24/25
「おはようございます、っと」
今の部署の人員は、いたってシンプルなものだった。
上司、私、総務から来る事務方。これで終わり。
しかも事務方は必要な時しか来ないため、実質的には上司と私の二人きりだった。
そして私が何を言いたいかというと、
「おはようございます、っと」
職場のドアを開けて挨拶するも、何の返事もないこの状況を、誤解されたくなかったからだ。
「私を迎えてくれるのは今日もアンタだけ、か」
そう言いながら入り口の観葉植物をちょんと突つくと、私はバッグを置くべく、自分の机へと歩いていった。
職場に誰も居ないのは、予想していたことだった。
事務方が総務から出張してくる時期ではないし、今の上司は喫煙者だ。ギリギリまで喫煙所でねばってくる。
戻ってきた時のにおいは凄いが、タバコが駄目なわけでもない。
そんな私はパソコンの電源を入れ、左手に空のじょうろ、右手にマイカップを持つと、給湯室へ向かうべく、再びドアへと向かっていった。
何せ、この部署の最古参といったら、あの観葉植物なのだから。