1話 どうやら死んだらしい
更新率は低いです。
内容は、超テンプレです。
暇つぶし程度に読んでいただければ幸いです。
「こんにちは、五郷 優希也さん」
目を覚ますと、優しく微笑みかけてくる女性がいた。
「……あ……その……えっと……どちら様ですか?」
突然知らない女性から話しかけられた緊張で、咄嗟に出た言葉がそれだった。
ユキヤは人見知りをする方ではない。
初めて会った人にも、そこそこ饒舌に喋る事が出来る程度のコミュ力は持ち合わせていた。
だから、ユキヤが緊張せざるを得ない状態になった原因は、ユキヤ本人ではなく、その話し掛けてきた女性に有ると断言してもいいだろう。
そう、その女性は美し過ぎたのだ。
腰まで伸びる黄金の髪、よくギリシャ神話とかで出て来そうな、純白のローブから伸びる細く長い手足、豊満な体つき、聞くだけで癒されるような声、整った顔立ち、
この世の物とは思えないその美貌には、神々しさすら感じる。
昔の知人や、遠い親戚かもしれないのだから、第一声が「どちら様?」では些か失礼ではないか? と思う人がいるかもしれない。
だが、ユキヤには確信があった。
こんな美人、一回見たら絶対に忘れない。
それに、自分の家族や親戚の顔を思い出してみても、無い遺伝子は受け継ぎようがない。
つまりどう間違っても、こんな完璧フェイスが誕生するはずがない!!
だから初対面、そう結論付けた。
じゃあ、この人は……「なんで俺の名前を知ってるのか? ですか?」
そうクスクス笑いながらユキヤの思考回路を読んできた。
「そういえば自己紹介がまだでしたね。
初めまして私の名前はアイリス。えっと、貴方たちの使っていた言葉で言うなら女神……とでも言っておきましょう」
「あ、これはどうも、御丁寧に」
普通の人が、自己紹介で「わたしは神です」なんて言ったら、痛々しい人だと思うかもしれない。
だが、目の前のアイリスと名乗った美人が言うと(信じるかどうかは置いといて)説得力はあった。
きっと『ただし、美男美女に限る!』と言う奴だろう。
なんて理不尽な世界……。
「あの、そろそろ本題に入っていいですか?」
自称女神のアイリスが申し訳なさそうに手を上げて話す。
「あ、すみません。本題が何かはわからないけど、入って頂いて大丈夫です」
人との会話中に、自分の世界に入るのはどうかと思う。
これからは気をつけよう。
「ありがとうございます。では早速、残念ながらあなたは亡くなりました」
「…………ワンモアプリーズ」
「残念ながら、あなたは亡くなりました」
「……マジっすか?」
「マジです」
冗談かと思って何度も聞き直すが、どうやら本当らしい。
ええ、いきなり死んだ宣言された……。
「あなたの死は我々の失態でもあります。神という立場でありながらあなたを救う事ができなかった。
大変申し訳ございませんでした」
人が突然死ぬなんて、よくある事なのに、
アイリスは自分の不甲斐なさを痛感し、俺の死を悲しんでいるように見える。
この人は素晴らしい人だな。
これからは女神様って呼ぼう。
きっと女神様の様な、心の優しい人が沢山居たら、世界は優しさで溢れかえるだろう。
「女神様、顔をあげてください。貴方は何も悪くありません」
頭を下げている女神様に頭を上げるように促す。
「ありがとうございます。
そういえば、その、生前の記憶とかはありませんか?」
女神様が少し聞きにくそうに尋ねてくる。
そう言えば、自分の名前や親戚などは覚えているけど、死因とかさっぱり思い出せない。
「多少はありますけど、死因とかは全く覚えて無いですね」
「そうですか……」
その返事を聞くと、女神様が俯いてしまった。
また、落ち込ませてしまったのか? と思い、別に気にしてい無いと伝えようとすると、
「…………よかった」
女神様がボソッと何か言った。
え?
「今、良かったって言いました?」
聞き間違えかもしれないし、一応聞いておく。
「え!? そんな事言ってませんよ?」
あれ? 今反応おかしかった事ね?
「そ、それより、あなたに良い話が有るんです! 異世界転生に興味はありませんか?」
そう話す、女神様は心なしか焦っているように見える。
つか、
「今、強引に話変えました?」
「え? なんか言いました?」
あ、この人誤魔化す気だ。つか、聞こえないフリとか、鈍感系主人公かよ。
俺の中での信仰度が急激に下がった。
「なんでも無いです、それで異世界転生でしたっけ?」
ネット小説でよく見るワードの話に戻す。
「はい! 貴方には二つの道を選ぶ事ができます。
一つ目は、記憶を消去して一から生まれ変わる。
二つ目は、記憶をそのまま持って、別の世界に行く。」
「ちなみに、オススメは?」
絶対二つ目だろうけど、一応尋ねておく。
「貴方の予想通り二つ目ですね。
一つ目のは記憶が消去されますので、心身共に貴方という存在が終了する事を意味します。
しかし二つ目は、記憶と身体はそのままで、超人的な力を持って異世界に行けますので、俺TUEEEEになる事間違いなしです」
俺TUEEEEなんて俗物な名詞、よく知ってるな。
更に信仰度が下がった気がする。
「でも魔王とか居るんだろ?」
もう尊敬語とかなくなった。
「ご明察、しかし御安心を、勇者候補は他にも沢山送られていますので、強制ではありません」
まぁ、気楽ならそっちで良いや。
「二つ目のでお願いします」
「わかりました! では、持っていく神具をご用意しますね!」
そう言って取り出してきたのは、どう見たってリンゴ製のタブレットだった。
「え、何これ?」
「これは、貴方に最適な神具を選ぶ機械です! 画面に手を置くと、貴方を解析して、相性の良い神具を選んでくれるという優れものです!」
懇切丁寧に説明してくれた。
何だろう、一気に胡散臭くなった気がする。
まぁ、疑っていても仕方が無いし、
タブレットの画面に手を置いた。






