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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep4闘う意味Act18刺客 前編

抱き合う二人の前に女官が現れた。

その瞳に狂気の光を滲ませて・・・

2人が抱き合っている控え室に着替えを手伝う女官がノックする。


((コン コン))


「リーン姫、お着替えを致します。入っても宜しいでしょうか?」


女官の声がドアの外からして、リーンとミハルはそっと離れた。


「あ、はい。どうぞ・・・」


リーンが声の主を招き入れる。

ドアを開けて女官が手に服を乗せて入ってくる。


「どうぞ御召し代えを・・・」


低い声でその女官がリーンに言い近寄る。

その瞳には邪な気が妖しく光っていた。


女官が手に持っている服で手元が見えていない事に気付いたミハルが。


「服はそこに置いて下さい。私達はこれから元の軍服に着替えますので」


目つきの怪しい女官をリーンに近付けさせない様にそう言うと、

右足を椅子に載せてヒールを脱ぐ素振りをした。


ー  もし私の感が当っているのなら・・・この人は服を置かない。

   置けない筈・・・だって手に持っている物が判ってしまうから


ストッキングを脱ぐ素振りで長いスカートを捲り、そっとホルスターに手を伸ばす。


「うん?どうしたの。

 その服は着ないわ、そこへ置いて着替えを手伝ってくれないかしら」


リーンがミハルの動作を見て同じ様に警戒した。


「・・・くっ!気付かれたのなら仕方ない。死ね、リーン姫ぇっ!」


服を投げ捨てた女官の手にはナイフの刃が白く光っていた。


「やめてっ、ナイフを捨てなさいっ!」


瞬間的にホルスターからコルトを抜き放って女官に突きつけるミハルが叫ぶ。


「うっ!くっ!!」


拳銃を突きつけられた女官がミハルを見てたじろいだ。


「誰に頼まれたの?私を殺せって」


リーンが女官のナイフを見ながら訊く。


「・・・誰が言うか!」


女官はミハルの手に握られたコルト1911を見てもナイフを捨てずに居る。


「そう。では、何故私を殺そうとするの?お金の為?それとも名誉の為?」


リーンが更に女官を尋問する。


「お金や名誉で人を殺せるか!

 私はあなたを殺さねばならない。あなたを殺さないと親兄弟を殺されてしまうからよ!」


そう叫んだ女官がリーンにナイフを向けて飛び掛ってきた。


「危ないっ!リーンっ!」


((ガンッ))


リーンに飛び掛ってくる女官の腕をミハルが撃った。

横合いからの一発が女官の腕を貫き、その手からナイフが落ちる。


「うああっ!駄目っ私がやらなきゃ、お母さんがっ弟達が殺されるっ。死んでっ死んでよっ!」


右手を血で染めた女官が苦痛と焦りで叫ぶ。


「悪いけど私は死ねないの。

 さあ、言いなさい誰の命令なの?あなたの親子を人質に取った悪者の名を言いなさい!」


リーンがナイフを奪って女官に詰め寄る。


「うっ!くうぅっ!」


リーンに突きつけられたナイフを見てたじろぐ女官は、それでも口を割らずに。


「言えば私の親も弟達も助からない。だから言える訳ないっ!」


右手の傷を押えた女官が一瞬の隙を見て控え室から飛び出す。


「あっ!待ちなさいっ!!」


リーンが呼び止めた時。


((ガンッ ガガンッ))


数発の着弾音がドアの外で響いた。


「!しまったっ!」


ミハルとリーンがドアの内側から外を見ると、血を流して倒れている女官の姿があった。


ー  口封じ・・・か。何て酷い事を・・・


リーンは女官の最期を痛ましく思った。



「どう?ミハル。撃ってきた奴は見える?」


ドアの両端で外の気配を探る2人が辺りの音を聞く。



挿絵(By みてみん)



「ううん。解らない。

 少なくとも銃声は聞こえなかったから、相手はサイレンサーを使っているんだと思うよ」


「そうね。近くに居るのか遠くから狙撃してきたのか・・・

 どっちにしろ暫くは様子を見ないといけないわね」


ミハルとリーンは控え室に釘付けにされた。




サイレンサー付きの自動小銃を構えている男が照準鏡を覗き込み、

半分開かれたドアにポイントを合わせてトリガーに指を掛けている。


狙う先には、ドアの傍に倒れた女官の姿があった。


「出てこないか。用心深い女達だな」


男は尚もトリガーに指を掛けたまま呟いた。


リーン達の居る控え室を見渡せられる物陰から、

その狙撃手の男が自動小銃を構えたまま部屋から出て来るのを待っていた。


「!」


照準器の中で半開きのドアが少し動いた。


「よーし、出て来いっ!」


呟く狙撃手が更に集中して照準鏡を覗き込んだ時・・・


「お前が・・・な!」


狙撃手の後ろで声がする。


「なっ!?」


気付いた狙撃手が銃を振り向けようと動いたが。


((バンッ))


後ろに居た者に撃たれてもんどり打って倒れた。

至近距離から撃たれた狙撃手は、倒れたまま動かなくなった。


「どうやら間に合ったみたいだな。

 リーン姫を直接狙ってくるとは・・・大分焦り始めている様だな」


物陰から出たその声の主は、ヤサ男の風貌を持つカスター卿だった。



狙撃手からリーン達を救った影はヤサ男、カスターだった。

銃声に気付いたバレン中尉達親衛隊員が駆け付ける。


次回 刺客 後編

君は気付く、助けてくれたその人に・・・

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