表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/34

No.5このさけ打ち上げっ!

ライブの後は宴会やで~。


沖端の町にある老舗の暁茶屋でCMLz初ライブの打ち上げが行われた。

主に有明海の海鮮を取り扱うこの店には、旨い魚や貝は勿論、ワラスボやむつごろうなどの珍味も味わえる。

二階を貸し切っての座敷でささやかな宴席となった。

主役CMLzの3人と碧、明石家族がいて、それに伊武夫妻に茜と健司も招かれた。

「それでは、CMLz初ライブ大成功を祝しまして・・・」

環の父俊二は上機嫌でビールグラスを掲げる。

「ちょっと、お父さん。乾杯の音頭は碧君よ」

絵美が俊二の腹を肘でこづく。

「ああ、すまん、すまん」

フライング気味で乾杯しようとしていた父は、うっかりとばかりに自分の頭を軽く叩く。

「もう」

環が呆れる。  

「じゃ、碧くん」

「はい」

俊二に促され碧は立ち上がった。

「本日はCMLzの単独ライブ、無事にやり遂げることが出来ました。これも皆様の支えが合ってこそのものでございます。メンバー並びにプロデューサーの私一同、心より・・・」

碧のグラスを持つ手を震えながら言う様をみて、 「固い、固い」

環が微笑みながらツッコむ。

「リラックス~」

静がどうどうと落ち着けとばかりに両手を上下させる。

「よっ緊張しい」

綺羅々が口元に左手を添えおちょくる。 「・・・・・・」

彼が苦笑いを浮かべると、一同が大笑いをした。 「ったく・・・じゃあ、皆様に感謝とCMLzの新たなスタートにっ!」

「乾杯っ!」

宴がはじまった。

「あのさ」

環が隣の碧に話しかける。

宴会は次第に混沌としてくる。

「では、そろそろ宴もたけなわですな・・・いっちょ私がひと肌脱いで・・・モロだしダンスを・・・」

「お父さんやめて!」

絵美が必死の形相で俊二を止めに入る。

「では、この俺が世界の闇を暴く古の禁呪の詩を今ここに・・・」

2人の間隙をぬって、和志が立ち上がり目を輝かせる。

「やめなさい。中二病息子っ!」

絵美は息子の頭を小突いた。

「いて」

みんなから笑いが巻き起こる。


碧はニヤリと笑い、

「さ、たしかに宴もたけなわ。そろそろ〆ようか。環」

ぽんと彼女の肩を叩いた。

「へ」

驚く彼女に、受雷は、

「よっ」

と一声かけ、周りが一斉にはやし立てた。

「えっと・・・」

環は戸惑いながらも、慌てて立ち上がり、言葉を探す。

「私たちCMLzは、皆さんの支えがあってこの場にいます。命や心・・・ダメだと思った事、何度もあります・・・だけど、諦めなかった・・・諦めなくてよかった。こうして、また素晴らしい日々がはじまること決して忘れません。今までそれからこれからもありがとうございます・・・」

環は思わず流れた涙を拳で拭うと、

「CMLzははじまったばかりです・・・まだまだよろしくお願いします」

彼女が深々と頭を下げると、温かい拍手に場は包まれた。


翌日。

伊武夫妻は帰路へ。

柳川駅への構内に入り、真美は受雷に言った。 「今回はノーギャラ・・・無駄足だったわね」 「いんや」

「うん?」

「そんなことない・・・だろ」

「そうね」

受雷の向ける視線に真実も重ねる。

「おーい、受雷さーん」

そこへ茜が見送りに駆けて来る。 手渡されたのは新聞だった。

「これは?」

「伊武さん、後で読んでね」   

「?」

「伊武さん、真美さん、またね」

「ああ」

「今度はこっちにもおいでよ」

「はいっ」

茜は両手を大きく振ってふたりとの別れを惜しんだ。


「有明新報・・・ね」

電車の中で地方新聞を広げた瞬間、彼は破顔する。 「どうしたの?」

のぞきこむ真美もまたすぐ笑顔となる。

「すごいね」

一面にCMLzの初ライブの写真と記事が載っていた。

プシュ!

ふたりはビール缶を開け乾杯する。



そして8月へ。


※次回の投稿は来年の1月中旬頃になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