魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep4闘う意味Act28突入セヨ6輪装甲車!
ミハルが指揮権を授かり、眼前の部隊と対峙する。
リーンの事を想い、決断を迫られる。
ランネがギアをローに入れ、ゆっくり進み出す。
「リン!もしもの時は間髪を入れず発砲します。装填はいい?」
リンに主砲の20ミリ機関砲の装填を促す。
「装填は車長が勝手にしてくれますので・・・」
リンが振り返らず答える。
「うっ、わ、解ったわ!」
ミハルがびくりとして周りを見渡し答えた。
「じゃあ、私が半軌道車に訊ねる間、油断無く準備をしておいてくださいね?」
ミハルがキューポラに昇ってそう命じた。
10メートル程に近寄った時、半軌道車の機銃員が銃口をこちらに向けてくる。
「私達はその・・・なんだっけ?」
ミハルがリンの職責を訊く。
「皇都警備隊・・・です、軍曹」
リンがため息を吐いて答える。
「そ、そう。私達は皇都警備隊です。
今時分に何をされているのですか、皇王守護親衛隊に対して何の行動なのですか?答えてください」
ミハルが半軌道車の指揮官へ尋ねる。
「我々は中央軍司令部直属の特務隊である。
命によって親衛隊に匿われている反逆者を捕えに来た。
警備隊は本件に関わる必要はない。さっさと立ち退け!」
その指揮官は見下す様に命じた。
ー そんな事を言われて、はいそうですか・・・で、引き下がるわけにはいかないから!
ミハルがその指揮官を睨んで考えていると、
「はい、そうですか」
車体前部ハッチからランネがそう答えた。
「えっ?」
ミハルがびっくりしてランネを見ると。
「車長ーっ。あんな事言ってますけどー。どうしますかぁ?」
ランネがお気楽な口調でミハルに訊く。
「え?ええっと。そうね、取敢えずもう一度話してみる」
ミハルがランネに答えてから、
「特務隊が誰を捕えに来たというのですか。どうしてそんな重装備をされているのですか?」
もう一度だけ訳を訊いたのだが。
「しつこい!警備隊が知る必要など無い。さっさと立ち去れっ。さもないと攻撃を加えるぞ!」
指揮官が苛立って機銃員に命じる。
その機銃員が車体前方に狙いを定めて手を上げた。
「さっさと行けっ!行かないと・・・こうだっ!」
指揮官が機銃員に発砲の許可を与えた。
((ダッダッダッ))
一連射した一発の弾が石畳の道路に弾ける。
((カンッ))
跳弾した一発の弾が車体前面を擦った。
「あっ!」
ランネが弾が当たった事を知って青ざめる。
リンもランネが青ざめた事を知って、
「あ。あああっ車長!マジカ少尉!
気を確かにっ!これは偶然弾が掠っただけですからっ!」
マジカ少尉・・・いや、この車体に言い繕ったのだが・・・
「えっ?何?」
キューポラに立つミハルの手元に腕が現れて半軌道車の方を指差し、
もう一つの手でそれを斬る仕草を見せた。
「へ?攻撃するんですか?でも相手は特務隊なんですよ?」
ミハルが戸惑って考えている時、隊内で銃撃戦が突然始まった。
「!親衛隊と交戦が始まった。こうしてはいられないっ!」
ミハルは決意を固めた。
そしてリンとランネに命じる。
「リン!ランネ!全責任は私が執ります。隊内へ突入し、親衛隊の援護に廻りますっ!」
ミハルの決断に腕・・・マジカ少尉がうんうんと言うふうに手の平をヒラヒラさせる。
「そーこなくちゃ!一丁派手にやりますか!」
リンが舌なめずりをして機関砲の電源を入れる。
「ほーい。それでは正面から突入っと!」
ランネがギアを入れて、アクセルを踏み込む。
ミハルはキューポラで前方を見詰め命じた。
「戦闘!戦車前へ!目標前方の半軌道車!」
ぐんぐんとスピードを増すマジカマギカ。
そのキューポラに立つミハルが心で叫ぶ。
ー リーン!無事でいて。・・・今、いくよっ!
ミハルが辿り着く前、リーンは現れた部隊に戸惑う。
次回 悲しき訴追
君は自らの行為に悲しみ想いを廻らす