表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
149/632

魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep4闘う意味Act39堕ちた姉姫

リーン達が親衛隊本部へと戻ってから暫くたった頃、

王宮ではエリーザとリマンダが廊下を走っていた。

2人の靴音が廊下に響く。

靴音は何かに追われるが如く、せわしなく響き渡る。


「何故?どうして私が逃げなくてはならないの?」


エリーザが妹のリマンダに訊く。


「それは姉様が身勝手な命令を下されるからですわ。参謀長にも話さずに!」


リマンダがエリーザに抗議しながらも着いていく。


「あなたも同意したじゃないの。

 あの2人さえ居なくなったら、皇王は私のモノだって!」


エリーザが妹に反論する。


「ええ、確かにそう言いました。

 ですが兵を差し向けろとまで言いませんでしたわよ。

 それにもう直ぐ皇王は、亡くなりますもの。

 その時に二人を拘束していれば事は足りましたものを!」


リマンダが姉姫に対して一言文句を言ったが、その瞳は微かに笑っていた。


2人は口汚く罵り合って走る。

皇王の元へと。

今だ命を永らえている筈の父王の元へ。

自分達の身を、命を永らえてくれる筈の父の元へと。



2人が暗殺に失敗した事を知ったのは半時程前の事だった。


咄嗟に保身を図る為に中央軍司令部へと連絡を取り、ヘスラーに助けを求めた返答は無かった。

つまりヘスラーは自分達を見限ったのだ。


そう思ったエリーザはリマンダと共に逃げ出した。

ユーリ達が今度は自分達に迫ってくると考えたからだ。

自分達がした様に命を狙ってくるものと思い込んだのだ。


今迄自分の思い通りに事が運んでいるものと思って、

何もかも人任せにしてきた報いが、これから返って来るのをエリーザはまだ判らなかった。


「こうなったら皇父を殺して今直ぐに私が女王になってやる。

 それならリーンなんか何程の者でもない。八つ裂きにしてやるんだから!」


血走った眼を王宮の奥に向けて、エリーザが叫んだ。




ー  とうとう、この時が来てしまった・・・


青い瞳を2人の姫に向けて銀髪の青年がそっと後ろに手を回す。


「皇父様、お体の具合は如何ですの?」


乱れた髪を直そうともせず、エリーザとリマンダがベットで横になっている皇父に近付いた。


皇王の身の回りの世話係を勤めているカスターに眼も繰れず、2人の姫が父王に近寄る。


ー  ああ、僕はどうしてこの場に居合わせてしまったのだろう。

   伯爵家に生まれなければこんな醜い親子の争いに出くわさなくても済んだかも知れないのに


カスターは後ろベルトに挟んである拳銃に手を掛ける。

そっと安全ボタンを解除してグリップを強く握り締め、ベルトから抜き取った。


「何の用だエリーザ、リマンダよ。余を亡き者としに来たのか?」


さすがに皇王は、2人の様子を見て全てを悟った。


「ひひひっお父様。全てお父様がお悪いのですよ。あんな下衆な娘を継承者に選ばれたのが!」


懐からナイフを取り出し、蔑む様な瞳で皇王に近付く。


「そうですえわ、エリーザ姉様の言う通り。

 我らが母は、お父様の正妻。そしてロッソアの皇帝の娘。

 なのに何故、私達を選ばれなかったのです。

 そうすればこの様な戦争など直ぐに静まったものを!」


リマンダもナイフを取り出し、皇王に迫る。


「愚か者め。そなた達にこの国は譲る訳にはいかぬ。

 それこそロッソアの狙い通りとなる。

 余も余の父もあさはかだった。

 その様な罠に気付くのが遅過ぎた。国と国との間に共和等無い事に」


皇王は身を起こし2人の娘を一喝した。


「何とでもほざくがいいわ。

 あなたを殺して私がこの国を救ってやるから。

 ロッソアと和平を結んで救ってやる。

 ロッソアの皇帝は私の祖父なんだから。ふふふっ私こそがこのフェアリアの救国の王女よ!」


ナイフを片手にエリーザが嘲り笑う。


「それこそ愚かな考え。

 ロッソアと和平を結んだとて、お前には国を治める事など出来ぬ。

 やがてはロッソアに組み敷かれ、衛星国に成り下がる事となろう」


皇王がエリーザに宣告する。


「エリーザ、リマンダ。今よりそなた達は我がフェアリアの皇女ではない。

 我が意に反した逆賊。敵として討伐する!」


皇王の宣下に更に笑ったエリーザが。


「はーはっはっはっ。何を今更。死に逝く者が何を言っても無駄よ!」


ナイフを振り翳し、皇王に飛び掛ろうと身構えた。


皇王に刃を向けるエリーザ。

その時カスター卿が動いた。

2人の姉姫に対峙する銀髪の青年。

その手に握る銃を向ける事に躊躇いつつ彼は愛しき人を想うのだった・・・

次回 大団円!?

君は打ち明けられるのか?

  その心の内を・・・本当に愛している人へと

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