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終章『エシッド王国 ~朝敵の送致、あるいは迎賓~』

 翌朝――まだ朝の範疇だろう。

 昨夜ゆうべに起こった大騒ぎ、深夜の大捕り物も国家間に走った緊張もまるで一夜の夢だったかのように、空は晴れ渡って明るかった。私達はその太陽の光に目をこすった。さわやかな朝の風に昼の温度が混ざり始めた頃、護送馬車が昨日のように再び手配されて来て、ボスク・キープの前に停まった。ボスク・キープの玄関口が開き、ギャレット・デムナム、ロン・クレイと例のひげ男が、縄で縛られた状態でぞろぞろと連れ出されてきた。彼ら夕べの大捕り物で捕まって憲兵隊に拘束された後、昨夜から今朝まで一時的にボスク・キープの地下牢へ押し込めてあった。下手人達三人の縄を引っ張って連れ歩いているのはベレンガリアで、衛視へ引き渡す役目も武装神官という立場柄社会的信用の高い彼女が担うのが私達の中のお決まりだった。

 私はそれに立ち会う形で眺めていた。まず護送馬車に収容されたのはロン・クレイ。次に例の、棒人間の奇特な柄のケープを纏っていたひげ男の剣士が押し込められた。

「私の見込み違いでございました。彼女、ベレンガリア・ブ、ブ……」

「ブリュッケミュンステル、ですよ」

「そうでした、ブリュッケミュンステル。エステパーナ・ベレンガリア・ブリュッケミュンステルはリーダーとして優れた人物でした。推理は当てになりませんねえ」

 私の隣に立っているミーナが、そう冗談めかしつつ言った。

 本来であれば、外国のスパイである彼女もまた彼らと共に護送馬車に載せられなくてはならない身分ではある。それこそ、当然ながら公文書偽造も犯罪組織も重大な犯罪ではあるものの、スパイや工作員とはさすがに比べ物にならない。彼女が今はまだそうされないでいるのは、ひとえにボスクーミェ辺境伯ヴィルヘルム・フェーアスライヒ・ジークムント・フォン・クラム閣下の鶴の一声あっての事だ。私が彼女のそばに立っているのも、彼女を逃がさないためという建前がある。

「もしも彼女が憲兵諸氏を止めていなければ、きっと我が国は川を渡ってきた憲兵隊をエシッド王国側の侵略と受け取っていた事でしょう。吊り橋が千切れるどころではありませんでした。彼女の英断には感謝するばかりです」

「ええ、一党パーティー自慢のリーダーですよ」私は胸を張った。

「ところで、あのヒゲの彼は大方ロン・クレイに雇われた用心棒兼殺し屋だったんでしょうなあ」

 ミーナは、ロン・クレイと共にギャレット氏を暗殺せんとした、あの棒人間のケープのひげ男が連行されるのを眺めながらつぶやいた。

 しかし後に分かった事だが、彼女が想像していた以上の背景をこのひげ男は抱えていた。事件から十日ほどたった頃に大尉からこっそり教えてもらったところによれば、彼は名前をエーベルハルト・シュラニー、通称エッブ・スラーニェといって、驚くべき事に隣国のギャングの構成員だった。かのギャングとロン・クレイの犯罪組織には資本関係があり、言わばエッブ・スラーニェは出向社員のようなものだったようだ。ロン・クレイはまるで彼の雇い主のようにふるまっていたが、エッブ・スラーニェの方は彼に忠義を尽くす義理など無いと思っていたようで、犯罪組織の実態の半分は彼が簡単に白状してしまった。おかげでロン・クレイの再興した組織は何もかも摘発されて壊滅。当初は取り調べに抵抗していたロン・クレイもすぐにその意味を失い、ほどなく全てを自白したという。この事件の後大尉は、王宮が外交ルートを通じて隣国のギャングに捜査のメスを入れる交渉の手伝いに〈ボスクーミェ事件〉の当事者として加わる事で、勝ちどきの混じった悲鳴を上げる事になるのだが、それは別の話である。

 ロン・クレイが供述した所によれば、彼の組織では組織の構成員と外部協力者の間には天と地ほどの扱いの差があった。外部協力者の事を彼らは身内ならざる者という意味で「()()()」と呼んでおり、いざとなればさっさと()()をしてその口を永久に封じる事になっていた。ギャレット・デブナムは組織にとってはまさにそのような認識であり、またそのような末路をたどりかけたものだった。

