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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第1章魔鋼騎士EP3訓練!あの戦車を撃て!Act5

挿絵(By みてみん)


星空の下、リーン小隊長は・・・


リーンの想いに、決意を新たにするミハル。

各員の配置も決まり、いよいよ訓練が再開される。

一人星空を見上げて泣く少尉の姿を見て。

その姿に声も掛けられず見張台の影からミハルは想った。


ー  少尉。

   私は少尉の部下になれて嬉しいです。

   リーン少尉が私達部下の事を大切に言ってくださって。

   そう思ってくださる事が、私には何より嬉しいです・・・


ミハルは自分の手を見て想うのだった。


ー  必ず私は少尉を、皆を守る盾となってみせる。

   闘いの恐怖に打ち勝って、生き残るんだ。

   曹長との約束、第1連隊で死んでいった人たちとの約束。

   マモルとの約束・・・そして私自身の願いの為にも・・・


決意を新たにして、星空を見上げ続けるリーン少尉に誓った。





朝もやが薄らぎ、荒地にキャタピラ音が響き渡る。


「今日の訓練は、対戦車戦。

 本車はこのまま対敵行動をし、少尉の指揮する標的車両との模擬戦を行う。

 本日の訓練目標は、早期発見、並びに射撃運動にある。

 各員、これを実戦と思い任務を全うする様に」


バスクッチ曹長が喉頭マイクロフォンを押し当ててキャタピラ音に負けない様に大声で指令した。

ラミルが操縦するMMT-3は、発動地点に到着し、停車する。


「よし、訓練開始まで後2分。各員チェック!」


曹長に命令されて、各員が受け持ち部所を確認する。


「エンジン、油圧サーボ、並びに駆動箇所異常無し!」


ラミルが報告する。


「前方機銃、無線、並びに車内通信状態良好!」


キャミーが車長席を振り返って報告し、曹長に微笑んだ。

そんなキャミーを見てにやっと笑い、


「射撃装置、照準器。並びに砲塔旋回駆動よろし!」


ミハルが左右にレバーを動かし、電動機の反応を確かめて報告する。


「砲弾数、徹甲弾12発、魔鋼弾2発。いずれも実弾頭です。

 装填手用意できました。皆さん宜しくお願いします!」


初搭乗のミリアが挨拶を入れると、


「装填手!余計な事は言わなくていい。

 本日の車長は、バスクッチが務める。実戦と同じと思え!」


ミリアが首を竦めて、恐縮するのを見て、

ミハルは肩の力を抜け、という意味でミリアに肩を指差して合図する。


ミリアはミハルの指摘で肩を上下させて、深呼吸を繰り返す。

その姿に笑いかけて、照準器に向き直ると。


ー  さあ、気合を入れて掛からなくっちゃ。

   たった今から私は砲手に戻るんだ。

   前の戦いの様な訳にはいかない。

   今度は前の様な戦いにしてはいけないのだから・・・


ミハルは、以前務めた砲手とは心も体も全く違っている自分に気付いた。

一度実戦を味わった事でこんなにも責任を感じるようになり、

それだけに射撃の重要性を痛感する様になっていた。



ミハルの感慨を打ち破って、曹長が命令を下した。


「時間だ。戦闘っ!戦車前へ!」


ラミルがギアを入れて、アクセルペダルを踏み込んだ。

いまだ夏用迷彩を施されたままのMMT-3が、キャタピラ音も高らかに進みだす。


「全員持ち場で哨戒に当たれ。先に見つけるぞ。停車!」


車長のバスクッチ曹長が、キューポラから半身を乗り出して双眼鏡で辺りを警戒する。

各員がスリットから辺りを監視する。

そして、やはり実戦経験が多い曹長の双眼鏡が最初にそれを発見した。


「右舷2時の方向。

 草原に砂煙が上がっている。

 目標を確認と同時に、射撃を開始する。

 ミハル、ミリア。

 砲塔を2時方向に向けろ。第1射は、徹甲弾装填!」


曹長の命令で、ミハルは照準器を覗き込みながら、旋回レバーを右に倒した。

ミリアは砲塔バスケット後部ラッチ内の徹甲弾を取り出して左手の拳骨で砲尾から装填し、


「車長、徹甲弾装填完了。射撃用意よろし!」


安全ボタンを押し込んで、換気ファンを廻す。


「よし、会敵するぞ!戦車前へ!」


いよいよ、会敵運動が始まった。


ミハルは照準器に砂煙を入れて、倍率を最大の8倍に上げて注視する。


座席の後のキューポラ上に半身を乗り出して双眼鏡を構えて、

目標を捕捉しようと目を凝らす曹長の次の言葉を待ち受けた。


ー  私の照準器には砂煙しか入ってこない。

   おかしいな?こんなに前進しているのに。

   って!まさか・・・囮?


「車長!一度停止して。辺りの確認を!」


ミハルは危険を感じて、停車を意見する。


「了解!ラミルっ停車しろっ。

 全員もう一度辺りを確かめろ。オレは砂煙を見張る!」


曹長はミハルの言葉に同意し、辺りの安全を確かめる。

曹長が前方2時方向で上がる砂煙を注視している間に、ミハル達は各々の視界を確認する。


「キャミー。無線に何か入って来ないか?」


曹長の問いに、


「いえ、何も。

 開始時に小隊長の訓練開始を告げる一言だけが有りましたが?」


「そうか。何台で標的になるとかは言ってなかったか?キャミー」


「はい。開始すると告げられただけです」


「・・・もしかすると、複数両で掛かってくる気かな?」


ー  曹長も知らないんだ。

   だったら、尚更早く発見しないと。

   射撃訓練に入る前に発見訓練だけで終わってしまう・・・


ミハルが早く発見しようと目を凝らして左舷側を見詰ていると、


ー  !居た!

   戦車回収用の力作車だ。

   でも、まだ遠い。有効射程には入っていない・・・


ミハルは標的車を見つけた事を車長に報告する。


「左舷8時の方向!標的車。距離2500!

ミハルはMMT-3の砲手としての実弾射撃訓練を実施した。

これからの闘いをこの座席で生き抜く為に。

次回Act6

君は生き残る為に尽くせる事をやり遂げろ。

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