No.3ビバっ!沖縄〜前編〜
沖縄石垣島。
9月の中旬のこと。
一行は沖縄石垣島へとやって来た。
まだ太陽がまぶしく照りつける初秋。
どこまでも続く青い空そして透き通る海、白い砂浜。
ビバ沖縄っ!。
ジャーマネ倉野碧と現御当地アイドルグループちぇんじまいらいふの明石環、白石静と流星綺羅々・・・そして保護者役を買って出た、川田茜と矢留健司の婚約カップルが同行している。
3泊4日の石垣島の旅だが、環たちはジャケット撮影やPVの仕事が、がっつり入っており、休みは3日目と最終日だけだった。
ほぼびっちりのスケジュールで、石垣のビーチで水着姿のサービスショットを撮られ続ける面々。
それは柳川のご当地アイドル晴れて全国デビュー、多少の露出は止む無しという、みんなと碧の総意の判断だった。
茜と健司はプレ新婚旅行だと抜かしながら、石垣島を満喫している。
宿泊はフサキリゾート・ビレッジというコンドミニアムホテルを拠点にしている。
コテージ風の部屋から、すぐ歩くとプライベートプール、絶景のプライベートビーチが広がっていた。
初日、二日目と環たち、バカップル(あえていおう)は、食事ぐらいでしか顔を合わさなかった。 バタバタと慌ただしい南国の非日常が過ぎ・・・。
3日目を迎えた。
ピーカンに晴れた真夏の日差しが眩しい。
健司が借りたレンタカー、ハイエースに皆は乗り込んだ。
「やっと、この車の見せ場が来たね」
ここ数日、車の大きさには全く見合わない、茜と健司だけの仕様車だったからだ。
そのふたりの内のひとり茜は助手席に座り、もうひとり運転席の健司にそう言った。
「まあな」
運転する健司は少しおどけた調子で答える。 「すいません、お二人とも、わざわざ車まで出していただいて・・・」
碧は身を乗り出して二人に頭を下げる。
「やめてよ」
「やめてくれ」
「・・・・・・」
健司はアイコンタクトで茜に譲る。
彼女は頷き、
「こっちが勝手についてきただけだから、むしろこんな機会を作ってくれて感謝してるの・・・ねっ」 「ああ」
二人は顔を見合わせて頷いた。
そのシンクロ具合を間近に見て後席の4人は思わず笑ってしまう。
「羨ましいお姉様」
環は碧を押しのけて、身を乗り出しふたりに近づく。
「おい」 と、碧。
「ふふふ、羨ましいでしょ。環ちゃんも幸せになるんだよ」
「はいっ!」
そう言う環に、茜、静と綺羅々は一斉に碧を見た。
「な、なに?・・・ナンデスカ」
思わず、どもる碧に一斉に笑う一同。
「じゃあ、今日はお兄さん、お姉さんにまかせときんしゃい。君たちが仕事中、こっちは目一杯遊んどったけん、よかベストスポットを案内するけんね」
茜は急に地元筑後弁口調になり、胸を叩いた。 「おおお!」
仕事組は歓声をあげる。
石垣島は比較的都会な港近くから離れると、渋滞はほぼない。
ゆらゆらとアスファルトが蜃気楼で揺らめく、海岸線の道路を走らせ、御神崎の灯台までやって来た。
一行は断崖から見えるコバルトブルーの海と、熱気を一掃する吹き抜ける心地よい風を楽しんだ。
田舎道を走り、ランチは海がみえるおしゃれなカフェで、それぞれソーキそば、タコス、スイーツにぜんざい氷、シークワーサージュース等を堪能した。
それから川平湾でグラスボートに乗り、美しいサンゴ礁や熱帯魚を観賞した。
帰りの車の中、環、静、綺羅々が疲れて眠っているのを、隣の席の碧は愛おしそうに見つめていた。 「お疲れ様。碧君」
茜の声に、我に返った彼は、
「今日はありがとうございました。きっと皆、いい思い出になったと思います」
「あら、保護者が板についちゃって」
「彼女たちを巻き込んだのは僕ですから」
「そう」
「はい」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
少しだけ会話にセンチメンタルになったのか、互いに無言になる。
すると、
「まだまだ楽しむぞっ!」
運転席健司の勢いのある一言に、思わず碧と茜は爆笑してしまう。
「むにゃむにゃ・・・うん?」
「くかーあんあん?」
「なんですかっ!」
3人娘はめいめい寝言を呟き叫ぶ。
「はい」
碧は笑顔のまま頷いた。
「ふふふ、そうね。本当は街灯煌めく石垣夜の町を、れっつエンジョイもいいと思ったんだけど、せっかくのリゾートホテルのシチュあるし、パリピしなくっちゃね」
「はあ」
碧は急に真顔となり頷く。
「・・・碧君、真面目すぎ。若いんでしょ。エンジョイしなさい」
「茜」
健司が嗜めるように言った。
「ごめん、ごめん」
茜は自分の頭を軽く拳で叩いた。
西日が眩しい、のどかな道で車は帰路へと走る。
ええね。