 最後に私達の目の前で、ロン・クレイとひげ男の二人と一緒に護送馬車へ入っていくのは、そのギャレット・デブナムだった。

 私は思い切って尋ねてみる事にした。

「どうして、彼が犯人だと分かったんですか?」

 私が尋ねると、ミーナは目を細めてにやりと笑った。

「外部犯の仕業なのはすぐに気がつきました。とすると犯人はどうやって鍵を開けて侵入したのか? そう考えた時、最初は誰か内部の者が手引きしたか、そうでなければ中の誰かが外へ出る時に鍵を閉めなかったせいだと思ったのです。執事殿は靴が土で汚れていました。確かに外出をした人物なのです。

 もしも閣下が犯人でしたら、彼なら部下を使ったでしょうねえ。外に出る用事であれ、汚れ仕事であれ。足が悪いのもそうですが、何より立場ある御身。部下を騙して罪を押し付け、トカゲの尻尾切りにして捨ててしまう方が、最も確実だったはずですから。それに凶器の問題がありました。凶器は細長い棒状の物。閣下が犯人ならそれは彼自身の杖です。しかし閣下の杖は中空で、強度的に頼りないものでした。一人の命を奪うほどの殴打に堪えられるほど頑丈なものではないと判明した時、閣下が犯人である可能性が低いと分かるのです。

 料理人については、ドレッバとスタンガの二人の証言を思い出してください。山賊の二人は距離を取って話し合っていたそうですねえ。しかし彼は唇に奇形がありますから、口があまり開けず、大きな声で話せません。近距離での会話すら支障をきたすほど小さな声です。そういう人物がもしも違法行為に関して密談するなら、むしろ相手に近づこうと思うのではないでしょうか? まあ、そうしなかった可能性ももちろんありはしますが――しかし実は私は、最初から彼だけは微塵も疑っておりませんでした」

「まさか、料理の分かる奴に悪い奴はいない、ですか?」

「冗談のつもりなのでしょうが、実は半分その通りでしてねえ。もしも温め直していたなら固くなってしまっていたであろう薄切りの豚肉のソテー。多様な工程を経て作られた手の込んだソース。煮込むのに時間のかかる上、手を離すと爆発する危険のある食材を使ったスープ……これでは一瞬たりとも厨房を離れられませんよ。あのお食事を作れた以上はねえ。彼に関しては料理を頂いた私達自身がアリバイの証人なのですよ」

「なるほど……確かにそれでは、少なくとも彼は事件当時、ボスク・キープの外へ出た可能性は皆無でしょうね。厨房を一時的に離れた可能性すら低そうです」

「ええ。なので最初のうちは、ギャレット・デブナムか生前の被害者のどちらかが犯人を招き入れた可能性が比較的高いだろう、くらいに考えていたのです。

 最初の考えはこうでした。魔族が現れたので危険に思ったデブナムかエデラ・バリモア嬢のどちらかが、仲間に伝えに外へ出て行った。しかし仲間の方は今までの反故の仕入れの取引に不満があり、欲をかいてボスク・キープへ自ら盗みに入ろうと決めた。結果、お互いがお互いの方へ行こうと同時に思ったせいで、入れ違いになってしまった――といった具合ですねえ。ただ、勝手口の鍵も誰でも開けられそうでしたので、実行犯自らが空けた可能性も加味して仮説を少し手直ししてから語った次第です。

 実行犯――実は私はアーサー・モーストン大尉に最初にあった時、彼も実行犯の候補の一人として疑っておりました。あの時点では私が知るほとんど唯一の、ボスク・キープの外にいる事件関係者でしたからねえ。しかしロン・クレイの話を聞いて考えを改めました。大尉よりも大犯罪者のロン・クレイの方が、公文書偽造の首謀者としてふさわしそうでしたから。それに大尉とロン・クレイのどちらであれ、ボスク・キープ側の山賊が実行犯と接触を再び図る事が明白だったからです」

