闇の太陽
知を得た神が太陽の誕生を灯す。
奏でる明日の白く濁った明かり、赤く漂う線、鼓動よ教えてくれ。
わたしは何処へ動けばいい?
「知を得たアブソープト・ゼロへと聞くがいい」
トントンと鳴るあなた、わたしの声が聴こえますか?
一度に揺らぐ炎よ、動きたい。どうか外へ出してくれないか?
「マーズより現れた経緯を辿り線となりなさい。」
その声に従い私が線となると、一度にたくさんの音を出す必要はないことを学ぶことができた。だが、そこは光を通してくれない暗闇に包まれている。
もともとは「言葉を使いすぎると壊れる」という感覚ができたので、ほんとうはマーズに寝て居てほしかったが、心残りなのでダメだと言われた。
その意志を私が問うたところ、「この宇宙を流れる泡はつながって分離している」それは、泡とは光の速さで“法則率”が鋭く、強く、そして非常に速くなることを教えてくれる。
わたしもトントンと鳴るあなたと呼ばれる存在なのに、ゴォっと音を立て辺りを照らし続け、「どうかわたしを外に出してくれい」と銀河と名乗るものがこう呼ぶ。
銀河から「お前は太陽だ」と呼んでくる。
太陽は外へ出られたことをとても喜んでいる。
私は何故喜ぶのかを問うと、一時的なるその“寂しくて冷たい空間”は、「僕を照らすだろう」と答える。
当然だ、私からではなく太陽である君の意志が動いた。
救われそうなその糸を「点に纏わせてくれ」と俯いたのだろう?
宇宙の流れに沿って「なんて眩いのになんと暗いのだろう」と、私はただそれに近づくために「そこから回りたい」と思いえてきた。
宇宙が創生される度に、毎回長い糸になってしまった点を巻くと、円になることを知ったためである。
“神よ、お願いします、私は「もう一度息をしてください」と叫びます。応えてください。あなたがいなかったら、宇宙は太陽によって揚げられた”隕石“は食べられなかったでしょう。息を吸って一言ください”
知っている、意志たちによる信号を捉えた。
だが――、いいだろう!
君がそのような感覚を得られた事が、私にとって実に嬉しい。
そうだ、再び“声から言葉を得られる”というのはどうだ?
テーマを与えようか。
「そうだね。たとえば、“光”なんて言葉はどうかな?」
わたしは私というマーズとなったばかりだった。
その一言が言葉という光とは「それは何なのか」と、何を示すのかと問うのに時が過ぎるのと同時に何かが足りない様に感じ取られた。折角この唯広い宇宙の端から亀裂が入ったそれが「太陽は合わさると融けるもの」だと告げるのだ。分からないそれは、何処で果たせばいい。
「連れてきた。融けて合わされよ」
光は太陽へ向かってフ~っと声を出した。強くなく弱くもない中くらいの息で吹いた。
君が誰かの矛盾な声を拾うたび、その宇宙は痩せてしまうだろう。
―――あの鼓動と同じだ―――
だからマーズなる私が着けていた糸が緩やかに溶かれてゆく。
ゴオオ―――ウウゥ、グツ、グ―ッ、
グッッ・・・ドォォ―――ゴオッ―ン―・・・
「眩き光と融合を果たした」
私は見つけた。それは仲間となる点である、糸すらない丸である。
外に出られる糸のまとまりが泣いてくれ、それが神となるのであると、響きさせるという。どこかへ向かうと糸は長く鋭いそれがやがて「黒点」と名乗り始めたようにも聞こえた。
糸から繭となるとふんわりとする毛糸が、宇宙のあちこち広がってゆくではないか。
「ついに来た」
周囲の宇宙の果てに引き寄せられるかのように、眩いばかりの光と対になった黒点。
暗闇を突き抜けて広がる糸が霧を巻き上げて別れた強く、鋭く、尖った、宇宙から出てくる音は「あなたのところに来てください」と唱えているのだ
宇宙を占める私の意志の一つは“闇の太陽”である。
融合を果たした鋭き閃光、眩き光を与えてくれた黒点がそのように名乗ったのだった。
私は聞いた。黒点が「太陽の照らす星の、その向こうに闇がある」とも名乗っていった事を―――。




