立ち尽くしてしまった。


警告を告げられたミハル。

思い悩むミハル達は通常の訓練へと向う。


次回 訓練で・・・

君はこの訓練がただで済むと思っているのか・・・

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