エージェルト家の妖精姫と人形姫
ノックス大陸アビッソ王国
東方に位置する巨大な領地カタストローフェ。
その地を収めるのは、王家、大公家に次ぐ、三大公爵家の中でも大きな力を持つ名家エージェルト公爵家。
かつては、大公家と互角の力を持ち、王家もそうそうに気を使わなければいけないほどの力を持っていたが、それは5代前を最後にそれは終わった。
4代前の公爵であるトント・イディオタは、小児性愛者で自身の年の離れた妹と結婚したのから始まり、
3代目のテメラリーオ・グアイは正妻を持たずの近い叔母や伯母に手を出し奇形児が生まれるようになった。
唯一普通であった後の先々代当主スポリオ・ルミナスが跡継ぎとなったがたくさんの愛人を抱え、愛人のおねだりを全て受け入れてしまったため財政は一気に傾いた。
幸か不幸か、スポリオと愛人達との間に子どもは出来ず、異母姉の正妻が産んだ長男のサガードガ・タイナが継いだ。
サガードガは見る影も無くなったエージェルト家を立て直すために様々な政策を打ち出したが、当主を継いで1年後に毒殺された。
サガードガには子どもがいなかったため、その弟であるイディオート・ドゥム・エージェルトが現当主となったのだが、こいつは意味不明なトンチンカンな政策を出し続け、かつては王国一と言われていた領地の3割をスラムにしてしまったのである。
それどころか、商店の4割ほどが宿屋や娼館であり、税に関しては男女問わず収入の5割〜7割が持っていかれるという地獄を生み出した。
更に性格も最悪で、自分が王のように振る舞っており、丸太ように太っていた。
イディオートはエージェルト家の分家出身の妻との間に4人と子どもをもうけたが、
嫡男であるレフトは何の取り柄もない崩落息子で連日娼館に通い続け娼婦達を孕ませては逃げいているというどうしようもない人間であった。
夫人と次女のコンフィルは湯水のように金を使い贅沢を極めた。そして、領民の顔が気に入らないという理由で処刑や増税を命じた。特に次女のコンフィルは自分を中心に世界が回っていると思いこんでおり、自分のおかげで世界が回っているため何をしてもいいと考えていた。
しかし、そんな公爵家にも2つほど救いはあった。
長女のアリシア・フローラ・エージェルトと三女のレイス・ティオーナ・エージェルトだ。
長女のアリシアは領外からはエージェルト家の妖精姫と呼ばれるほどに美しく、才知あふれ、柔らかい人柄で社交的だった。アリシアによりエージェルト家の領外でも面子は保たれていると言っても過言ではないだろう。
次に三女のレイスだが、彼女は余り社交向きという性格ではないが、アリシアに負けず劣らず優秀で、彼女のおかげでエージェルト領がギリギリ保たれおり、更に領民からの人気も高いため一揆や革命などが起きない。領民からは人形姫と呼ばれている。
エージェルト家はこの二人の姫に救われているも同然なのだ。




