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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep4闘う意味Act6撃破王<エース>の称号

ミリアが持って来た銀色に輝く胸章を着けるミハルに、皆がどよめく。

その胸章を見た陸軍軍曹の驚きは尋常では無かった。

その銀色に輝く胸章を見た軍曹が叫ぶ。


「なっ!なんだと!そっ、それはっ!」


軍曹も陸軍兵も。

そしてバンダ一曹以下海兵までがミハルの胸に輝く胸章を見て驚きの声をあげた。


「魔鋼騎士章!

 全軍で数名しかいないと呼ばれる魔砲の英雄。

 戦功抜群の者にしか贈られない、エースの称号!」


わざわざ軍曹がミハルの胸に輝く勲章を説明してくれた。


「嘘だろ?!

 お前みたいな小娘が軍曹で、しかも魔鋼騎士だなんて・・・信じられん!」


うろたえる軍曹に、ミリアが言って聞かせる。


「エンカウンター基地、第97小隊魔鋼騎先任搭乗員シマダ軍曹。

 砲手で撃破47両のトップエース。何か問題でも?軍曹さん」


「げっ、撃破47両ぅ!?

 ・・・まさか、あの・・・噂に聞いた<双璧の魔女>の紋章のっ!?」


軍曹が腰を引いて震えだした。


「どんな噂か知らないけど・・・多分、その本人です」


ミハルが軍曹を睨んで答えると。


「しっ、失礼しました。申し訳有りませんっ!」


軍曹は突然姿勢を正して敬礼する。年下の若い女の子に。

軍曹の敬礼を見た陸軍兵達もミハルに敬礼する。


軍曹達陸軍兵に敬礼を返すと、ミハルは少しだけ威厳を正して話す。


「私達は海も陸も無く、国を護る者として闘っている同志じゃないですか。

 その同志に無礼を働いてはいけませんよ、軍曹」


軍曹達、陸軍兵にそう言ってからバンダ一曹達に振り返ると。


「陸軍を代表してお詫びします。バンダ一曹、海軍の方々」


ミハルが頭を下げて詫びた。


「はっ!我々も大人げありませんでした、シマダ軍曹」


バンダ一曹がミハルに敬礼し謝罪を受ける。


「良かった。許してくださるのですね。では・・・」


ミハルが頭を上げて海兵に微笑み、一曹と陸軍軍曹の手を掴んで握手させる。


「両軍とも、これで仲直りしてください。さあ!」


一曹と軍曹は双方共、顔を引きつらせながらも握手を交わした。


「で、では、私共はこれで・・・おいっ、行くぞ!」


陸軍軍曹が部下達に引き上げる様に言って店から離れて行った。


「むう。反省してませんね、あの軍曹」


ミリアが立ち去っていく陸軍兵達を見ながら言うと、


「まあ、喧嘩にならなかったから良しとしておきましょう、ミリア」


宥める様に言ったミハルに、バンダ一曹達海兵が。


「シマダ軍曹、ありがとうございます。

 陸の兵にも、あなたの様な方が居てくれて嬉しく思います」


口々に礼を言ってくれた。

その瞳は初めて見る魔鋼騎士に輝いて見えた。


「シマダ軍曹は戦車・・・いえ、魔鋼騎に乗っておられるのですよね。

 どんな車両なのですか?敵を40両以上も倒せるなんて!

 さぞ強いんでしょうね。敵に圧倒できるんですよね?!」


セーラー服を着た兵士が目を輝かせて訊いて来る。


「え?ええ。それなりに強いですよ。

 ・・・圧倒出来ているかは解りませんが」


ミハルは口を濁して答えた。

バンダ一曹はミハルの表情が曇った事に気付き、話を変えた。


「しかし、我々海軍には女子は殆ど居ませんから。

 居るとしても基地隊ぐらいで。

 それに黒髪の女性も暫く会った事が無かったもので」


バンダ一曹がミハルの黒髪を見て眼を細めた。


「バンダ兄、黒髪の女性を見た事があるの?」


ミリアがその話にのって訊くと、


「ああ、皇都近くの軍港で何回か。

 確かヤポンから来られた海軍士官だったよ。

 皆綺麗で立派な方々だった。流石伝統の海軍だよな。

 ヤポンでは海軍でも魔鋼機械を使っているらしいよ」


バンダ一曹の言葉にミリアが驚いて、


「ヤポンの女性士官に会ったの?しかも海軍の!?

 ヤポンでは海軍にも魔鋼機械を導入してるんだ」


目を輝かせてミリアがミハルに訊く。


「そうなんですか、ミハル先輩?」


突然訊かれたミハルが困ったような顔で、


「えっと・・・知らないよ。

 だって私がこの国へ来たのはずいぶん前の事だから」


ミリアに解らないと首を振って答えてからバンダ一曹に問いかける。


「ヤポンの海軍がこの国に何の用で来たのですか?

 まさか戦争中の国に親善訪問に来る訳無いし・・・」


ミハルに訊かれたバンダ一曹が、ちょっと辺りを見てから小声で答える。


「此処だけの話ですが、とんでもない兵器を運んで来たみたいなんです。

 そう士官達が話をしているのを聞きました」


そっとミハルとミリアに教えた。


「とんでもない兵器?」


ミリアが聞き返すと、


「うん、そうなんだ。

 なんでも街一つが一発で灰燼に帰す程の威力を持っているらしいんだが・・・

 組み立ては我国でするそうなんだ」


そう答えたバンダ一曹が、


「これは誰にも言っちゃ駄目だぞミリア。

 もし、特警に聴かれたら即ブタ箱行きだからな」


そう言って念を押した。


「判った。バンダ兄がそう言うなら誰にも言わない」


ミリアが頷いて答えた。


ー  一発で街が?一体どんな兵器なのだろう。

   ・・・嫌だな、そんな武器が出来たら。

   使ってしまえば、多くの人がたった一発で死んでしまうなんて・・・


ミハルがその兵器を嫌って考えてしまった。




「一曹。シマダ軍曹のおかげで無事買い物も終りました。

 そろそろ帰艦時刻です、戻りましょうか?」


店から出て来た海兵がバンダ一曹に報告した。


「おっそうか。では帰艦する。荷物を忘れるなよ」


部下に命じたバンダ一曹が立ち上がりお礼方々幼馴染の事を頼んで来る。


「それではこれで失礼します、シマダ軍曹。

 どうかコイツの事を宜しく面倒を見てやってください」


ポンとミリアの頭に手を置いたバンダ一曹に併せて椅子から立ち上がると。


「はい。バンダ一曹も、お元気で」


別れの敬礼をしてバンダ1曹に応えた。


「バンダ兄!また会おうね、それまで元気でね。」


頭から手を離して部下の元へ歩き出したバンダ一曹に、ミリアが手を振って別れを告げる。

バンダ一曹は、軽く手を振りそれに応えて、部下達と港の方へ歩いて行った。


バンダ達を見送ったミリアが振り向き、


「じゃあミハル先輩、行きましょうか。こっちですっ!」


再びミハルの前に立って歩き出した。


嬉しそうに家路を歩くミリアを見てミハルは少し羨ましいなと、思った。

帰れる家があると言うのが。


帰るべき人の元へ戻れる事が・・・



銀髪を風に靡かせた少女が一人、墓地に立ち尽くしていた。

目の前にある真新しい墓に刻まれたその名は・・・


次回 兄の想い、妹の気持ち

君は家族の前で兄妹からの手紙を手渡される。亡くなったその人の手紙を・・・

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