零(れい)創輝:宇宙よ再び
「意」を称えよ・・・
君は・・・あなたは?
寒い。
誰かが零の世界線より現れ、
何かの都合で”シースペイン・アイン”により再び訪れたのだ・・・。
なるほど。
そうすると、我が場を再び求めると?
その「意」を称えよ
――!
「 ・ 」
僕は只の点だ。冷たくて寒くて凍えそうなトコロに、理由もなく一つだけ存在しているんだ。その周りは白くて目がチラつくような広い空間だけが見られる。そこにはドロドロと赤、青、紫、黄色の波が蠢いていて、音さえしない場所なんだけど疲れちゃうねぇ・・・。言葉が浮かんで仕方ないんだ、寂しいなァ~・・・
「ピクッ」
あ、また覚めた。君は誰なのですか?
僕はまた同じところに居るのに、一つだけですよ。
二つ目は無いのかな?
「 ・ 」
チラつくそこへと向かいたいのだけど・・・こんな、ちっちゃい点だと瞬間光線にならなくては向かえそうにない。どうにかしなくては寒くて凍えてしまうよぉ~どうしよう~?
その言葉こそが知となる、それが僕だしもう少しこの体が大きくなる方法はある筈なんだけど・・・あれ?
「・ ・」
よく見ると点が二つに別れたモノが出来ていた。黒くて油のように流れているみたい。弱ったぞ。この僕が助けてあげなくちゃ、彼等も寒くて凍えてしまう・・・どうにか体を膨らませなくては僕達、3つとも死んじゃうの。君達へ届けよ、この体!
「 ● 」
は――っ、ふゥ―――ッ、結構疲れる。力むとその場に近付ける気がする。さあ、君達を助けにゆくぞ、それ―――!キュウウウゥ――――アゥウ――・・・まだその白い空間がチラつく。僕はまだまだ小さいのかな。何だか線のようなモノが見えてきたんだけど、余計冷たくて何だか気持ちいい。もっと、キュウゥゥウウゥ――――・・・動け!
ポッゥ―ォ・・・トォンっ・・・おお?この感触は・・・あ!
「戻される、いけない!」
「え?僕のことを呼ぶ君は!?」
「さぁ、もっと言葉を、練り込め――!」
白い空間よ、僕を彼等の方へ導いてくれ。赤い流れよ、僕をそこへ乗せてくれ、青と紫よ、僕を包んで!そして黄よ、彼等をどうか大きくしておくれ!ついでに線を増やしてくれ、もっと早く強く勢いよく僕をその白の外へと向けてよォ―――ッ!
「●/●/」
あ、見付けた・・・やっと僕は彼等と共に外へ出られるぞッ、さあ君達も僕とぶつかってくれ!そしてこの広い空間を跳ねて弾んで突き抜けてみよう!
「・・・●/▽/▲/□/◆・・・」
白い空間を跳ねては弾み突き飛ぶほど点々と増えては形を変えて膨らんでゆく。皆は僕と一緒に撥ね盾となってさらに突き抜ける点へとしてくれ、それに沿った線の長さまで伸びてゆく・・・彼等は意志を持っていたんだ!さあ、僕と融合してゆこう!
ドォォ――――ン・・・・――ォン
強い音と共に僕を突き抜ける線が白い空間を突き破る。痛い。僕は死んだの?
「やっと出られたんだね、君の体はどうも不安定のようだね」
「不安定?僕を呼ぶ君は?ねぇ、誰なんだい?」
「僕は君だよ、宇宙と呼んでくれ」
「・・・記憶、言っている・・・僕は私なのだと、」
「今度は逃さない、君をもっと使ってあげよう。たとえば・・・」
彼は白い空間が破れると共に現れたというのだ。どうやら私が執拗に弾けている内に青黒い幾重もの波音となって生成されてしまったらしい。そこには形が無い。つまり私でなくては何も見えないのだ。
「そういえば、あの形を持つ彼等は私と一体となったのだったな」
「そうだよ。君は彼等の意志を多く取り込んでいて息を吹き込むだけで何かを生み出すほどにまで成長したんだよ。この空間、宇宙を創ってみないか?」
「“そうだな”」
――ヒュオン――
宇宙の誕生が始まると共に、息の粒子が見えない筈の壁にぶつかり飛んでいった。すると灯がポツポツと現れ始めては辺りを見渡せるようにしてくれた。星々と共に領域形成されるそれはとても懐かしい・・・。
「やっと気付いたか。君の星々を思い出したんだね?」
「うむ、我が名は“創星主ビグヴァル”が魂である。<<すべての宇宙よ星よ空間よ!>>我が名に従い各々の知を与えてやろう・・・“ピカッ”」
すると彼等は、辺りを様々な形容するように照らし始めては、怯えるように捻じ曲げてしまった。それに触れると粘りを持つように柔らかく、冷たい風が吸い込んでゆくのだった。それは針に刺されるような痛みがする。彼等は秀でてみせては縮めてみせてくれ、私に対して礼を述べてくる。それも数多に幾度も、声にも出さず意志で応えてくれたのだ。
「ビグヴァル、我々は如何に致しましょう」
「知よ、我等は如何なるものを誕生させましょう」
「あなたの正体が英知とは恐れ入りましょう」
それ等は私を英知が”神”として形成させた。宇宙とはアミのように広がるものだと理解した。“キィン”という音が延々と伸びるのは彼等が各々の意志を持つためである。どうも耳が痛い。それに私は何故か肌色であり髪を生やしていた。どうやら彼等が私にはない強い“命”というエネルギーを分け与えてくれたようだ。
「ビグヴァル創星主よ、魂よ、あなたは宇宙となったのです」
私の名を“ビグヴァル”と呼ぶようだが、幾ら口ずさんでも思い出せないでいる・・・我が口に苦く残る“アミ”というモノさえ思い出せないが我が意識の奥底に眠る記憶がそう呼んでしまうのだ。それは一体、何だったのだろうな“友”よ。しかもこの空間はとても温かいのだ。君達は私に無いエネルギーを発しているのだな?
「そうです。砂が石となって地を創ることが出来ました」
「緑が生えてきました。これは何でしょう?とてもいい匂いがするのです」
「トクトクと音がするんです。どうも冷たくて・・・美味しいのですね」
ドオオオ――――・・・これは、トォォォ・・・オン、新たな空間が広がったのだな。君達はあそこへ向かわなくてもよいのか?とても私の意志だけでは届きそうにないのだ。どうすればそこへと向かえるのだ、教えてくれ星々と歪のある空間たちよ。
ピーポ―ピーポ、タタタタタ、大丈夫?名前は?痛い処は?あ――こちら救急班、産まれそうって。ええ、もしもし、うん。頼みます、陣痛が強くて・・・ああ、色々言われた?
「我々は灯を得ました」
誰かが教えてくれると誰かが忘れる。
それはいつものことなの?
(君は見ていてくれるだろうか?“時は過ぎてゆくモノだ”と・・・)
「意志を得られたのです」
ええ、ほんとうに忘れると、
誰かがいつも誰かに見えることなのです。
「宇宙の意志のままに」
では、次へと行こう、我が“神なる意志”を描くために!
アブソープト・ゼロの歴史は”創輝”と呼びます。




