魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act7仕組んだ者は?
またまた・・・査問が始まる。
「で、実際のところ何で気付かなかったの?」
リーンがジト目で訊く。
「あの・・・はい」
搭乗員全員が揃っている前で答えに詰まるミリア。
「まず第1に、最期の一発だけが実弾だった?」
「そ、そうです・・・」
ラミルに言われてミリアが答える。
「第2に、何故実弾と訓練弾の違いに気付かなかったのか?」
キャミーが顎に手を置いて訊く。
「う・・・それは今回の訓練弾が実弾と同じ重さだったからで・・・」
「そして第3に、何故実弾が訓練弾と同じ塗装をされていたのか・・・ですね?」
ミハルがミリアを庇う様に訊く。
「うえええぇん、すみませぇんっ。ミハル先輩ぃ」
涙目のミリアが謝る。
そう、リーンが今後の為に、誤射の原因究明を持ちかけた結果。
責任の出所がミリアにある事が判ったのだった。
「ホントにもう。呆っとしてたのはミリアじゃないか。
いくら塗装が訓練弾と同じだったからって、何時も砲弾を装填しているのなら解るだろ?」
ラミルがミリアに注意する。
「は、はいぃ。申し訳ありませんでした」
涙目のミリアが頭を下げて謝った。
「まあ、間違いは誰にでもありますから。許してやって貰えませんか小隊長」
キャミーが謝るミリアを庇ってリーンに頭を下げる。
「そうね、キャミーの言う通りだわミリア。装填に集中し過ぎての失敗だったと認めます」
リーンも今回の事を今更荒立てる気も無く、責任追及だけに留めた。
「問題はどうして一発だけ同じ塗装になっていたか・・・ですね」
ラミルが問題点を定義する。
「うん、確かに。マクドナード班長に申し継がないと。
同じ様な間違いを繰り返さないとも言えないわね」
リーンが砲弾の塗装を行った整備班に、知らせる為に立ち上がった。
「あ、リーン中尉。それは私が申し継ぎます」
ミハルがリーンを止めて、自分が知らせに行くと言った。
「ん?ミハルが・・・?そう、じゃあ任せたわ」
あっさりリーンは申し継ぎの件をミハルに任せて腰を降ろす。
「はい、では整備科へ行って来ます」
リーンの気が変らないうちにと、ミハルは小走りで搭乗員室から出て行った。
その姿を少し心配そうな瞳で、キャミーだけが見送った。
小走りで整備場へ向うミハルが思う。
ー きっとあの子が間違えたんだ。
まだ着任して日も浅いし。
この事を知ったら整備科の中で酷く怒られちゃうよね。
私から怒られない様にマクドナード曹長に頼んでみよう
そう考えて向っていたのだが。
「あっ?!」
整備場へ入った時、目の前に弟そっくりなザルバの姿が見えた。
ー そうだ、彼に確認しておこう
そう思ったミハルが声を掛ける。
「ちょうど良かった、ザルバ君。ちょっと訊きたい事があるんだ」
気安く声を掛けたミハルに振り返って、
「なんでしょうか軍曹?」
ザルバが姿勢を正して返答する。
その姿は何の悪びれた態度でもなかった。
ー やっぱり・・ザルバ君が塗装をしたとしても、気付いていないんだ。彼はワザと塗った訳ではない
「あ、あのね。今朝の訓練弾を塗装していた時に、何か変わった事無かった?」
つとめて優しく訊いてみるミハルに、
「え?いや別に・・・。解りませんでしたが、何か?」
気付いていたのかいないのか。
ザルバは質問の意味を理解出来ていない・・・みたいだった。
「そ、そうなんだ。じゃあ、今朝私と会った時に置いてあった砲弾だけに訓練用塗料を塗ったんだね?」
「えっ?そうですけど・・・それが何か?」
ザルバが不思議そうに答えるのを見て、ミハルは考える。
ー そうか。
それが本当だとしたら、誰かが訓練弾の中に実弾を混ぜていたんだな、あらかじめに
ミハルは手を組んで考える。
ー そうだとしたらこれは仕組まれた事で偶然に起きた事故ではない。
誰かが何かを目的として仕組んだ事件と言う事になる。
その犯人が一体何を企んでいたのかを調べないと・・・
ミハルはすっと顔を上げてザルバの表情を伺った。
ザルバに聴いたミハルが整備班長のマクドナード曹長に実際の話を訊く。
実弾を混ぜたと思われる、その真犯人の事を・・・
次回 真犯人は何者?
君はその少女が何者なのかを勘繰る





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