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[全10話] 毒々独々。毒に始まり毒に終わるある毒術士の孤独で控えめな日々  作者: 安ころもっち


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5/10

毒々独々 05


 10分程でその現場に別動隊の戦闘現場に到着するエリーゼ。

 ハッと何かに気付い後、恐る恐る自分の手の先を確認する。


 そこにはやや不機嫌そうな顔だが、息一つ乱さぬダークがいた。


「す、すまない。ついその……」

 そう言うエリーゼに「大丈夫」と答えるダークだが、正直どこかで手を振りほどいて逃げ出したかった。


「ここで隠れていてくれ。シュベートはダーク君を守るようにここで待機」

 エリーゼから指示を受けたシュベートと呼ばれている騎士はダークの傍に待機する。


 すでにエリーゼ達と同じ青い騎士団の制服を纏った男達が確認できた。その団員たちと交戦している上裸の男は、大きく反り返った剣を振り回している。どうやらその上裸の男の方が優勢であるようだ。


「待たせたなお前達!行くぞー、突撃ー!」

 そう叫びながら先陣をきって走り出すエリーゼ。


 ドドドと地鳴りのような音を立て向かっていった。


 雄たけびと共に上裸男めがけて駆け付けたエリーゼの一撃が、男の剣にはじき返されている。男はかなりの腕力を持っているようだ。

 先行するのはエリーゼだけで、他の団員達は男を取り囲むように円を作る。


 そんな中、男は雄たけびを上げる。


「集え、炎よ!」

 男の叫びに呼応するように手に持つ剣に魔力が集まる。


 どうやらあの男は魔法剣士のようだ。ダークがそんなことを考えていると、男の上半身の筋肉が激しく膨れ上がり、燃え上がる炎と共にエリーゼへ向かっていった。

 その一撃を受け、地面を転がるように倒れ込むエリーゼ。そこに向かってさらなる一撃を繰り出そうと飛び上がる男。


 ダークは咄嗟に強化を最大にしてその場へ飛び込んでいった。


 燃え上がる剣を左右で2度殴りつけるダーク。

 籠手を通してかなりの熱を感じるが、その軌道を大きく変えることができた。


 軌道を変えられ地面を叩く。急なことで体勢を崩したたらを踏んだ男は、邪魔者であるダークに視線を向ける。


「ダーク君!」

 呼ばれたダークは叫ぶエリーゼを抱きかかえるようにして距離を取る。


「ありがとう!でもダーク君は危ないから下がっていてね!今ならお姉さん、何でもできそうな気がするから!」

 男から視線を逸らさずそう言うエリーゼは、再び男に切りかかっていた。


 エリーゼの渾身の一撃に苦痛の声を漏らしながら受け止める男。上機嫌なエリーゼは、笑顔で叫びながら何度も攻撃を繰り返す。

 男は燃え盛る剣を巧みに操り、その攻撃を凌いでいた。


 だが幸いなことに男は一人。

 こちらは多数の団員が周りを取り囲んでいる。魔法での攻撃や魔導具と思われる杖を振っている者もいる。そんな援護の甲斐もあり、遂には男の剣を受け流し、その巨体に一撃を加えるエリーゼ。


 吹き飛ばされ地面を転がる男はそのまま動かなくなった。


「ダーク君の応援でお姉さん勇気百倍!倒すことができたよ!」

 そう言って笑うお姉さんの背後では、他の団員が一斉に男に飛び掛かり、手足に枷を嵌めていた。


 実際のところダークは、加勢したあの一撃の際にエリーゼに強化毒を使って能力を底上げしていた。

 素知らぬ顔して「勝てて良かったですね」と返し、上機嫌なエリーゼに撫でまわされることにも無抵抗を貫いたダーク。


 もちろんそれは、抵抗するほどに長引くのだろうと考えてのことだった。


 男を捕獲した団員達は、それ以前に捕縛していた男達を一か所に集め、興奮するエリーゼを眺めながら待機している。

 ようやく満足したエリーゼが、自身の腕の中でもみくちゃになっていたダークを見て深々と頭を下げ謝ったのは、それから30分程度後であった。


 自身でも信じられない力を発揮したことに、エリーゼは人生で一番と言えるほどの強い興奮を覚えてしまったようだ。


 すでに報告を受け荷馬車でやってきた他の団員達が到着する。その荷台に捕縛した盗賊団のメンバーを乗せ、騎士団は帝都まで向かうことになった。


「討伐に貢献したダーク君には報酬が与えられるべきだ!済まないがもう少しだけ付き合ってくれ!」

 同行を拒んだダークが笑顔のエリーゼに言われた言葉だ。


 荷台に乗せられたダークは隣に座るエリーゼにがっちりと腕を組まれ、逃げ出す隙を見いだせずに帝都にまで同行することになる。


「あの、エリーゼさん。帝都に知人がいるので、今日のところは顔を出さないと怒られちゃいます。明日、どこへ出向けば良いですか?」

 騎士団の詰所と思われる場所に到着したダークがエリーゼにそう尋ねる。


「そうか!じゃあ仕方ないな!すまないが明日ここに来てくれ。ダーク君にとっても悪い話ではない!なんなら我が騎士団に入れるよう推薦しよう!君ならお姉さんも大歓迎だ!一緒に悪を打ち滅ぼそう!」

 そう言ってダークの肩をバシバシ叩くエリーゼ。


「あの、僕の事は黙ってて欲しいとお伝えしたのですが?」

 不安気な顔のダークにそう言われ、動きを止めるエリーゼ。


「そ、そうだったな!だがお姉さんが助けられたのは事実だ!お姉さんが受ける賞賛はダーク君の物でもある!そのお礼をしなくては騎士の名折れ。明日必ずここにきてくれ!きっと気に入ってもらえる物を用意するから!」

 そんなことを言いだしたエリーゼに、苦笑いで返すしかないダークは、逃げるように街中へと消えた。


 だが盗賊達の回収に来た団員の中に、上位鑑定という偽職の指輪の効果すら看破するスキルを持つ者がいたことに、ダークが気付けるはずはなかった。


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