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4話 街の行き方

「そんな事はどうでもいいので、街までの行き方を教えてくれ」


俺のもらった転生特典の素晴らしさを、熱弁しているアイリスに向かってそう言う。


『貴方……女神相手に、本っ当に失礼な態度ですね!! 終いには地獄に落としますよ!?』


俺だって神様相手に失礼な態度を取る気はない。

しかし、アイリスだけは違った、悪い意味で。


「だって、もうお前から神々しいオーラを感じ取れないんだもん」


『は?! これだけ神聖なオーラを発しているのに?!』


この女神は何を勘違いしているのだろうか……、もう一度自分の言動を思い出したほうがいいと思った……、


「『俺TUEEE』だの『七つの玉を集める』だの、女神を語るなら言動には気をつけやがれ!」


と言うか、言った。


『グッ……。あ、そう言えば、街への行きたかでしたっけ? それならケータイのナビ機能を使うといいですよ』


アイリスは、相変わらず、自分が不利になった途端に話題を無理やり変える。


どうせ指摘しても『え? 何のことですか?』の一点張りになるのが目に見えたので、余計な事は言わない。


「ナビ機能? そんなのあるの?」


『はい! もちろんです! 「貴方の位置情報をこちらで受信して、地図と照らし合わせ、最短の道を表示する」と言う、画期的なシステムです』


アイリス自信満々に言ってくる。


完全にGPS。


早速使ってみるか。


【目的地を入力して下さい】


…………終わった。


目的地の名前が分からない……。


え、何? 街って打つの? やって見るだけやってみよう。


【候補が多過ぎます】


ですよねー、なんかわかってた。


途方に暮れている俺を見て、


『どうなさいました? あ、もしかして使い方が分からないんですか?』


アイリスが、少し小馬鹿にしたように話しかけてきた。


何だこのアホ女神、めっちゃ腹立つわ……。


いや、ちょっと待てよ?


流石にこのアホ女神でも、街の名前くらいはわかるんじゃないか!?


『なんか、失礼なこと考えてませんか?』


俺の心を読んだのか、そんな事を言ってくる。

そんな事はどうでもいい、今は街の場所を教えてもらうのが最優先だ。


「してないしてない、それよりここから一番近い街って、何ていう名前なんだ?」


アイリスの質問は適当に流し、街の場所を尋ねる。


知らなかったら、連絡先の名前、意地でも《アホ女神》にしてやる。


『ストラの街ですね』


流石は女神、迷いもなく答えた。


「なんかゴメンな」


聞く前から『こいつでは分からないだろう』なんて決め付けていた事に対して、申し訳なくなってきて謝った。


『なんで私謝られてるんですか?』


なんて言ってくるが、勿論華麗にスルー。

理由なんて言ったら、絶対キレるし……。


さっそく目的地の所に、《ストラの街》と入力し決定。


画面の地図に表示されたのは、目的地に向かって一直線に伸びる線。


そりゃそうだ、


こんな森の中に舗装された道なんて無いんだし、どこ通っても同じだもんな。


それにしても、このナビ使い辛い。

元々、ガラケーは画面小さい上に、縦固定。


なんでスマホ型にしなかったのか、非常に不思議だ。


『設定出来ました?』


「ああ、出来た。ありがとな」


教えてくれたお礼を言うと、


『……お礼言えるんですね』


失礼な感想が返ってきた。


「言えるわ! そろそろ電話切るぞー」


移動するので、電話を切る断りを入れる。



『わかりました。

…………あの、次は……いつ電話してきてくれるんですか?』


アイリスが、少し躊躇いながらそう尋ねる。

それに対するユキヤの返答は、


「そうだな、また気が向いたらするよ」


素っ気ないものだった。

〈気が向いたら〉その言葉は残酷だ。

次、電話が来るのはいつか分からない。一週間後かも知れないし、一ヶ月後かもしれない。もしかしたら明日かもしれない。


しかし、しないとは言っていない。


一層の事、「しない」と言ってくれれば楽なのに、そう思う反面、嬉しくも感じてしまう。


『もう、バカ……』


嬉しさと寂しさの混じった感情を、どう言葉にすれば良いか分からないアイリスは、そう呟いた。


「あの……」


『どうかなさいました?』


「その『ダメ男に甲斐甲斐しく世話をする彼女』みたいな解説入れるの止めていただけませんかね?!」


さっきから、会話の間にちょくちょく解説を入れてくるアイリスに突っ込んだ。


『あ、ダメでした?』


さっきの、会話の時のようなしんみりした雰囲気はどこかへ吹き飛んで行ったらしく、呆気らかんに答えてくる。


「ダメだよ! つか、さっきの解説何!? もしかして俺の事を?」


『別に好きではありませんよ?』


「でしょうね!!」


わかっていたし、俺も別にアイリスの事が好きだった訳では無いが、即答されてショックを受けてる自分がいる。


『大体、神である私が、人の子を恋愛対象で見る訳無い……


ブチッ


アイリスの話の途中で、電話を切った。


うん、場所もわかったし、街に向かいますか





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