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第八章 戦いの始まり~防衛~

「光牙大佐。境界拠点から指示が来ました。読み上げます」

名古屋拠点、指令室にてオペレーターが境界拠点から来た指示を読み上げる。

今は火印中佐が結界をつくっていて、それに集中するため臨時の指揮官として光牙大佐が指揮を執っている。

「ほえー。この人数であの数をどうにかしようとはよく考えたものだなー」

感心しつつ指示を聞いている。

「でもこんなのできるのかなー」

少し不安そうに呟く。

そこで、横にいた闇導大佐が口を挟む。

「できるかではありません。やらなくてはなりません。そうでないとこの戦いは負けとなります」

「でもさー、そんなの普通に考えて無理……」

「やるんです!」

光牙大佐の言葉を遮り、闇導大佐が怒鳴る。

「わかったわかった。元々全力は出すつもりだったしさー」

軽く両手を上げ降参の意を示す。

「それなら早くしなさい。深月中将はもう二分ほどで位置につくそうではないですか」


およそ二分後、月影の組隊員は三部隊ごとにわかれ、結界の後ろ、拠点の中に待機していた。

深月中将からの通信で結界を解き、十人ほどを防衛のために拠点内に残し、その他の人は一斉出撃、攻撃が始まれば敵部隊後方から深月中将が崩していくということらしい。

「邦坂巴軍曹、大嶋(おおしま)(まこと)軍曹、具体的な作戦はどうしますか?」

山内(やまうち)結子(ゆうこ)伍長が問う。

巴隊は大嶋隊、山内隊と組んで、"D"の多い俺達が防衛の中心部を担うことになっている。

「結界が解けると、恐らく敵は突撃してきます。敵にどんな能力者がいるかわかりませんから距離をとりたいです。なので兄さんと櫂さんの能力で敵の前列の兵を倒します」

「兄さん?」

巴が話していると大嶋軍曹が不思議そうな声を上げた。

「あ、すみません。邦坂祐二等兵です。いつもの癖で……」

「いや、いいんだ。わからなかったから聞いただけなんだ」

大嶋軍曹―俺の印象としては人が良さそうで責任感もある、といったところだ。

「えっと、その後に出撃するといった感じでどうでしょうか?」

人数に差がありすぎるため、出撃すると乱戦になることは避けられない。

そのことを考えた上では作戦はこれで十分だ。

大嶋軍曹も山内伍長も頷いている。

すると、端末から声がした。

『こちら深月中将。結界を解くカウントダウンを始めます。五、四、三、……』

結界が解けると、まず俺と櫂が先陣を切る。ヘマは許されない、と、気合いを入れる。

『二、一、……』

そして、結界が解かれ始める。

その精度は素晴らしいものだった。

まるで、結界が敵の攻撃によって破壊されたかのように見える。

そして敵は結界を破壊したと思い突撃してくる―誘われているとは知らずに。

そこで俺と櫂は外に出て叫ぶ。

「舞え、フェニックス!」

鉄の魔法弾(アイアンズガン)、生成―発射!」

無数の炎の鳥が敵を焼く、俺は今では自分の能力を掌握している。

鉄の魔法弾が敵兵の急所を正確に貫いていく、その威力は防具や呪術符での防御では揺らがないものだった。

敵の多くの悲鳴が聞こえる。隊列も崩れている。

中心部が崩れたことで敵全体が崩れつつある。

そこで、他の隊員も出てくる。兵士たちがぶつかり合う。

そこで、敵後方で風が吹き荒れる。宙を舞っている兵もいる。

後衛は急襲に対応できていない。

完全に挟み撃ちの状態となった。


約十五分後、敵はもう百人ほどしか残っていない。

そこで、火印中佐の端末に連絡が入った。

「正斗、そっちの状況は?」

少し焦りを帯びた声色だ。

「月影の組は恐らく現時点で死者十三人、負傷者二十六人だ。敵の残りはざっと百人ほど、"D"は最初は一人いたが凄い速さで帰っていった。自己強化能力の(たぐ)いだろう。それよりどうした? そんなに焦って?」

「三千ほどの兵がこっちに攻めてきている。一分か二分もあれば戦いは始まるだろう」

「そうか……なら援護に向かおうか? それとも……」

綾斗大将は火印中佐の考えを()み取って言った。

「ああ。敵の頭を叩いてくれ」

「わかった。名古屋拠点の防衛には拠点内で待機している月影の組十人と深月たちを置いていく」

そう伝え、通信を切る。

そして、約一分後、敵を倒しきり、火印中佐は声を上げた。

「さっき、境界拠点から連絡があった。向こうで戦いが始まるらしい。だが、俺達は京都へ向かう。敵の頭をぶっ叩くんだ。負傷者と深月たちは拠点で待機、指揮は深月が執ってくれ」

そして、端末に向かって

「拠点内で待機している者に告ぐ。これより深月中将の指示で動くように」











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