これはSFではありません
「よし、ワープだ」
通信機越しのキャプテンの言葉に、操縦室に座る乗組員たちは続けて「ワープ」、「ワープッ」と口にする。
大気圏再突入の降下角度が深すぎた有人有翼宇宙船に、変化はない。熱防護システムを上回る摩擦熱などにより外壁温度がぐんぐん高まり、異常を知らせる計器が激しく点滅している。
「ワープ!」
「ワープッ!」
「ワープッッ!」
繰り返される言葉。願いを込め、祈りを込め。何度も、何度も。うわごとのように、悲鳴のように。
有人有翼宇宙船はぐんぐん加速を続けやがてその姿を、消した。
おしまい
ふらっと、瀨川です。
他サイトの同タイトル企画に出展した旧作品です。2007年。
完全に燃え尽きちゃわないとは思うのですが、それ以上にワープ機能があるのかよということで。