「どうして接触を図ると分かるのですか?」

「だって、そうじゃありませんか! 普段務めている館の中で殺しが起きた時、もしも犯罪組織と後ろ暗い事をしている男なら、目の前で起きた犯罪が自分達の犯罪と関係があるのかどうか、気になるはずでしょう! 我が公文書偽造の共犯者よ、お前の仕業なのか? 違うのなら何か知らないか? そう聞きに行きたくなるじゃありませんか! しかしロン・クレイからすれば、ギャレット・デブナムは公文書偽造の共犯者のみならず、自分がメイド殺しに関与している事にも勘付いたかもしれない人物です。私がロン・クレイの立場なら、先んじて彼を永遠に消し去っておく事を選ぶでしょうねえ。早急に! ですから、ギャレット・デブナムをキーヴィエさんと私で尾行したり、ムールヒアル線跡を見張ったりする必要があったわけでしてねえ。危うく第二の被害者が生まれ、事件は永久に藪の中になってしまうところでした。

 まあ、ロン・クレイという脇役こそいましたが、ボスクーミェで起きた山賊事件全体については結局、三文ゴーレム劇のようなありふれた真相だったわけですねえ。執事が犯人、と。ふふ……」

 ミーナは心底楽しそうに、力の無い含み笑いをした。

 私は、彼女の推理に大いに関心していた。少なくとも、表情と表層的心情の上ではだ。しかし内心ではそれ以上に、この時の彼女が用いた表現へ向いていた。「三文ゴーレム劇のような」という比喩だ――人族にとっては奴隷的拘束の象徴のようなゴーレムが、かの国では劇で使われている。彼女は本当に魔族領の出身なのだ。少なくとも、あの鼠かオコジョのような超小型ゴーレムを懐にしまって旅をしようと思い、そしてそれが可能な程度には。

 私がそのような事を考えているその時、後ろでボスク・キープの玄関扉が再び開いた。顔をのぞかせていたのは料理人のフーゴー・ブーンだった。

「失礼、アルヴィンソン嬢と……魔族」

「何でしょう?」

「うちの旦那様がお呼びだ」

「閣下が?」

「お仲間を全員呼んで、ダイニングルームに来るようにっつってる」

 彼はそれだけ端的に言って中へ引っ込んでいった。

 私は引き渡しの終わったベレンガリアを呼び、居間で帰りの旅支度をしていたキーヴィエと拾って、ミーナも連れてダイニングルームへ入った。

「お呼びでしょうか、閣下」

「うむ……」

 閣下の声は明らかに低く、暗かった。

 何も置かれていないダイニングテーブルの前に、フォン・クラム辺境伯閣下が一人ぽつねんと椅子の上に力無く座っていた。そのご尊顔は、ボスクーミェ領の長、国防の現場の力の頂点に立つ者のそれとは思えないほど消沈し、十歳は老けたように見えた。顔を上げて見せた表情こそ今までと変わりないように装ってはいるものの、やはり忠臣と信じていた男の裏切りが堪えている様子だ。

「モーストン君から、全て聞いている。ギャリーは……最後まで抵抗したそうな」

「……その通りでございます。あの場では、全員」

「ギャリーが――ギャリー達にどれほどの量刑が科されるかは、わしにも想像がつく。潔く縄を受けていれば、まだ生きて監獄から出られる可能性があったものを……」

 昨日までの力強い立ち振る舞いからは想像もつかないほどの閣下の落胆ぶりに、私達三人もミーナも掛ける言葉が見つからなかった。

 閣下はその後、わずかな間だけ沈んでいた。しかしすぐに以前の強い権力者の明るい声に戻り、精気の戻った顔で私達に着席を促した。

「ま、固くならず、三人とも座るがいい」

 そうは口で言いつつも、席は四つ用意されていた。私達三人とミーナの四人は、心の中で閣下のお心の強さに感嘆しながら、促されるままに着席した。

此度こたびの一件において、諸君は我が領の名で依頼したかかる調査を請けこれに尽力してくれ、最終的には国家規模で危険視されていた凶悪な犯罪者の企みを白日の下にさらし摘発してくれた。それも、一依頼の範疇を超え、そしてその過程で直面した尋常ならざる変事も乗り越えてだ――わしは諸君に、言葉にし切れないほどの感謝の意を覚えておる。まずは諸君へ依頼した者の代表として、依頼票を貴店へ提出した当人に代わって諸君へ礼を述べると共に、その苦労を労わせてほしい」

 私達三人は平服の上ありがたくお言葉を頂戴した。リーダーであるベレンガリアが代表して答えた。「はっ……ありがたきお言葉、滅相も無い事でございます」

「いやいや、そんな事はあるまい。本当に大変な事だったなあ……我が使用人のエデラ・バリモアを殺した犯人を捕まえ、我が国の犯罪組織の首魁の企みも暴き、そしてわしが忠臣と信じていた男の裏切りを見つけ出してくれた。不甲斐なくも諸君は我が領に代わって三つも仇を討ってくれた。これで諸君に恩義を感じなければ嘘というやつだよ。諸君はわしの恩人だ」

