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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep3エレニア平原Act35諦めない想い諦めない力前編

蒼い輝きの紋章がバスクッチ車から天に向けて噴き上がる。


それは、その車両が撃破された証・・・


乗り組んだ乗員の魔鋼力が失われた証・・・

蒼く輝いていた紋章が、弾ける様に天に向けて噴き上がり消滅したのと同時に、

バスクッチ車の砲塔が火炎と共に噴き跳んだ。


「あ、ああ・・・」


誰もが声を呑んで、その爆発音を聞いた。


ー  あ、ああ。こんなの夢だ。悪い夢なんだ。

   私は今悪い夢の中に居るんだ。早く目を醒まさなくっちゃ


目の前の現実を認める事が出来ず呆けてしまうミハルの耳に、無常な叫びが響く。


「バスクッチ車爆発!撃破されました!」

「ウ、ウォーリア?!」


ラミルの声とキャミーの叫びがレシーバーを震わせる。


ー  う、嘘だ。バスクッチ少尉がやられるわけないもの。

   アルミーアが負ける訳ないもの。こんなの嘘に決まっている。

   ・・・ねぇ、誰か私を醒ませて。こんな悪い夢から目覚めさせて早く!


照準器の中で、車体の開口部から炎と黒煙を上げ、

噴き飛ばされた砲塔を横たえて撃破されたバスクッチ車が映っている。

無限とも思える時が流れた様に感じたが、実際はほんの数秒の事だった。


<運命には逆らえない。そう言ったじゃないか>


右手の宝珠がミハルの心に訴えてくる。


<ミハルの所為ではない。それが彼女の運命だったのだから。

  抗えどもどうにもならない・・・その運命だったのだから>


ー  運命?アルミーアが死ぬと解っていて、それを止められなかった事が運命だと言うの?


ミハルの意識が宝珠の中へ入る。

目の前に神官巫女ミコトの姿があった。


「そう、それも運命。彼女達がリインとミハルを護る為に身を捧げる事も運命。

 抗えども抗いきれない宿命うんめい


ミハルを見るミコトの瞳は、悲しい現実から眼を背けるその心を諭す様に優しかった。


「そんな運命なんて認めない。認めたくなかった。

 だから、私が盾となってアルミーアを救いたかったのに・・・」


手を握り締め、歯を食い縛るミハルに。


「そうだな。私も出来る事なら彼等を助けたかった。

 だからあの時、お前に話したのだ。こうならない様にと。

 だが、運命は変えられなかった。これが現実なのだ。

 彼女を失った事は悲しいが、これが目の前にある本当の出来事なのだ。

 認めるしかあるまい、継承者よ」


瞳を曇らせ現実から眼を背け続けるミハルに、現実を突きつけた。


「嫌、嫌だ。こんなの嘘だ!」


溢れる涙をそのままにしてミコトに訴えるミハルの耳に優しい声が聞こえる。


「ミハル苦しまないで。もう泣かないで。

 彼女も私と同じだった、あなたを護りたい一心だったのだから」


ミコトの横から光が起こり、懐かしい人影が再びミハルの前へ現れた。


「!・・・タームっ!?」


美しい青い瞳、流れる金髪。

自分の為に死んでも護ってくれた大切な人。


死んでからもずっと自分を護ってくれているその人が目の前に現れた。


「ミハル、あなたは何も悪くない。

 あなたを護って死んだあの娘も、私と想いは同じだから。

 あなたを護れた事が何よりも嬉しい筈だから」


タームはミハルを抱締めて話す。


「ミハルを愛していればこそ、あの娘は喜んでこの現実を受け入れた。

 あなたの盾となる事を選んだのよ。

 その想いはあなた自身が一番良く判っている筈だよね?」


タームはミハルの髪を撫でて気付かせる。


そう、自分が死神ではない事を。

もし、自分の立場が逆だとしたらアルミーアやバスクッチと同じ事をしたであろうという想いを。


「ターム。私は・・・私はどうすればいいの?」


優しい魂に問い掛ける。


「そうね、ミハル。あいつをぶっとばしてくれないかな?」


もう一つの魂がミハルに喋り掛けて来た。


ミハルは優しい魂と語り合う。

一つの魂が皆の魂と共に力を与える。

今、ミハルは新たな力を手にする・・・


次回 諦めない想い、諦めない力

君は魂の繋がりを力に換える・・・

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