へへへ
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孝太は、飛び起きた。
また、身体がのんびり惰眠を貪っている場合じゃないぞと、警告を与えたのだ。
がばぁっと身を起こすと、うっすら明るくなり始めていた。
電気は消えていて。
その朝の薄明かりの中、彼は恐る恐る隣を見たのだ。
美奈子が。
美奈子が、ぐっすり眠っていた。
きちんとパジャマを着て。
あれ、オレ?
一瞬、全てのつじつまが合わずに、首をかしげかけた時。
自分の服が、枕元にたたんで置かれている。
彼自身は、パンイチの状態だった。
夢じゃ、ないよな。
昨夜の記憶をよみがえらせながら、孝太は必死に過去を反芻しようとした。
それだけしか、いま彼に出来る材料はなかったのだ。
ええと。
美奈子を、見下ろす。
告ったよな、うん。
ちゅーしたよな。
そのまま──そのまま、ええと。
……したよな。
顔も痛けりゃ、身体も痛い。
腰も痛けりゃ、アレもなんかジンジンする。
そっか。
ようやく、孝太はほぉっとため息をついた。
そっか、オレ、美奈子さんと。
緩む顔も止められず、孝太はによによしながら、彼女を見つめるのだ。
そんな美奈子が、布団を探すような動きをする。
彼が起き上がったせいで、上半身の布団がはがれてしまっていた。
慌てて、孝太は布団にもぐりこむ。
へへ、へへへ。
そして、冷えかけた彼女をヤニ下がったまま、抱きしめたのだった。