 閣下は相好を崩し、私達に向けて何度も何度も頭を下げた。ボスクーミェ全域を預かる領主たる者がである。

「な、なんともったいなき……」

「良い、良い……」

 ところが閣下は言葉に途中で不意に堅苦しい姿勢に座り直し、

「そして、それらを見抜き事実を明らかにした当人が、もしもこの場にいたならばわしはその者へ賛美の言葉を送った事だろう」

 続けたその声は、明らかに固く、そして感情のこもらない声だった。

「我々はその賢明なる最大の功労者を目下捜索する予定である。三人とも、かの者の行方に心当たりは無いか」

 そう尋ねられて、私達三人は答えられるわけがなかった。行方どころか、閣下の言いぶりから察する限り失踪しているかのような人物に心当たりが無い。

「は……どなたか行方知れずになった者がいらっしゃるのですか? 失礼ながら、その――」

「意味が分からないなら、それで良い」

 閣下はまごつく我々三人の姿に、むしろ我が意を得たりとばかりにうなづいている。

 それから彼は、一人だけ話についていけていないのではと杞憂して不安げなミーナの顔を見て言った。

「領の恩人の捜索より、犯罪組織の検挙の方が優先順位ははるかに上だ。そこの魔族の護送はその後になる……冒険者諸君。その間こいつを取り調べるのを手伝ってくれぬか」

 閣下がテーブルの脇へ向かって、おい、と声を掛けて合図を送った。すると奥からフーゴーが、銀色の丸盆を手に出てきた。丸盆の上には深緑色のボトル――明らかに高価なものだ。母が飲んでいたものとは比べ物にならない――と、グラスが五脚載せられている。フーゴーは丸盆をテーブルの上に置き、深緑色のボトルを私達の目の前にどんと鎮座させ、グラスをミーナの前に置いた。

「わしの酒の瓶が何者かによって空けられ、中身を飲まれたのだ。ルセンタール・オルギエという、わしが本邸から持ってきた林檎酒の一本でな」

 フーゴーは深緑色のボトルの蝋キャップへ栓抜きを刺して回し、蝋の屑が出ないようゆっくりと引き抜き、瓶口の内側や周りの屑をトーションで拭った。その所作は普段から身辺の世話で給仕をする役目の使用人のような流麗さこそ無いが、彼ら以上に確実な手慣れたものだった。彼は私達の目の前で、深緑色のボトルを傾けて林檎酒をミーナのグラスへ注いだ。

 ミーナの目の前で、グラスの中の林檎酒の黄金の液体が淡い光を伴ってわずかに波を揺らしている。

「このような酒なのだが、何か知らぬかえ――わしの酒蔵の酒の中でも、特に貴重な一本だ」

 閣下はそう白々しく言いながら、目の前にグラスに対して()()をするようミーナに促した。「遠慮はいらん」

 ――そういう意味か。

 私はようやく閣下の意図を察した。魔族領から版図を守るために辺境伯領を封ぜられた者が魔族に首を垂れる事は、討つべき外敵に敗れ、爵位に背任して軍門に下る事を意味する。そのような真似を、閣下のような身分の者がしてはならなかった、という事だ。

 ミーナもまたグラスの意味を察知したようで、

「……ありがたき幸せ。閣下、謹んで頂戴いたします」

 着座のまま深々と一礼して平伏の意を示した。それからグラスの脚を静かに持って手に取り、林檎酒をゆっくりと口に含み、時間をかけて舌の上で転がしてから、鼻で一息の深呼吸をした後、少しずつ喉へと流し込んだ。

「……なんと美味しい……」

 舌の肥えたミーナが、林檎酒を一口飲んでしばらく後味と余韻に浸ってから、ようやくその一言だけを辛うじて漏らした。

 その様子を黙って見ていた閣下が満足げに頷くと、またフーゴーへ合図を出した。フーゴーは残りのグラスのうちの三脚を私達三人の前に並べて林檎酒を注いだ。確かにこの上無く香味の豊かで芳醇な酒で、下級貴族の娘の私は今までに飲んだ事の無い一等の酒だった。高級品と縁の無い幼少期を送ってきたキーヴィエはもちろんの事、この手の物を飲み慣れている生臭神官のベレンガリアもその馥郁たる味わいに驚きながら飲んでいた。

