表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
105/632

魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep3エレニア平原Act36諦めない想い諦めない力後編

アルミーアの魂がミハルに呼びかけて来る。

温かい力を授ける為に。

その想いを伝える為に・・・

その魂が、光と共に姿を現した。


「ア、アルミーア!」


その姿に驚きの叫びをあげた。

なぜなら・・・


「えへへ、ミハル。どうかな、懐かしいでしょこの制服」


アルミーアの姿は、幼年学校の制服を着て現れたのだ。


思わず叫んでしまったミハルに照れた様に服を見せたアルミーアが、


「ミハル、ごめんね。約束守れなくて。

 でも、あなたを護りたかったの。あなただけは必ず護るって決めていたから」


瞳を伏せてミハルに謝った。


アルミーアの魂に抱き着いたミハルは首を振って見上げる。


「謝らなくていいから。私だってアルミーアを護りたかった。

 この運命に抗いきれなかったから・・・だから、もう謝らないで!」


アルミーアに抱き付いて泣くミハルに、


「うん。解ったよ。私もみんなと一緒に護るから。

 これからはずっと一緒に居てあげられるからね、ミハル」


そっと抱き返してアルミーアは微笑んだ。


「そうだぞミハル。

 オレ達が付いていてやるからな。何時でも何時までも!

 だから悲しむな、前へ進むんだ。生きて、生き続けて

 ・・・いつも言っていただろ、強くなれって!」


バスクッチの魂がミハルに語りかける。


「少尉!?・・・そうでしたね。

 バスクッチ少尉に教えて頂いた事、忘れていませんから。

 これでも少しは強くなったつもりだったんです。

 でも今は・・・今だけは泣かせて下さい!」


ミハルはミコトの周りに揃った懐かしい顔、

自分の為に死んで逝った人達に涙で暮れた顔を向けて謝った。


「ごめんねみんな。私、私はまだまだ強くなれていない。

 まだみんなの助けが必要なの。

 お願い、みんなの力を貸して。私に運命に立ち向かう力を与えて」


顔を手で覆って泣くミハルに温かい手が肩に掛かる。

一つの手が二つになり、それがどんどん増えて皆が皆、ミハルの肩に手を置いて力を与えようとする。


涙を拭こうともせずミハルは顔を上げみんなを見た。

その顔どれもがミハルに微笑み頷く。


「ありがとう、みんな」


その顔一つ一つにお礼を言うミハル。


「一つ解った事があるんだ、ミハル。

 これをお前に言っておかねばならない。オレ達が死ぬ前に受けた電報の事だ」


バスクッチが重たい口を開いて気懸かりだった事を話す。


「そう、これを話す事が出来なかったのが心残りだったの」


アルミーアもその話に加わった。


「電報?何のことですか?」


2人にその電報とは何なのかを訊く。


「ああ、それはユーリ大尉が中央司令部に拘束された事と・・・」


バスクッチの後をアルミーアが続ける。


「ミハルの弟君、マモル君だったっけ。彼が行方不明になったの」


ミハルは自分の耳を疑った。


「え?アルミーア。嘘・・だよね。マモルが行方不明だなんて・・・」


ミハルの身体が震えて足元が定まらなくなる。


「ね、ねぇ少尉。嘘ですよね、マモルが・・・行方不明だなんて・・・どうして・・何故?」


2人の真剣な瞳に、冗談ではない事が解っても信じる事が出来ず、聞き返すミハルにミコトが言った。


「大丈夫だミハル。

 もう一人の継承者は死んではいない。お前の両親と同じ様に死んではいない」


その言葉がミハルの耳を打った。


「え?マモルも・・・お父さんお母さんも・・・生きている・・・の?」


「そうよ、ミハル。3人共ここに居ないでしょ?」


タームがミハルの肩に手を置いて教える。


「そう、御両親もマモル君も死界へ来ては居ないぞ」


微笑むバスクッチが肩を窄めて教える。


「だからミハル、あなたが救うのよ。3人を!」


アルミーアがミハルの肩をしっかり掴んで諭す。


「私が?」


顔を上げて皆に訊く。


「そう。ミハルがこの国を救うのと同じ様に。

 御両親も、マモル君も・・・あなたの手で救うのよ。あなたの約束を果すのよ」


タームが光の粒となっていく。


「そうだミハル、諦めるな。

 もっともっと強くなって彼らを取り戻すんだ。いいな、頑張るんだぞ!」


バスクッチもミハルの髪を撫でて光の粒になる。


「ミハル、お願い。約束して・・・私達の分まで生き抜くと。

 決して諦めないと。

 幸せになる事を諦めないと。誓って・・・」


アルミーアの手がミハルの小指を求める。


「諦めない・・・そう!諦めないから私。

 約束するよアルミーア。必ず3人を助ける。

 そして・・・生き抜いて見せるから。

 だからずっと一緒に居よう。

 私達大切な友達だもの、愛しているもの、アルミーアを!」


小指を絡めて約束したミハルに微笑みかけて、


「ふふふっ、やっと言ってくれたねミハル。

 私もあなたを愛しているわ。永遠とわに・・・」


アルミーアの姿は光の粒となって宙を舞う。


「ミハルよ強くなるのだ、新たな願いと共に。

 そして抗うのだ新たな運命に。

 例えそれがどんなに高い壁だとしても」


ミコトの魂が光の粒と化し、現れた魂の光と同化して巨大な光の渦となる。


「さあ!受け取れっ我等が力を、我らの想いをっ!」


光の渦と意識が混ざり、溶け合ってミハルは瞳を閉じた・・・


新たな運命に立ち向かう力を授かったミハル。

眼前に迫る強敵にみんなを鼓舞して闘いに挑む。

その額に輝くのは・・・


次回 真魔鋼騎!最終形態

君は立ち上がる!新たな運命に抗う為に!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