No.4解決っ!いざ舞台へ
強引に解決っ!
単独ライブの日、柳川市民会館の控室にて。
記者の山崎は受雷の連絡によってこの場に訪れている。
「伊武さんご苦労様です。本日はCMLz並びに関係者の皆様もライブ前という多忙の中、招いていただきありがとうございます」
山崎は慇懃に頭をさげた。
「いいえ」
CMLzの3人娘は笑顔で対応する。
「ふふふ、なんちゃってアイドルの皆さん、いつまでその笑顔を保てますかな」
意地の悪い笑みを浮かべる山崎。
「・・・山崎さん」
受雷は彼を嗜める。
「おっと失敬。つい悪い癖が」
「山崎さん。申し訳ないが、彼女たちはシロですよ」
「・・・ほう。では何故、私をこの場に呼んだのです?」
「面倒くさそうな方なので、仔細をはっきりさせる為ですね」
マネージャーの碧はそう言いきった。
「なるほど・・・めんどうくさい・・・か、私の言いたい事はご存じという訳か」
山崎はちらりと受雷を見やる。
「そういうことです」
彼は頷いた。
「では、あなた方が死人ではないという証明をここに」
「はいっ!」
環は一歩前に進みでた。
「・・・・・・」
「よっ!」
「なっ!」
山崎の驚愕をよそに、環はひょいと自分の頭を外した。
「ブラボーっ!」
俊二の大きな拍手と声援が部屋に響く。
「これはマジックです」
絵美は環の手から渡された、環の生首を持ち華麗に一回転させ、すぽんと胴体にはめ込んだ。
「はいっ!」 母娘は両手を大きく広げアピールする。
「マーベラスっ!素晴らしい。素晴らしいよ。母っ、妹よ」
兄和志は惜しみない拍手を送り続ける。
「・・・茶番ですな」
山崎は言った。
「そうですか?」
静は山崎の前に震える足で立った。
「君もか・・・」
「はい。私もCMLzのメンバーです。魂そして未来を変える為にここにいます」
「ほう」
不敵な笑みを浮かべる山崎をよそに、静は気丈に彼の目を見続ける。
「大丈夫よ」
不安がる環に、そう伝え、
「・・・大丈夫って」
「・・・・・見てて」
刹那、ナイフを取り出し自らの前腕部を切りつけた。
「しずちゃん!」
「白石っ!」
環と碧が彼女を抑え、ナイフを奪い取る。
キッと山崎を睨みつける静香は、
「この流れる赤い血潮は私たちが生きている証なんです」
「ぐう」
「ここまでですよ。山崎さん」
「しかしっ!」
山崎はゴリ押しされた感じで納得がいかない。 「そうだぞ」
ガシッ。
山崎は背後から肩を掴まれる。
「なんだ、あなたはっ!」
「私か・・・私はこういう者だ」
中年の男は警察手帳をみせた。
「・・・警察」
こくりと頷く男性。
「伊武受雷の数ある難事件に幾度と寄り添い、甘い蜜を吸い尽くし手柄をモノにする万年警部、丸出溜夫とはこのワシのことだっ!・・・定年まであと1年と6ヶ月骨の髄までしゃぶり尽くすっ!」
「なんだとぉ、そんなまるでダメな名乗りをいけしゃあしゃあと・・・その前に何故、警察が用があるっ!」
「それは私から」
真美がすっと右手をあげた。
「昨日、半日使って、山崎さん、あなたのこと調べさせていただきました。そしてついに見つけました。スクープを得るためにあなたが犯してきた真っ黒い犯罪履歴・・・住居不法侵入をはじめ、セクハラ、モラハラ、カスハラの数々、犯罪幇助、無銭飲食・・・猥褻物陳列罪etc・・・」
「それは・・・」
「あなたの正義とはなんですか?」
「皆が俺の文・・・私のゴシップを求めているんだっ!」
「それはあなたが決めることじゃない」
受雷は言い切った。
「なんだと!」
「そう、私たち(読者)が決めることよ」
真美は夫に続いた。
「詳しくは署で聞こうか」
丸出警部はがっちりと彼の首にアームロックをかけ、絶対に獲物を離さない。
「県警に援助要請をし、柳川くんだりまで来たかいがありましたぞ。伊武君、いつも協力感謝いたします。ぐふふ」
警部は敬礼をし、山崎に手錠をかけると、上着で手元を隠し部屋をあとにした。
受雷とすれ違う際には、サムアップしておどけてみせる。
これには思わず苦笑する伊武夫妻だった。
控室から出たCMLzの面々が、渡り廊下を歩いている。
「よしツ!皆行こうか!」
四人は円陣を組む。
「ここからが、皆のチェンジマイライフだ。覚悟を決めろっ!俺たちの生き方は!」
「変えられる!」
「ここからはじまる」
「物語っ!」
皆は一斉に右手の人差し指を突き上げる。
「さあ、いってこいっ!」
「いってきます」
「いってらっしゃい」
綺羅々が飛び出す。
「いってきます」
「いってこい」
静が駆ける。
「アオちゃん」
「ここからだ。ここからだぞ!」
「うん!」
2人は両手でハイタッチを交わす。
タータンチェックのスカートにブレザー学生服といういかにもなアイドル衣装に、身を包んだ3人はステージへと立った。
暗闇のステージに浮かびあがる無数のペンライトの光。
環は満席の客で沸く、夢のような光景をステージ上から見た。
「わぁ」
「すごい・・・信じられない」
「満員だね」
環は満席の客で沸く、眩い景色を目に焼きつける。
そして、みんなで頷き合うと、彼女はすうっと息を吸い、両手で力強くマイクを持った。
CMLzをスポットライトが照らす。
「聴いてください。CMLzで「ちぇんじまいらいふ」です!」
碧と環とそしてCMLzの夢がはじまった。
3人は拳を固め、何度も空へ突き出す。
「Change My Lifeちぇんじまいらいふ」 作曲倉野碧 作詞CMLz
Change My Life Change My Life ここからがちぇんじまいらいふ
このままずっといられたら君の夢が奏でだす
このまま時よ止まってくれ ボクの上で止まってくれ だから愛おしいんだ
だから切ないんだ 願っても叶えられぬ願い
だから変えるんだ変えなくっちゃ ボクらの思いをのせて
さあいこう思った時からはじまりなんだ
Change My Life Change My Life いまからがちぇんじまいらいふ
Change My Life Change My Life ここからがちぇんじまいらいふ
・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・。
伊武夫妻はペンライトを何度も振り、真美は思わず涙を流しCMLzの初ライブを堪能した。
さあ歌おうよ!




