キリ○、アサ○、サ○トリー! ビバ! 麦般若!!
ようやく仕上げた報告書をプリントアウトし、端を揃えて上司の机へ提出した頃にはすっかり月が昇りきっていた。
照明のスイッチを落とし、バックを肩に掛けながら外に出て行くと、しんとした空気が身に染み渡る。
深呼吸と共に伸びをし、体の凝りを追い出したらもうすることはただ一つ。
残業帰りのお楽しみである家飲み晩酌の仕入れ、コンビニ参りだ。
お酒は当然ビール。缶は350mlか500mlか。
おつまみもスナック菓子か、冷凍のピザか。
レジの隣の唐揚げといったあたたかい揚げ物などもいいかもしれない。
そんなことをつらつら考えながら歩いていくのもこれまた楽しいのである。
……まあ、本来なら清浄を旨とすべき巫女にはビールのようなお酒や生臭物とされるお肉(を使う唐揚げなど)の飲食は許されていない。
成長期には体の発育のために適用されていないが、成人した巫女については禁止されている。
しかし何事にも例外はつきもの。
そして禁止されればされるほど試したくなってしまうのが人間の性分というものなのだ。
事実、お酒のことを般若湯といい一部のお寺では許されていた歴史もある。
よって日頃の禁止令とは別に、一族からの仕事を終えた後は例外とされていた。
つまり、成果はともあれまさに今日あの従兄弟殿との対峙を終えてきた私にはこの例外が当てはまる上、せっかくの権利を手放す気などさらさらない私は文字通り歌うように……ならば歌詞は、キリ○、アサ○、サ○トリー! ビバ! 麦般若!! といったところか……と最寄りのコンビニへ足を運ぶのだった。