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「…………っっ!!」

 あの腹立たしい宣言を聞かされてから大分経つ。

 だが前述の通り私はあれを押さえられず、それどころか私があれを逃がすことが慢性化しつつあった。

 自分の全てを賭けて挑むものの、涼しい顔で常にすり抜け、悠々と現れては幻のごとく去って行く。

 一族の中ではあれと私を某三代目怪盗と先祖が岡っ引き警部に例える者すら出てくる始末だ。

 情けないことこの上ないが、それにも関わらず私が一時期外されたことはあっても現在のように復帰してからはあれの担当から外されなかったり、あるいは一族総出で押さえにかからないのはひとえにあれの器用さにあった。


 そもそも一族の霊力とは女系の遺伝、すなわち母から娘へ、娘から孫へと主に伝わっていくため、例外で受け継いだあれと私を含む一族の娘の霊力の差など本来ならば話にもならないものだった。

 しかし実戦では時に机上の数値・計算が通じないもの。

 逆に霊力がさほどなかったからこそその霊力を効率的に使い、霊力の高さゆえに霊力で押してしまい持久戦だといくらももたず、巫女たちをスタミナ切れに追い込んではよく征していた。

 すると負けるはずもないと侮って相手をした巫女たちはすっかり自信を失い、使いものにならなくなって帰ってくるのである。

 おまけにあれの口の容赦がないこと。

 いずれ一族を支える巫女となると文字通り大事に大事に育てられてきた箱入り娘の手になど到底負えるものではなく、結果、一部で「雑草」と陰口を叩かれているしぶとい私が不本意ながらもこうして担当し続けているわけなのだが。

 逃げられ続けるのも今に始まったことではないし、どうやら取り柄と評価されているらしいしぶとさを発揮してまた対策を練り次に捕まえればいい話なの、だが。

 だが、それでも。ああ、それでも。

「…………っっ!!」

 今回も捕まえられなかった自分に対する憤りやあれに対する苛立ちに再び怒りを吹き出しながらも上司の指示通り報告書を作成すべく、私は静かな月明かりとは対照的に足音荒く自分の机へ向かって行った。

斗姫からのお言葉

「どうも、主人公です。情けなくてすみません。今回はあれの話と私の話でしたね。次の更新は海の日ですが、その前の6月中に一件本編へ出張の予定が入っております。本編ともどもどうぞよろしくお願いします」

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