11.ショーマストゴーオン
「怪滅委員会が何の用?私はお祝いムードに水を差されて機嫌が悪いわよ」
「お話だけでも聞いてくれませんか〜?」
聞くところによると、後輩がヘマをし、ショーマストゴーオンのショーに囚われてしまったらしい。
今は主要な委員は出払っているから掃討委員会に助けを求めに来たとのこと。
「じゃあ私が一瞬で消し飛ばして終わらせちゃうからちゃっちゃと案内しなさい」
「それがですね〜」
彼女がモニターを見せてくる。そこに映っているのは信じられない光景だった。
「ショーマストゴーオンが何体も…?」
「そうなんです〜」
ショーマストゴーオンは複数人での討伐が推奨されている。それが何体もいるのであれば必然的に頭数が要求される。
「チッ仕方ないわね。司、ミナミ、"火かき棒を濡らす"、ドラプス。直ぐに行くわよ」
「うす」
「はい!」
「いざ往かん…」
「うぃ」
ショーマストゴーオン。性質は恒常性による不死と適応による変質の両立。両立の鍵となっているのは見世物であることだ。
いくら殺そうとも60日程の周期で復活し、公演を行う。
外部からの干渉を受け付ける代わりに強い強制力を持つ現実改変能力を持つ。
単独での挑戦は非常に危険だ。
「まさか増えるとは思わなかったな」
「本当に増えているのか幻覚かはわかりませんがうちの後輩達はやられてしまったんです〜」
座標を指定し、移動する。
移動先で悍ましい光景を目にすることとなった。
「チッ…演目は処刑ショーかしら。断頭台に触れると一瞬で拘束されるから気をつけなさい」
そこには、大量の断頭台が円形に並べられ、劇場を作っていた。
「ああ!ああ!新たな観客!実に喜ばしい!」
声が聞こえた瞬間、僕達は並べられた断頭台の中心にいつの間にか移動していた。
断頭台の劇場の中心にいたのは、大量の仮面の破片で顔が構成された紳士のような服を纏った人型だ。
「処刑ショーはど〜〜〜うしても人を捕まえなくてはなりませんから…観客が足りなくなってしまい困っていたところですヨ」
劇場の中心に断頭台がいくつも躍り出てくる。断頭台には何人かの人間が拘束されていて、僕達と同じ制服を来ている者もいた。
「助けてくれ!」
「もう嫌だ!」
そんな悲鳴がいくつも聞こえる。助けようとしても、体が動かない。
「さあさ皆さんお立ち会い!まずは景気良く、逝っちゃいましょう!」
断頭台の刃が勢いよく落ちる。僕達は動けず、刃が首を貫く所を見ているしかなかった。
「ああああああああああああ!!!」
叫んだのはミナミちゃんだった。
「良〜〜〜い音が聞こえましたね!絶望の悲鳴、たまりません!観客の女の子も楽しんでくれているようで。他の皆さんももっと盛り上がっていきましょう!第二幕!」
視界を赤い幕が覆う。幕が消えると、首を落とされ死んだはずの人々の首は繋がっていた。だが、断頭台に縛りつけられたままだ。
「処刑ショーで間違いない。あの冒涜的な断頭台の上では生死は奴の思うがままよ。直ぐに片づけましょう」
「だが…ショーマストゴーオンは複数人いるのだろう。実際我々全員が縛りつけられ、身動きが取れん」
本来ショーマストゴーオンが縛りつけられる観客は1人までだ。僕達全員が動けないとなると、全員分のショーマストゴーオンがやはりどこかにいるとしか考えられない。
「疑問にお答えしましょう…。他の私には裏方に回ってもらいました。良いショーを作るには裏方が不可欠なのですヨ!」
教えるのは余裕の表れ。どうしようもあるまいと見縊っているのだ。
と、同時に夢火井委員長が手に光を集め──
「舐めないでよね!『消し飛べ』!」
──光と爆音が、辺り一面を包み込んだ。




