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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act8真犯人は何者?

ザルバの元へ来たミハル。

訓練弾に実弾を混ぜたのがザルバで無いことを知り、その事実を教えた。

黒髪の2等兵が訊ねてくる。


「どうかしたんですか、軍曹?」


腕を組んで考えているミハルにザルバが問う。


「え?いや別に。

 ザルバ君はその訓練弾の中に一発実弾が混ざっていた事が解らなかったんだね?」


漸く真実をザルバに教える。


「えっ!?本当ですか軍曹・・・解りませんでした」


驚くザルバに笑い掛けたミハルが、


「ええ、本当。でもザルバ君は気付かなかったんでしょ。

 それはしょうがないよ、ミリアだって気付かなかったんだから。

 だから、ザルバ君には責任は無いから、心配しないで。

 この事は整備班長に調べて貰う様に言っといてあげるから」


そう言ったミハルは困惑顔のザルバの肩に手を添えると。


「大丈夫、心配しないでいいから。ここの整備長は物分かりの良い人だから」


そう心配をしないでいいと教えた。

そして・・・


「ザルバ君に塗装を頼んだ人って、誰なの?」


砲弾を並べた人物を訊ねる。


「え?はい。ハンネですけど・・・」


同時着任の少女の名を告げたザルバ。


「そう、ザルバ君。この事は誰もが知っているのかな?」


疑問点を訊くミハルにザルバが首を振って答える。


「多分ハンネだけが知っているんだと思います。

 何故なら彼女が急に体の調子が悪くなって、代わりに僕が塗装を引き受けましたから」


そう答えて下を向いてしまった。


「そっか、解った。ザルバ君、ハンネさんには私が訊いた事を黙ってて。私も誰にも言わないから」


ミハルはハンネがワザとそうしたのかを調べる事にした。


「じゃあザルバ君、私がハンネさんに直接訊いてみるから。内緒にしててね」


ミハルはザルバに口止めを頼んでマクドナード曹長の元へ行った。




「整備班長、少しいいですか?」


他の整備員と共に車体に取り付いているマクドナードに話し掛けた。


「おっミハルか。何だ?」


手を止めて車体から降りて来たマクドナードに、


「あの、ちょっとお話が・・・」


手招きして小声で話す。


「ハンネさん、どうですか?」


新入りのハンネの状況を聞くミハルに、


「うむ、どうやら整備向きとは言えないな。

 どちらかと言えば、特殊部隊向きなんじゃないのか・・と思うぞ」


マクドナードが車体上で他の整備員と共に作業をするハンネを見て呟いた。


「え?どうしてですか曹長?」


特殊部隊と聞いて訊き直すミハルに、


「ミハル、アイツの眼を見てみろ。

 何処にも隙がない、と言うかまるで戦場の最中に居るみたいに何かを探っているみたいだ」


マクドナードに言われてハンネを見るミハルの瞳には、

作業をこなしながらも辺りを窺うハンネの姿が映った。


ー  確かに何かを探している様な、それでいて何かを求めて居る様な気配を感じるな


「でも曹長。それだけで特殊部隊って言うのは、ちょっと・・・」


言い過ぎなのではないかと思った。


「いや、ミハルそうじゃない。

 長年整備をしてきたオレには解るんだ。

 あの娘は整備科を出てはいない。

 少なくともオイルや金属に手を染めた事がないのが、その匂いで解るんだ。それと・・・」


言い澱んだマクドナード曹長がミハルに向き直ると言った。


「あの娘の身体からは、血の匂いしかしない。

 いくつもの命を奪って来た者にしかしない死臭がするんだよ・・・」


マクドナード曹長が、険しい瞳でミハルに教えた。


「死臭・・・ですか?」


マクドナードにつられてミハルも真剣な眼で答える。


「そうだ、彼女は何かを探っている。

 そして、何かを行おうとしている。それが一体何なのか解らないが。

 今、オレは彼女を見張っているんだ、危険だからな。

 この事は先程リーン中尉に報告したよ。

 もし、彼女が暗殺者なら一番狙ってくるのは中尉だろうからな」


マクドナードの鋭い洞察力に感嘆したミハルが、


「そうですか曹長。

 そこまで考えておられたのですか。では何故彼女を捕えないのです。その訳は?」


疑問を投げ掛けるミハル。


「泳がせているだけさ。

 何もしてこないのならば、単なるスパイ活動に過ぎない。

 だが、その目標が暗殺となると話は別だ。

 その兆しが見えた時点で即、捕えるさ。

 誰の命令でやって来たのか、誰が黒幕なのかを吐かせて決着をつける。

 ・・・まあコッチの思い通りにいくかは解らんが。とにかく暫く泳がせておくさ」


マクドナードの言葉に納得してミハルが頷くと。


「じゃあ、曹長は砲弾の件を知っておられたんですね?」


ちょっと気になったミハルが訊くと、


「あ、気付いたかミハル。損な役回りをさせて済まなかったな。あはは!」


頭を掻いてマクドナードが謝った。


「あはは・・・じゃないですよ、もうっ。

 曹長が見張ってくれているのなら安心しました。

 私もザルバ君から聞いて疑ったので実情を訊きに来たのですが。

 では、この事は一応内密にしておきますね」


ミハルがマクドナードに念を押して立ち去ろうとすると。


「ミハル・・・気を付けろ、ハンネの事だけじゃない。何か臭うんだ、キナ臭い何かが・・・さ」


マクドナードが険しい表情でミハルに忠告する。


「え・・・はい。気に掛けておきます!」


その顔に頷き、ミハルはその場を離れた。


マクドナード曹長に教えられたミハルは、新入隊の少女をどう扱うかをリーンと話す。

その真犯人が何を考えてその行動に出たのか。

まだその真実をミハルもリーンも知らなかった。

次回 深まる謎

君はその瞳の中に潜むモノに戸惑う

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