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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep4闘う意味Act32これが私の闘い方

挿絵(By みてみん)


4号戦車3両に闘いを挑むマジカ。

必殺の30ミリ魔鋼弾が唸る!

6輪装甲車に気付いた4号が砲塔を旋回させ始めた。


「射撃始めっ!撃てっ!」


キューポラでミハルがリンに命じる。


((ガウッ))


長砲身30ミリ砲が火を噴く。


((バスッ))


鈍い貫通音と共に、4号F型の砲身基部に穴が穿かれる。


ミハルがその効果を確認し、


「よしっいいわよリンちゃん!その調子で残りの2両も砲を無効化して」


ミハルの瞳に砲身を破壊された車両の車長が、キューポラから出て砲を調べている姿が映る。

それを尻目に、ミハルが命じる。


「次は右側の車両を狙う!ランネさん右旋回、後面から廻り込んで!」


ミハルが命じるままにランネが車体を操る。

後ろから廻り込んだマジカ・マギカに対応できない4号へ。


「リンちゃんっ撃てっ!」


ミハルの射撃命令で零距離射撃をする。


((ガウッ))


挿絵(By みてみん)


リンの射撃術は荒削りだが、ここまで接近すれば外し様が無かった。


((バスンッ))


再び砲身基部の破壊に成功した。


「次で最後の一両!ランネさんっそのまま突っ込んで!」


左側の一両が砲塔をこちらへ向けていない事を瞬時に見極めミハルが命じた。


「はいっ!」


ランネが応じてアクセルを踏む。


「リンちゃん!構わないから砲身にぶち込んで!」


「えっ!?そんな事出来ないですっ!」


リンがミハルに慌てて答えた。


「大丈夫っ!私が撃てと言ったらトリガーを引いて!」


ミハルの言葉に半信半疑なリンが。


「ええっ?照準器も覗かないで発砲するんですか?」

「砲手っ!復唱はどうしたのっ!発射用意っ!」


ミハルが有無を言わせない強い口調でリンに命じた。


「はっはい!車長代理の命で、発砲しますっ!」


復唱したリンがトリガーに指を掛ける。


ー  あたしが狙ったって砲口になんて当てられないのに。

   車長代理は一体どんな方法であんな小さな標的に命中させるんだろう?


リンは思った、不可能だろうと。


照準器に4号の砲塔が大写しに映る。

動く車体に合わせて十字線もずれ動く。

そして。

十字線がこちらを向く4号の砲口を過ぎようとした時、その4号が発砲する・・・


瞬間!


「撃てっ!」


ミハルが発砲を命じ、ほぼ同時にリンの指がトリガーを引いた。


((ガウッ))


30ミリ砲が火を噴く。

赤く輝く魔鋼弾が砲から出た瞬間の75ミリ砲弾に命中した。


((グワッガーンッ))


4号F型の砲弾が砲口から出た処で爆発し、その砲身先端部を破壊した。


「うわっ!すっ凄いっ!」


リンもランネも眼を大きく見開いて驚く。


「よしっ、3両共無力化したわ。後はあの人達の前に立ち塞がるからね!」


ミハルがランネにバリケードの前へ行く様に命じる。


「は、はい!」


ランネは我に返って復唱し、スピードを乗せたままバリケード前まで車体を向わせる。


「リンちゃん、停車したら砲をあの人に向けて!」


ミハルが指差す男をリンが確認して、


「は、はい。あの少尉ですね、了解です!」


指揮官らしい男をモニターで確認し直して復唱する。


((ズザザザッ))


砂煙を上げて急停止したマジカ・マギカを見て、少尉指揮官が腰を抜かした。


「ひいいっ、やめろ貴様っ。こんな事をしてタダで済むと思っているのか!」


負け惜しみを言う指揮官の額に砲身が当てられる。


「それはこちらのセリフよ。

 あなた達はリーンに弓を引いた。

 それがどう言う事なのか解っているの?

 同じ国の軍なのにどうして殺しあうの?

 返答によっては許さない、この私がこの<双璧の魔女>が!」


ミハルがキューポラに立ち上がって指揮官を睨みつける。


「ひいいっ、待てっ。

 我々はエリーザ姫からの命でマーガネット姫を捕えるか殺せと命じられたまでだ。

 撃つな、撃たないでくれっ!」


砲口を突きつけられた指揮官が怯えて命乞いをする。


「その事が本当だという証拠はあるの?あると言うならここに出しなさい!」


強い口調で言うミハルに怯えた指揮官がポケットから一枚の詔書を出すと。


「こっこれだ。これに指令が書かれてある。これが証拠だ!」


一枚の紙を出した指揮官が差し出す。


((ニュッ))


ミハルの横から一本の腕が伸び、その書類を奪う。


「ひいいっ、何だこの腕はっ。バケモノだ!」


あまりの事に腰を抜かした指揮官が叫ぶ。


「ありゃま・・・」


ミハルが見ている前でマジカ少尉の腕がその指揮官にパンチを喰らわせ、気を失わせた。


「・・・マジカ少尉、それは無いと思います」


ミハルが額を押えて呟いた。

マジカの手は、書類をミハルに渡すと腕が車内へ引っ込んだ。


一読したミハルがポケットに書類を入れて眼を居並ぶ兵達に向けて叫ぶ。


「マーガネット姫に弓を引いた事を後悔するなら退がりなさい。

 さもなくばこの<双璧の魔女>が相手になるわ!」


ミハルの声に攻め寄せた兵達がどよめく。


「お、おい。<双璧の魔女>だとよ!」

「嘘だろ、あの串刺しミハルかよ?!」

「そんなの聴いてねえぞ?」


居並ぶ兵が一斉に逃げ腰になる。


「さあ!どうするのっ退くのっ?退かないの?」


砲塔を回転させ砲口を兵達に向けてミハルが凄むと。


「うわあっ退却だっ、逃げろっ!」


兵達が後ろも見ずに逃げ出す。

砲を破壊された4号と共に。


「ふう。なんとかこれ以上、流血の惨事は避けられたのかな」


ミハルが額の汗を拭いてため息を吐いた。


「車長代理・・・いえ、流石ですミハル軍曹!」


感嘆の声をあげるランネ。


「凄いです、あんな射撃術初めて見ました!」


リンもキューポラを見上げて瞳を輝かせた。

ミハルは2人に答えず。


「ねえリン、ランネさんマジカ少尉。

 少しだけ・・・もう少しだけ付き合ってくれないかな?」


ミハルがバリケードの中を見てそうお願いする。


「えっ?別に構いませんけど・・・。ねえ車長?」


リンが頷いてマジカ少尉に伺う。

ホログラフィーのマジカも頷いた。


「少尉も納得されましたから、いいですよ」


ランネがミハルの願いを訊き遂げ応えた。


「ありがとう、少し待っててね!」


そう言うとミハルはキューポラから飛び出し、

バリケードの所で蹲っているリーンの元へ走り出した。



リーンの姿を見た宝珠が気付く。

1000年の悠久の時を越え、

今、再び出会う事に身体は震え、求め合う。

次回 悠久の時を越えて

君はその瞳の中で求める愛しき人の姿を・・・

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