 グラスの最後の一脚に、林檎酒が注がれた。閣下はそれを一口流し込むと、ミーナの目を正面から見て言った。

「わしはこの地を女王陛下より封ぜられた一族、その長としてまだ西の対魔族戦線を預かっている身だ。()()()()()()()()()になる事を許せよ、ミーナ・セルニャンキサ」

「滅相もございません。スパイ行為を取り締まるのは国家・国民の義務であり善行でございます」

「手数をかける」

「閣下よりこのような()()()を賜りまして、恐悦する事この上ございません。小官は貴国を害する意図の無い旨を表明せんとしたに過ぎず――」

「謙遜をするな……いかなる言い回しであれ、わしもこの立場にありながら、お前にこのような行為をする法を犯したのだ。お前の方も、次に会う時までには二重スパイにでもなっていてくれんか? ついでに、今までの非礼についても忘れてくれるとなお良い」

「裸で逆立ちうんぬんに関しましては、今日限りで放念いたしましょう、閣下」

「左様な事も申したか……どうかそうしてくれ」

 閣下は私達に向き直った。「冒険者諸君もあらためて、此度は誠に苦労を掛けた。報酬の増額はもちろん、君達四人の褒章の進呈等については、追って沙汰を出す。今は、ロン・クレイとギャリーの事で大わらわゆえのう……今日ばかりは酒でも飲まなければ、やってられぬわ」

 閣下は呆れたような苦笑を浮かべながら、私達四人の顔の前に林檎酒のグラスを掲げた。

 それから閣下は、彼の隣に恭しく立っているフーゴーの方へ顔を上げた。

「……なあ、フーゴーよ……」

「何でしょう、旦那様」

「エデラは死んだ。ギャリーは捕まった……お前ひとりになってしまったなあ……」

「俺はずっとお仕えしますよ。寂しいなら本邸に戻りますか?」

「馬鹿を申せ……しかし、わしはもう隠居の身だ。わしは今回、何も出来なんだ。もうわしは潮時よ……のう、フーゴー」

「何でしょう」

「……子供達あいつらも帰ってきたら、きっとぶったまげるであろうなあ……」

「でしょうね」

「だが、わしの手の上にあるうちに問題が解決され、膿も取り除かれ、子供達に厄介事を背負わせずに身を引けたのだ。こんなに嬉しい幕引きがあろうか……」

「全くで……ドライフルーツをお持ちしますか?」

「それが良い。出してやれ」



 ボスクキープの外に出ると、空から日差しが思いのほか強く私達四人の顔を照り付けた。すでに昼になっていて、もうすぐ夏になろうとしていた。玄関前にはわだちだけが残っている。例の下手人三人を収容した護送馬車はすでに出発していた。その轍はボスクキープから伸びる小道が最寄りの路地のに接続するところで石畳にぶつかって途切れていた。再び日差しを強く感じ、眩しさに顔を上げると青々とした彩度の強い空を、大きな綿雲の塊がいくつも流れていて、それが太陽を遮ったり見せつけたりしていた。

 閣下の林檎酒のおかげでほんの少し気分の良くなっている私達は、最後の護送馬車が来るまでの間、しばらく外で待っていようという話になった。

 私達は四人で横並びにボスク・キープの前に建って、でこぼこした外壁に背中をもたれた。

 外の風を浴びながらの待ちぼうけの時間を作って、酔いを醒ますのも兼ねていた。これは私達一党(パーティー)のリーダーたるベレンガリアの思い付きだった。たしかに冒険者は酔っ払うものだ。しかし、国内に忍び込んだスパイを捕らえてそれを官憲へ引き渡そうとする民間の調査員としては、とても酔ったまま中央おかみの役人には会えなかった。そして、私達でさえそうなのだから、当のスパイが一緒にとろけた目で酒精の匂いを漂わせていなどしたら、悪い冗談にしかなるまい。国家の利益や威信という面でも対外的協調という立場でも噴飯ものだ。たとえミーナが一近衛兵を自称しようが、彼女はスパイ、工作員、情報潜入犯、間者、人族領の専門用語で言う非公開オペレーターなのだ――そういえば彼女は政府おしろからはどう扱われるのだろう? やはり政治犯? 当人それともが近衛兵を名乗る以上は捕虜? まあ立場がどうあれ、まずは監獄に入れられる運命だ――こんな呑気な事を意味も無く長々と考えてしまうあたり、私はまだ酔っているのだろう。林檎酒にも、事件が解決された解放感にも。

