魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep4闘う意味Act24術を破れ
ギャガンの邪眼によって身体の自由を奪われたミハル。
その束縛から逃れようと試みるが・・・
ミハルは宝珠の魔女に助けを求める。
<ミコトさん、何とか術を破れない?この身体を自由に出来ない?>
宝珠の中に居る魔女の魂が答える。
<うむ。どうにかしてやりたいのはやまやまなんだがかなり手強い術なんだ。
ミハルの正気を保つのが精一杯・・・という所なんだ>
ミコトが苦しそうにミハルに教える。
<そっか、それじゃあこの術を破るなんて難しいよね。
どうしよう、このままでは連れて行かれちゃうよ>
ミハルが焦りながらも術を破る方法を考える。
<そうだな。この男がミハル以外の者に気を取られればチャンスは有るのだが・・・>
ミコトがミハルに教える。
この絶体絶命のピンチから抜け出す方法を。
<そっか!そうなんだ。誰かに気付いてもらえれば!>
ミハルは即座に気付く自分が正気を保てて喋れる事に。
「検査官、私をこのまま歩かせて連れて行くつもりなの?それとも別の誰かを迎えに寄こすつもりなの?」
ミハルの問いに答えず、只黙って周りの気配を探っているギャガンが判る。
「それとも此処から近いの?あなたの主人ってのがいる場所は・・・」
誰かに聞いて欲しいと言うのもあって声をやや大きくする。
「無駄だ、誰も来やしない。黙っていろ!」
苛立つ様にギャガンがミハルに命じる。
<声が苛つきが出て来た。もう少しだ、ミハル続けろ>
ミコトが宝珠から求めた。
「黙らせたかったら教えなさいよ。今から何処へ向うかを。マモルが何処に居るかを!」
「うるさい娘だ。
・・・もういいだろうお前も主の物となる訳だからな。
お前の弟はこの国には居ない。お前の両親の元へ連れて行かれた、いざという時の保険にな」
ギャガンの言葉にミハルは目眩を覚える位のショックを受けた。
「マモルが・・・この国に居ない・・・?保険?」
そう訊くのがやっとの事だった。
「そうだ保険だ。
お前を取り逃がした時のな。
だがこれで保険は必要なくなったと言う訳だ。
お前が部品の一部となれば最早、母も弟も必要なくなる。そうすれば会えるさ、あの世とやらでな」
ギャガンが調子にのって口を滑らせた。
ミハルの記憶に保険の意味と部品の一部になる・・・と言う言葉が焼きついた。
「私が主の元へ連れて行かれてしまったら、マモルもお父さんもお母さんも殺されてしまうの?」
ミハルの瞳が碧く染まり出す。
<おっおいっ、継承者。この力は?>
宝珠がミハルの気が増大していくのに驚く。
宝珠を填めた右手がピクリと動く。
ミハルの力が通ったように。
「答えて!私があなた達に捕われてしまえばマモルを殺す事になってしまうの?」
ミハルの右手が後ろポケットへ伸びる。
「そいつは解らんが必要は無い・・・と、いうだけだ」
ギャガンがあっさりと言いのける。
「だったら・・・私はあなたと行かない。
あなたの主人の元へなんて!私はマモルを助ける、マモルに逢いに行く!」
ミハルが強く言い放って後ろポケットからコルトを掴み出そうとした。
「おっと、私の術から逃れましたか。でもまだ十分に動けてませんね。仕方の無い娘だ」
ギャガンがミハルの手を押えて銃を奪おうとする。
「くははっ、解らん小娘だ。少々痛い目を受けねばならんようだな!」
((ボグッ))
「かっはっ!」
ギャガンの膝が腹部を蹴り上げる。
息が一瞬止まる感じで声を詰らせたミハルに、
「どうだ、少しは大人しくなる気になったか?」
勝ち誇った様に右手を押えたままギャガンが見下す。
「うっ・・・あっくっ!」
ミハルは強烈な一撃で息が詰り、声が出せなくなって方膝を付く。
「さあ立て、そして歩け!」
ミハルのコルトを奪おうと右手を捻るギャガンに、その人は叫んだ。
「その娘に何をしている?!」
ギャガンに弄ばれるミハルの前に現れたのは・・・
ミハルはギャガンを倒せるのか?
次回 胸騒ぎ
君は大切な人の事に胸を痛める