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-闇の中-
そこは見渡す限りの闇だった。
音は無く、前後左右といった平行感覚も無い。
なのに、全身が少しづつ沈みゆく感覚だけは感じ取れた。いや、正確には『沈む』のではなく、周りを包む闇が『濃くなっていく』、そんな感覚。
そこには普段の様な闇に対する恐怖感は無く、ひんやりと程よく全身を冷やして寧ろ心地が良い。
やがて、その居心地の良さから睡魔に誘われ意識が朦朧とし出した頃、遥か頭上に小さな光の点が灯った。
光に途切れかけた微かな意識が繋ぎ止められ、この虚無空間に対する当然な疑問をようやく発起させる。
ここは、どこだ……?