 しかし、当のミーナの酔いはすでに覚めていた。彼女は私の横でむしろ全身を緊張で硬直させて直立していた。その上つい先ほどまで林檎酒で赤らんでいた顔色も、今ではどこか青ざめてすらいる。彼女からすれば、事件の発生を盾にずっと引き伸ばし逃げ続けてきた、死出の旅路の始まりがついに訪れようとしているのに他ならなかった。彼女は口を固く結び、遠い目をして空を見上げるか、背後にそびえるザモクラツケ高地の稜線を振り返ってもの惜し気に眺めては、不意に顔を伏せるのを繰り返し、眉を寄せ瞳を閉じて、自らの今後の扱いと連行される先、つまり事実上の死を何とか受け入れて覚悟を決めようと努めているのに違いなかった。

 馬車を待つついでにほんのわずかな間、彼女の様子を観察していただけのはずが、手が震えさえし始めている彼女の様子が目に入ると、私はどうしても彼女が気の毒に見えて仕方無かった。

「ミーナさんは私達の代わりに難事件を解き明かし、この国を救った英雄ですよ。きっとお礼の一つや二つしてくれるでしょうし、ねだっても罰は当たりませんよ」

 いつの間にか私は彼女を慰めていた。気休めでも構わない、と思った。私が彼女の国に興味関心を抱いてしまったのは事実なのだ。そして、私達が持たない知恵や頭脳を持つ彼女自身にも。

 ミーナは一拍遅れて私の言葉に反応し、顔を上げた。

「……そうでしょうかねえ」

 ミーナの声は、今まで聞いた中で一番弱々しかった。

「ミーナさん、あなたほど礼儀正しく、慎ましく、冷静で賢い方はこの国にはいませんもの。何か、取り計らってくれますよ」

「……ふふん。確かに、私は知恵ある者です。それに、私がたまたま偶然とっちめた輩というのも、この国が葉切り蟻を滅ぼすか、葉切り蟻がこの国を滅ぼすかという大悪党の元締めだったわけですしねえ」

 彼女の顔色はいくらか明るくなり、再びの独特な言い回しを伴って自信を取り戻したかのような事を言った。半分は本気だが、半分は自分に言い聞かせるための誇張だった。

「この国が理に聡く知識の豊かな、良き者を軽んじるような国ではない事を祈りますよ、アヴィさん。賢き者無しに国は成り立たず、また事件も解決できないのですからねえ」

 くどい言い回しは、彼女が何か強い信念や感情を滲ませている時の癖なのかもしれない、と私は予想した。少なくとも、処刑に対する感情は軽々しいはずが無い。

「……どうしてミーナさんは、そんなに頭が回るんですかぁ? 読んでる本の違いですかぁ?」

 キーヴィエが顔を覗き込むように、おずおずと尋ねてきた。昨日までのとげとげしい態度は鳴りをひそめていた。

「私の故郷には、ちょっとしたボードゲームがありましてねえ。陶器の四角い駒を枠型に積んで、駒を入れ替えながら手札を揃えるのを競うものなのですが、これが運よりも場の状況や人の考えを読む事の方が重要でしてねえ。私はこのゲームを生まれた時からずうっと打っているのですよ。これが賢さの秘訣です」

