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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep3エレニア平原Act39悪夢の紋章 再び

ミコトの力で先手を打つミハル。

敵駆逐戦車との決戦は続く!


目の前に立ちはだかる敵に魔砲の力で闘いを挑むのであった!

車体の揺れが急に無くなった気がした。


「なんだこれ?こんな所に道があったのか?このまま進むぞミハルっ!」


ラミルが一本の道を見つけてその平坦な路上を走らせた。


ー  うそっ!?本当に揺れが無くなった。今だっ!


照準器に捉えた敵の右前輪に十字線を合わせ即座に、


っ!」


((ズグオオーンッ))


間髪を入れずトリガーを引き魔鋼弾を発射する。


「ラミルさんっ、急停止っ!」


((ギャギギイイィッ))


此方の揺れが収まることは敵にも照準が付け易くなる為、

必ず射撃してくると思ったミハルが射線を外す為に急停車を命じた。


((グオオオオーム))


ミハルが思った通り、こちらの射撃を見た敵が155ミリ砲を放ってきた。


「ミハル!命中っ。敵は右舷の転輪からキャタピラが抜け落ちたぞ!」


ミハルの放った弾は狙い違わずキャタピラを破壊した。


((ビュンッ))


敵の155ミリ弾が数メートル前を通過していく。


「今ですっ!敵の内懐まで突っ込んで下さい。右側面へ攻撃を掛けますっ!」


ラミルが真っ直ぐ伸びる路上を急加速しながら、突撃を開始した。

その路面は先程の平坦さは無くなり、また揺れが始まる。


「さっきの平坦さが、嘘のようだな。

   神の加護の御蔭かな?ミハル」


ラミルが路面を見ながら、ミハルに問い掛けると、


「そう・・・ですね。多分・・・」


そう答えてミハルは思った。

ミコトの力が道を平坦にしたんだと。

その神官巫女の偉大な魔法力のオカゲだと。


「距離1500。

 敵はキャタピラを直しつつある。右舷側面を狙えるぞ、停車して撃つか?」


ラミルが停車射撃をするか訊いて来たが。


「まだですっ!もう少し近付いてっラミルさんっ!」


照準器の中で敵駆逐戦車のキャタピラが魔法で直っていくのを見ながら、

まだ近寄れると考えたミハルがラミルを急かした。


「後500メートル!距離1000メートルまで近寄って下さい。そこで雌雄を決します」


「・・・解った。後12秒程だ、射撃準備!外すなよっ!」


ラミルが決死の覚悟で叫ぶ。


「了解!決めてみせますっ!」


ミハルはその叫びに答えて自らの力を全てこの一発に込めようと誓った。


ぐんぐん近寄る敵魔鋼騎駆逐戦車側面。

そしてその側面に浮き出た紋章。

黒く澱んだ紫色のその紋章に、ミハルは気付いた。


ー  あれは・・・?まさか、そんな!?


「う・・そ・・でしょ。

 確かに砲塔を噴き飛ばして撃破した筈なのに・・・

 あれはKG-1と同じ紋章。

 タームや、ラバン軍曹。

 そしてカール兵長を殺したあのKG-1と同じ紋章?!」


そう、目の前に居る魔鋼騎の紋章は、間違いなくあの時と同じ紋章だった。

自分がマチハで倒した筈のKG-1に浮き出ていた紋章だった。


<まさか、生きていたとはね。

 しかもまた出会ってしまうとはね。これも運命なんだね?>


ミハルの心に、タームの声が聞こえた。


<そうなんだ、ミハル。

 この魔鋼騎に殺されかけたんだね。一度は倒したんでしょ。

 だったらもう一度倒してやろうよ。私達の分まで倒してやってよ>


アルミーアの声も聞こえた。


<ああ、そうだね。2人を殺した奴だもんね。

 倒してあげるから、見ていてねターム、アルミーア。

 絶対負けたりしないからっ!>


叫んだミハルが、右手の宝珠に力を求める。


ー  奴を憎みたい、呪いたい。

   でも、駄目。恨んでは駄目。

   憎しみはきっと憎しみを産むだけだもの。

   私は教わったから、諦めない強さと立ち向かう心を。

   だからもっともっと強くなる。

   立ち塞がるどんな壁も越えられる力を持ってみせるから!


「みんなの力で越えていこう。

 立ち塞がるどんな壁であろうとも、

 例えそれが私達より強い力を持っているとしても、決して諦めない。

 決して負けないから!!」


宝珠は輝く、ミハルの心と一緒になって。

その輝きはミハルの身体を包み込み新たな力となる。

新たな変化が魔法衣に現れる。

襟元に着いていたスカーフが模られ、金色の留め具となる。

上着の端に着いていたラインも蒼さを増して・・・上着自体が白くなっていく。

<<蒼の騎士>>の魔法衣へと・・・


「私は決して諦めたりしない。

 どんな敵に道を阻まれたとしても、私の夢を、希望を。

 そしてみんなとの約束を・・・

 だから、私は闘える。

 だから・・・勝つ事が出来るんだ!」


ミハルの瞳に敵魔鋼騎の悪しき紋章が映る。

その紋章は、黒く澱み闇へと堕ちた心を示していた。


ー  私も一度は堕ちた事があるから解る。

   あなたも堕ちてしまったのね、大切な人を奪われて。

   だけど、誰かに救われなければいけないの、その闇から。

   出来れば私が救ってあげたいけど・・・この弾で。

   解き放ってあげたい、この魂で!


ミハルの前に立ちはだかる魔鋼騎の紋章は、蛇が剣に絡まる<大蛇の紋章>


その悪しき紋章に堕ちた魂に、最期の勝負をミハルは挑む。


悪しき紋章を浮かべる敵魔鋼騎駆逐戦車SU-152。

その側面1000メートルに近付こうと走り続けるMMT-6。

敵はその邪悪な魔力でキャタピラを直す!

こちらに敵が砲を向けるのが早いか、それともミハルが射撃するのが早いのか・・・

決戦は最期の時を迎え様としていた。


次回 Last Shot<ラストショット> 

君は最後の闘いに生き残れる事が出来るのか!?

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