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[全10話] 毒々独々。毒に始まり毒に終わるある毒術士の孤独で控えめな日々  作者: 安ころもっち


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7/10

毒々独々 07


 翌日には皇帝陛下の元にその騒動についての情報が届けられていた。


「寝込みを襲った5人のBランク冒険者を気絶させ、壁を破壊して逃げおうせた少年。是が非でも見てみたいものだな」

 そんな陛下の願いにより、ダーク捕獲の命が発せられた頃、ダークはすでに帝都を抜け出していた。


 連れてきたものには褒美をと、帝都の至る所にダークの情報が掲示されている。


 当然ながら『龍翼の輝き』もその情報を目にしていた。

 皇帝陛下が探している。そんな話を伝えれば、ダークもきっと喜び一緒に来てくれるだろう。そう考えた5人は冒険者ギルドで豪語する。


「俺達が必ずダークを連れてくる!」

 満面の笑みでそう言った5人は、英雄気取りで皆に見送られダークを追った。


「あいつらだろ?あの少年に一瞬でのされたバカ5人組って」

 そんな周囲の蔭口は、彼らには聞こえていなかったようだ。




 この話は娯楽に植えた帝都民を中心に広がってゆく。


 ついに隣国でもある王国の貴族達にも届いてしまう。


 青い髪の毒術士ダーク。帝都で暴れ建物を破壊。Bランク冒険者5人を瞬殺。盗賊団の団長と互角に戦かい討ち取った英雄。帝都の騎士団長がその少年にぞっこん。そんな話が広がっている。多少の尾ひれをつけながら。


 毒術士という珍しい職を持ったダークという冒険者。

 この情報だけでもサラマイデ公爵家にとっては十分な情報であった。


 半信半疑ながら調査を開始させる公爵。青髪だという風貌により人違いかと思ったが、その他の特徴からダークであることを確信した公爵は、彼方此方で自らの息子だと自慢し悦に入っていた。


――― 嫡男として責務を果たすべく戻ってくるように。また、愛する我が子を連れてきたものに褒美を。


 帝国の冒険者ギルドにそう伝言を託し、自慢の息子からの連絡が来ることを待ちわびていた。


 そんなこともあり、帝都はダークを探す者達で溢れていた。

 皇帝陛下からの褒美に加え、帝国でも有名な王国の三大公爵からの依頼でもある。うまくそれに関わることができれば、多額の報酬に加え強力なコネを得ることができる。一生安泰かも。


 皆がその話題で盛り上がる中、当然の事ながら帝都でダークが見つかることは無かった。



◆◇◆◇◆



 帝都のソリド子爵邸。

 消えたダークの身を案じ独自に調査を開始した子爵。


 その過程で、ダークが王国の公爵家を勘当され、苦難の道を歩いていることを知り後悔していた。


 もっとできることがあったのでは?

 そう苦悩する子爵は、一日でも早くダークの居場所を特定できるようとさらなる捜索を命じていた。


「ダーク様を探しに帝国へ行きます!」

 そう言ったのはここ最近の子爵の様子を伺っていた娘ロザリアだ。


 当然ながらそれを許さなかった子爵。


「このまま子爵家の恥となっても良いのですか!」

 そう食い下がるロザリアに負け、護衛騎士ルーセントと一緒に帝国へと向かうことを許可するのだった。



◆◇◆◇◆



 コリナエストの冒険者ギルド。


 受付嬢カーリラも自身の過去の失敗を悔いていた。

 ギルドという立場をフル活用し、ダークの情報を集め始める。その痕跡を確認し、王国からやってきたダークは常に西へと移動していることに着目。ならば帝都の西に向かってのでは?と考える。


「カーリラ、行くのなら俺も行くぞ?」

 何かを決意したカーリラに、ベテラン冒険者ルドルフを連れ立って、西へと移動を開始するのだった。



◆◇◆◇◆



 帝都の騎士団長エリーゼは、皇帝陛下にダークを探す任務を受け、これ幸いにと情報収集を始める。


 そう言っても、陛下からの命を下される以前から、ダークの情報は徹底的に収集していたエリーゼ。職権乱用とも思える力により集めた情報により カーリラと同じように西へと移動したのでは予測を建てる。


 絶対に西にいる!そう考えたエリーゼは、愛馬にまたがり単身移動を開始した。


「ダーク君は陛下にだって渡すものか!お姉さんがきっと君を、ダーク君を助けてみせる!そしてお姉さんと一緒に、幸せになるんだからー!」

 そんな欲望丸出しな叫び声を上げながら爆走するエリーゼ。


 その進路の先にダークはいないことに気付くまで、かなりの日数がかかることを、馬上で笑みを浮かべるエリーゼは予想していなかった。



◆◇◆◇◆



 帝都を出て西へと移動していたダーク。

 すぐに別の街へたどり着いていた。


 だが帝都にも負けず劣らずのその栄えた街並みに、ダークは足が竦み二の足を踏んでいた。


 こんなに栄えた街ならすでに情報が出回っていてすぐに見つかってしまうのでは?そんなことを考え、悩みに悩んだダークは、そのまま進路を南に変え移動を開始していた。


 道なき道を歩き深い山を抜けたダーク。

 湖の畔に朽ちかけた小屋を発見する。家主には申し訳ないなと思いながらも、長期間使用していない様子の小屋を根城にしていた。


 1か月ほど平穏な日々を過ごす。

 現地での食料調達は十分にできていたが、そろそろ調味料の類いが足りなくなってきた。ダークがそう思っていた矢先、その泉に子供達がやってきた。


 その子供達を引率している女性に話を聞くと、ここからさらに南下した街、ビチノアルアーゴから校外学習の為やってきたそうだ。

 この小屋も学園の持ち物でもあるというが、普段は使わないので使っても大丈夫だろうと言っていた。念の為、学園長の許可を取ってくれるらしい。


 南にあるという街は、農業が盛んではあるが人も少ない小さな街のようだ。


 引率の女性フランチェスカに許可を取り、子供達と一緒に水遊びを楽しんだ後、子供達と一緒に街へと同行したダーク。気の良い主人に持っていた高価な薬草と交換で、食料を大量に頂いたダーク。

 すぐに学園省からの許可を得てたというフランチェスカにお礼を言い小屋へと戻っていた。


 だがしかし、見慣れない少年の姿を偶々見ていたこの街の冒険者ギルドの職員により、念のためと該当する手配者がいないか帝都のギルドにその見た目の情報と共に問い合わせていた。


 ダークと思われる少年の情報は、巡り巡ってたどり着いてしまう。

 ダークが見つからず帝都で戻って途方に暮れていた、帝都騎士団の団長エリーゼに。


 エリーゼはその情報に興奮しながら、再び愛馬に跨り爆走することになる。


 そんあエリーゼはが山を迂回してその小屋にたどり着いたのは。報告を受けてから3日後の早朝であった。


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