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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep3エレニア平原Act37真魔鋼騎!最終形態

バスクッチを失い皆が錯乱する中、ミハルは現世に舞い戻った。

仇なす敵を倒す為に・・・

「おいっキャミー!気を確かにっ!」


ショックで気を失ったキャミーにラミルが大声で呼び掛けている。


「キャミーさんっ、キャミーさんっ!」


装填手のミリアも砲尾から声を掛けて無線手席で突っ伏せているキャミーに声を掛ける。


「くっ、糞ぉっ!バスクッチが・・バスクッチが・・・」


キューポラで我を忘れて叫ぶリーンの声がする。


ー  みんな、我を忘れてしまっているんだ。

   この現実を受け入れられていない。

   そう、私も受け入れたくはない・・・けど!


「みんな、奴を倒そう。仇を討つんだ。攻撃するわっ!」


ミハルがマイクロフォンを押して命じる。


「奴はアルミーアの弾でキャタピラを切られている。

 ラミルさん、奴の側面に廻って。接近戦を挑みます。戦車前進!」


呼び掛けられたラミルは弾じかれる様にハンドルを切ってアクセルを踏み込んだ。


「ミハル!奴を倒せるのか?」


ラミルが前方を睨んだまま訊く。


「はいっ。倒せるのか・・・じゃなく、倒しますっ!」


蒼く輝く瞳を照準器に当てたままラミルに返答し、


「ミリア、連続射撃の準備!奴を、仇を討つ!」


今迄に無い力を感じつつミリアに命じると。


「リーン、リーン中尉。私に力を、力を貸して!あなたの魔法力を!」


碧く輝く髪を靡かせ、リーンの力の解放を求める。


「ミハルっ、解ったわ。あなたに託す、全てをっ!」


キューポラから降りて、砲手席のミハルの肩に手を添えたリーンが力を与える。


ー  リーンの手が温かい。リーンの力が私に流れ込む・・・女神の力が


2人の魔法力が一つに合さり、古来の魔法が発動する。

右手の宝珠から青く輝く魔法陣が現れ砲塔全体を埋め尽くす。


「これはっ!?」

「ミハル先輩?」


リーンもミリアも、その変化に眼を疑った。


「そう。これが真の力、真の魔砲力!」


車体外部に浮き出た<双璧の魔女>の紋章が、強く輝き出す。


砲塔から突き出た砲身が一回り太くなる。


「ミハル、これが本当のあなたの力なの?」


リーンはまるで別物となった砲尾を見て呟く。


「いいえリーン。これは私とあなた・・・そしてみんなの力なんだよ。

 この力は私達みんなの願いが形になったものなんだよ?!」


青く澄んだ瞳でリーンに頷く。


「ミ、ミハル先輩っ。これは?半自動装填装置なんですね、10センチ砲の・・・」


ミリアの前に現れた魔鋼砲は、信じられない装備を備えていた。


「ミリア、大変だろうけどお願いね。奴を倒すまで・・・頑張ってね!」


ミハルが優しくミリアに頼む。


「はい!センパイっ。」


頷き返すミリアに振り返り微笑むミハル。


そして右手を天に突き上げ叫ぶ。立ち塞がる敵に向って・・・


「全速力で敵側面へ突撃!攻撃開始っ!」


ラミルがアクセルを踏み込み最大戦速へと持っていく。

ミリアが次発装填装置へ魔鋼弾を番える。

そしてミハルは照準器を睨み、敵駆逐戦車の砲口が狙って来ているのに気付いた。


ー  あれは多分10センチ以上の砲だ。

   一発でも喰らえばそれで終わりだ。

   何としてもかわして奴の懐に入らなければ・・・


「ラミルさん、奴の砲口に注意して。的を絞らせない様に運動して!」


回避運動を取る様に言って、肩に手を載せてじっとミハルを見ているリーンに教える。


「あの敵も魔鋼騎だよリーン。

 しかもかなり手強い使い手みたい。

 だってアルミーアが切ってくれたキャタピラが、勝手に直っていくもの」


照準器を擬視しているミハルが、目の前で起きつつある現象を教えた。


「ミハル・・・勝てるの?あいつに?」


リーンがいまだにバスクッチを失ったショックから立ち直れず自信なさげに訊く。


「リーン、勝つの。

 私達は約束したはずだよね。必ず生き残るって。

 私がみんなを護るって・・・だから、きっと勝つよ。

 みんなの力を合わせれば、どんな高い壁だって越えてみせられるから!」


そう言ったミハルが、リーンに振り返った。


「ミハルっ!?」


リーンの瞳に輝く碧い瞳と、額に浮き出た紋章が映る。


「その紋章は!?まさか・・・あなたは!?」


ー  そう。この紋章はあなたを護る為にお師匠から頂いた聖巫女の紋章。

   今、あたしはこの娘と一つになってるんだよ、リイン


ミハルの宝珠が、リーンのネックレスに語り掛ける。


ー  そっか、ミコト。あなたが力を放つなら、私もこの娘に力を貸さなくちゃ・・・ね


ネックレスの宝石が宝珠に答える。


「そっか、ならば私も目覚めよう。この娘と共に」


リーンの口から出た声は、まるで女神が口語る様に優しく力強かった。


「リイン、往くぞっ!奴等の手先を打ち破るんだ!」


ミハルは照準器に捉えた駆逐戦車に向って叫ぶ。

ミコトの魂と共に。


「いいわよ、ミコト。

 あなたと一緒ならどんな相手にだって負けはしない。それが悪魔だとしても!」


リーンの姿を借りたリインの魂が、呼び掛けに応える。


そして始まる。

最終決戦の刻が。

ここエレニア平原での戦車戦に決着をつけるそのときが・・・


目前に迫る敵駆逐戦車。

それは敵の魔鋼騎だった。

車体の損傷を魔力で修復しMMT-6に挑みかかるその邪な力に、

古の<双璧の魔女>と共にミハルとリーンが立ち向かう。

次回 決闘の刻 エレニア

君は強力な敵に立ち向かう 必ず勝つと信じて・・・

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