表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/26

第二十四章 決着

「何だ……その力は」

目の前の施設長が息をのむ。

「その能力は何だ! 炎生成能力とはあまりにかけ離れすぎている!」

俺は自分が初めて炎を出したとき出し方を体でわかっていたような感覚や炎を熱いと感じなかったりしたことに漸く合点がいった。

自分の能力は単に炎をつくるものではない。火の精(サラマンダー)になるものだった。

火炎と化した身体は軽かった。いつもより何倍も。肉や骨もなく自分の意志が直接身体を動かせる。負ける筈がない。

「まさか、その力は神性をもつもので――」

高速で背後へと回り込む。

「だが炎である限り――」

空間を切断、俺と施設長の間に行き来不可能な隔壁ができる。

速さを活かし、横にずれて炎撃を叩き込む。

「ぐっ……」

相手は一歩引き、慈救(じく)(じゅ)を展開して数と展開速度で勝ろうとする。

だがそんな脆い守りなどないに等しい。一瞬にして燃やし尽くす。

「貴様ごときにこれを出さなくてはならないとはな」

初めて両手を同時に振るった。幾重にも空間断絶による防壁がつくられる。

だが、空間という概念でさえ、神の前には無意味だった。

炎が空間を焼き尽くす。

「よくも(ともえ)をぉぉぉ!」

炎の身体はもう施設長の目の前にあって――

「おまえだけはぁぁぁぁぁ!」

爆発的に火力が上昇する。

永遠の爆炎(エターナルフレイム)!!!!」

決して燃え尽きることのない火の精の火炎が煌く。

地面など容易に貫通し、下の階が見える。

相手は悲鳴をあげる間もなく――――


直ぐにもとの血や肉、骨のある身体にもどる。

「巴!」

急いで駆け寄ろうとするが、傷だらけの身体は言うことをきかない。視界が反転すると共に、巴の姿は視界の外に消えた。

壊れた床の下に落ちていく。

(ゆう)!」

「祐クン!」

がしっ、腕が誰かに捕まれる。

そして自分の背後には足場はない筈なのに後ろから背中を押される。

「兄さん!」

視線の先に巴が映った気がした――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