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[全10話] 毒々独々。毒に始まり毒に終わるある毒術士の孤独で控えめな日々  作者: 安ころもっち


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毒々独々 04


 悩むダークに笑いながら声をかけるバジリオ。


「俺と一緒に天下取ろうぜ?」

「僕は、もう誰も信じない!利用されるのはごめんだ!」

 バジリオの提案を反射的に拒否するダーク。


「子爵だってお前を利用しているだけだ!じゃなきゃ誰がお前みたいな毒野郎を匿うかよ!なあ、俺達と一緒に良い思いしようぜ!俺ならもっとお前を高みに導ける!」

「僕は、お前達とは一緒に戦えない!こんなことしてくる奴らを、信用できるわけないだろ!」

 バジリオの身勝手な提案に苛立つダーク。


「そうか、分かったよ!じゃあお前……、死んどけよ!」

 バジリオの叫びと共に一斉に攻撃を始めた疾風怒涛のメンバー達。


 ダークは周辺に麻痺毒を飛散して距離を取る。

 すぐに苦しみだすメンバー達。


 倒れ込み助けを求めるようにダークに手を伸ばす5人。

 声を出すこともできず必死な表情で手を伸ばすバジリオを、ダークは冷めた目で見下ろしていた。


「死にはしないよ……」

 呟くようにそう言い残したダークは森を走り出る。


 迎えの馬車も待たずに街まで戻ったダークは、破損した偽職の指輪の替りを見つけ、大量の食糧と一緒に購入した。かなりの高額となったが、今のダークにとっては苦にならない金額だった。

 そのままプリモエストを脱出し南へと走り去るダーク。不安を抱えたダークはバジリオの言葉が何度も脳内に繰り返され、子爵の善意すらすら信じることができなかった。


 ひたすら南へと移動しているダーク。

 辺りが薄暗くなった頃、山の中にぽっかりと開いた洞窟を発見し、暫くここを拠点にしようと決め腰を落とした。


 洞窟での生活は快適だった。

 近くには泉を発見し、飲み水を確保できた。


 食料は潤沢にある。さらには麻痺毒を使って小動物や泉の魚を捕獲することも可能なダークは、ここに永住しよう。そんなことまで考えていた。

 だが、そのダークの生活も長くは続かなかった。



 ある日の朝、朝食として焼き魚を食べ終わったダークは、周辺に人の気配を感じ警戒を強めた。

 強化毒を全開で施し、いつでも迎え撃てる体勢を整えた。


「お前はここで何をしている」

 姿を見せたのは鎧を着込んだ男性であった。


 押し黙るダークを警戒するように観察している男性。


「もう一度聞く。お前はここでいったい、何をしているんだ?」

「僕は、ここで普通に生活を」

「ここで?そこの洞窟に、仲間がいるんじゃないか?」

「僕は一人だ。一人でひっそりと生活しているだけだ」

 そんなやり取りをしていると、その男性の背後には気配を殺した女性が近づいてきている。


「こんな可愛い子が盗賊なわけ、無いだろうが!」

 女性から迫力のある声が聞こえ、目の前の男性に拳が振り下ろされた。


 頭を押さえしゃがみこむ男性。

 事情が呑み込めないダークはさらに警戒を強めた。


「すまない。私達はこの周辺を警備している帝都の騎士団だ。ここには盗賊団の討伐の為、探索をしていたのだ」

 そう言う女性と話を始めたダーク。


 その女性は騎士団長でエリーゼと名乗った。


「一人での生活は大変だろう。保護施設も紹介できる。一緒に行こう!」

 そう言って保護を提案したエリーゼに断りを入れるダーク。


 エリーゼはダークのことを親の居ない未成年の少年と認定したようだ。もちろんそれをダークは否定するが、どうあってもそれは受け入れてくれないようだった。

 こうして、半ば強引に帝都へと向かうことになったダーク。


 その事でまた面倒な事態になることは分かり切っていたのに。



◆◇◆◇◆



 Bランクとなった『龍翼の輝き』の帝都にあるパーティハウス。


 この帝都に拠点を移してから、受けた依頼は失敗続きだった。

 貯えを切り崩しながらの生活に皆が精神的に焦りを感じていた。


 どのメンバーも以前のような体の切れが、思うような動きができていない自分自身に困惑、何かの病気なのではと治療院や教会にも足を運んだが無駄骨であった。

 コリナエストへ戻って一からやり直そう。そんな話を出たが、実際に戻ることは自分達のプライドが邪魔をして、ズルズルと帝都での活動を続けている状態であった。


 思えばダークが抜けてから急に体の不調を感じるようになった5人。

 そう言えばと思い出すのは、ダークを追放した直後に感じた気だるさだった。


「まさか、本当にダークが原因?」

 そんなことをいったリーダーの言葉に、メンバーもまた同じことを考え始める。


 原因は良く分からないが、とにかくダークを探して問い質す。

 5人が心を一つにした瞬間であった。



◆◇◆◇◆



 騎士団に連れられ帝都まで移動するダーク。


 その道中、他の団員からの伝令が届く。


「探していた盗賊達を見つけ交戦中のようだ!かなり手強い男がいるようだな。

 隊列を止め地図を広げるエリーゼ達の様子を、ダークは黙って窺っていた。


「よし!今すぐ応援に……」

 そう言った団長エリーゼは言葉を止めた。


 黙ってこちらを見ているダークを見て、何度も表情を変え唸っていた。


「うぐぐ……」

 エリーゼが思い悩んでいるのはダークをここに放置するのか、それとも一緒に現場へと同行するかということであった。


 一人護衛として残しても良いのだが、なるべくなら戦力は確保しておきたい。それにダークを他の者に任せるのも何となく嫌だ。そう思ったエリーゼは、最終的にダークを連れてゆくことを決めた。


 何度も謝りながらダークの手を引くエリーゼ。

 現地へと急ぐエリーゼの足はどんどん早まり、気付けば全速力で走っていた。


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