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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep4闘う意味Act382人と一両の旅立ち

マジカ少尉が何故装甲車に同化したのかを話すユーリ。

そのユーリにマジカは教える。

自分が求めている事を・・・

目の前に居るフォログラフィーと姉姫の話が耳に残る。


ー  マジカ少尉は元々魔法使いだったのか。

   そしてお父さんがこの車体にマジカ少尉の魂を転移させた・・


ミハルは2人の会話に耳を済ませて聞き入った。


「あ、あにょおー。車長?まだですかぁ?もう、あらひ死にまひゅう!」


眼をグルグル回したリンが訴える。


「「あら、リン。ごめんね、もう少しだけ待ってね」」


マジカ少尉がユーリを見て話した。


「「ユーリ、最後にもう一つだけ訊きたいの。私は人間に戻れるのかな?」」


マジカの言葉にユーリが首を振る。


「判らない。

 その方法を考えてくれていたシマダ夫妻が行方不明となってしまったから。

 彼等が居てくれたなら何か方法が解ったかも知れないけど・・・」


そう教えるとマジカも頷く。


「「そっか。

  でも、転移出来たのなら、もう一度転移させる事が出来るかも知れないよね。

  次は人間に戻れたらいいのに。

  私、諦めない事に決めた。

  私達の知らない方法がこの世の中にあるかも知れない。それを探したい」」


マジカが手を握り締めて自分の進むべき道を悟った。


「そう、マジカは自分を取り戻す旅へ出て行きたいのね。

 ・・・よし、判った。私が許します、マジカがこの世で自分を追い求めるのを!」


「「えっ!?」」

「えっ?」

「ええっ?」


マジカとリンとランネがユーリの言葉に振り向く。

ふっと息を吐いたユーリが2人に指を差す。


「そこの2人!官姓名は?」


ユーリに訊かれて2人が答える。


「は、はい。ランネ・マジョカ一等兵です」

「同じくリンカーベル・ユーキです」


姿勢を正そうとモゾモゾ動いて応えた。


「うん。只今をもって2人の軍籍を抜く。

 本日只今より、あなた達の任務はマジカと共に自分探しの旅に出る。

 これは軍の命令ではなくフェアリア国第3皇女ユーリ・フェアリアル・マーガネットの命。

 そして私個人の願い。

 聞いてくれるかしらリンカーベル、ランネ」


ユーリは2人に願ったマジカと共に人間へと戻れる方法を探す旅の道連れとなる事を。


「えっ!?いいんですか?そんな嬉しい命令を出されても」


ランネが瞳を輝かせて喜ぶ。


「いぃーやったぁー、車長!ご一緒させて下さい。私も元の世界へ帰る方法を見つけたいんです」


リンがミハルの下で叫ぶ。


「「ユーリ、ありがとう。喜んでその命令を拝命するわ」」


マジカが知らず知らずに手を差し出す。

差し出された手をユーリが掴もうとして躊躇するのを見たミハルが。


ー  ミコトさん、お願いっ!


右手の宝珠に願いを込めて・・・


「ユーリ大尉!これをっ」


ユーリに放り投げる。

いつもならミハルの手から離れると輝きを消す宝珠が輝きを保ったままユーリまで飛び、


「おっ?」


ユーリが受け取った宝珠が輝きを増す。


<さあ!>


ミコトの声がユーリの心に直接響いた。

その声に促されたユーリがマジカの手を握る。


「「ああ、ユーリ。あなたの手が感じられる。あなたの温かさは伝わってくる」」


マジカが瞳を潤ませてユーリを見る。


「マジカ!必ず戻って来てね、必ず人として戻ってくるのよ。再び手を握れるように!」


その瞳に応えてユーリが言った。





「ぷっしゅうううっ」


とうとうリンが魔法力を使い果たしてのびてしまった。


「あっこら、リンしっかりしなさいっ!」


胸の下でリンが眼を回してひっくり返ったのを見て、ミハルが目を醒まさせる。


「シマダ軍曹、ありがとう。これを返すわ」


ユーリ大尉が宝珠をミハルに返した。

いつの間にかホログラフィーのマジカ少尉は消え、ユーリだけが砲塔内に立っている。


「それじゃあ2人供、マジカの事を宜しくね」


そう告げたユーリがキューポラに向う。


「はい、姫様。了解です!」


ランネが明るく答えると、ユーリが微笑んで応えた。


「じゃあ、お元気でね。リンカーベル、ランネ」


キューポラを昇るユーリが2人に別れを告げ・・・そして。


「ちょっとシマダ軍曹。いつまでそうしているつもり?」


ジタバタもがいているミハルに呆れる様に訊く。


「ふええん。助けて下さいよぉ、ユーリ大尉、マジカ少尉ー!」


どうにも出られないミハルが涙目で助けを求めた。



「何をしていたの?2人供?」


走り去る6輪装甲車に手を振る2人にリーンが声を掛ける。


「ああ、ちょっとな」


ユーリが少し寂しそうな顔をして応える。


「うん。ちょっと・・・ね」


ミハルが微笑んでリーンに答えた。


「? ? ?」


リーンが不思議そうに首を捻った。


「よーし、それでは決戦といくか。御前決戦とな!」


ユーリがリーンに振り返り決意をみなぎらせ顔を上げる。


「はい、姉様!」

リーンも姉につられて顔を引き締める。


「うん。良し、それでは決戦の準備だ。一度本部へ戻り、然るべき用意を整えよう」


ニコッと笑ったユーリがミハルを見て言った。


「ふえ?なっ何ですかユーリ大尉?」


微笑み掛けられてドキッとするミハルに。


「あっ、ナルホド。そう言う事ですねユーリ姉様」


にひひと笑ったリーンも頷いた。


「なっ何ですか2人供。私が何か?」


ユーリがミハルの右手を握り。


「バレてるから・・・ね。<双璧の魔女>さん」


2人に言い詰められて冷や汗を垂らすミハルのお腹が・・・


(((きゅううぅっ))


ー  あっ。は、恥ずかしいっ?!


とたんに真っ赤に頬を染めて下を向く。


「あははっ身体も正直だなシマダ軍曹は!」


ユーリが大笑いして歩き出す。


「さあミハル。闘いの前に、魔法力を回復させましょ!」


リーンが手を差し伸ばして、ミハルを求める。


「う・・・2人供。意地悪ですぅ」


言葉とは裏腹に、リーンの手を嬉しそうに握ったミハルも歩き出した。


挿絵(By みてみん)


「あ、あのな・・・シマダ軍曹。モノには限度が・・・」


ユーリはリーンを見ながら呆れる。


「ピープーピー」


リーンは口笛を吹いて知らぬ振りをして誤魔化す。


「ムシャ、パクパク・・・」


ミハルは魔法力を回復させる為に右手の宝珠に身体を乗っ取られていた。


・・・ああっミコトっ!加減せんかっ!!

挿絵(By みてみん)


次回 堕ちた姉姫達

君は悪鬼に堕ちた姉姫を止められるのか?

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