「へえ、ゴラクリにはそんな遊びがあるんですか?」

「――おっと、いけません! 素人がスパイから情報を抜き取ろうなんて百年早い」

 私は苦笑した。地下牢で自らがスパイである事もその潜入目的も進んでべらべらと白状したのは、一体誰だったか。

「まあ、私の方から、ゴラクリ国の事に限ってちょっとずつ教えてあげましょうよ。爆弾に関する知見とかねえ」

 言いながらミーナはいたずらめかした笑みを浮かべた後、急にキーヴィエの足元へまるで騎士のように片膝をついた。

「ああお嬢さん(デーヴァ)、エステパーナ・キーヴィエ・クヴェンシシサ……寂しくなりますねえ」

「ひ、跪くのはやめてくださいっ! あたし、ただの村娘ですっ!」

 キーヴィエは慌てて、大仰に手の甲へ接吻しようとするミーナの顔と両手を振り払った。

「あと、あたしは『クヴェンシシサ』じゃありませんし……クヴェンシシキです、その……『カヴラフビー』を使わない時は」

失礼プラースタ、エステパーナ」

 少し言いにくそうに答えるキーヴィエの様子に気づかず――あるいはあえて気づかないふりをして――ミーナは立ち上がった。

 そんな二人を、今まで黙って眺めていたベレンガリアが、少し意を決した風にミーナに話しかけた。

「ミーナ、質問がある」

「何でしょう、エステパーナ・ベレンガリア?」

「あの時、どうして逃げなかったんだ?」

「というと?」

「我々がギャレット・デブナムを追いかけている時だ。お前はあいつを連れ戻すために吊り橋を渡ってゴラクリ側へ行った。もしもギャレットを連れてエシッド側へ帰らず、そのままゴラクリ側に居残ってゴラクリの国防哨戒警備隊に保護してもらえば、お前は処刑から逃れられた。なのにそうしなかった理由はなんだ?」

「ご心配ありがとうございます。その点は大丈夫ですよ。最悪の場合を考えて、昨日の捕り物の時に向こういた国防哨戒警備隊の指揮官のスワスヴォラトゥーイキ大佐に、事情を説明してこっそり密書も持たせましたから。私が捕まった事はあのウンディーネの隊長が本国に伝えてくれるでしょうから、彼から報告を受けた本国から何らかの救助が来るはずです」

 その何らかの救助とは脱獄の事なのでは、と私は思った。それ以外にも彼女に聞きたい事、言いたい事はいっぱい私の中に沸いて出た。魔族国家の軍隊の部隊長を、もろウンディーネ系のような響きの姓を持つ人族が務めているのか。あのウンディーネは男だったのか、他種族にはウンディーネは全員女に見えるが、どうして見分けがつくのか。いや、性別で姓が変わるのだったか。しかしそれらの言葉は全て、泡のように大量に噴き出ては割れ、結局喉から出て来ない。

 私の頭の中の事など知らないベレンガリアはかぶりを振って反論した。

「戻ってくる必要は無かっただろう、と言ってるんだ」

「私は、人の期待を裏切るのは、例え自分の不利益になろうと嫌なのですよ」

 彼女はきっぱりと言い切った。

 それだけの信念があればこそ、彼女は自らの命を奪わんとする敵国の官憲の元にも律儀に戻ったのだ。

 私は彼女の信念を、受け入れがたいと思った。その決意を憎らしくさえ感じた。彼女ほどの英知の持ち主が、むざむざ自分から死ぬのが惜しかった。彼女に死んでほしくなかった。

「ミーナさん」私は思い切って尋ねた。「どうしてあなたは、そう簡単に死んでもいいと思えるんですか?」

 この時の私の表情は、さぞ思い詰めたものだっただろう。

 ところが、ミーナはその私の表情を見るなり、自信に満ちた失笑を漏らした。

「何を言っているんです、アヴィさん? 私、死にませんよ? 別に処刑されたりしませんよ?」

「えっ?」私は耳を疑った。

「なぜならば、私がそうさせないからです。

 まず私は、このボスクーミェ山賊事件の解決者として取り調べに応じる事になるでしょう。そしてその間に、私はゴラクリ国に関する基本的紹介から近衛軍の内部情報に至るまで、私一押しの情報をべらべらとしゃべり倒します。ちょうどここの地下牢で私がしたようにねえ。すると、エシッド王国側は私を有用な情報源として重用するでしょう。どこまでも利用できそうなら、どこまでも生かされるはずです。さすがに二重スパイにはなってあげられませんがねえ」

「……もしも、すぐに処刑される事になったら?」

「何としてもそうはさせませんがねえ、それこそ脱獄してでも。少なくとも我が国側は、国防哨戒警備隊に持たせた私の密書を読んだらきっと、貴国へ私の捕縛について密使を送って抗議するでしょう。密書にはこう書いておきました――もし当局が少しでも難色を示したら、人族領に害意は無い事の証として、人道的態度の実践的表明という名目で元奴隷の人族難民達を王都へ断続的に送致してくれ、と。こういう手はずになっています。言葉も規律も学ぶ機会に恵まれなかった彼らは、我が国へ逃げのびた後と同じような振る舞いを貴国でもするでしょうねえ。こういう事をするぞと私か密使の口から宣言されたら、貴国は対応に困るはずです。そしてこの一手は、もしも難民を受け入れるなら受け入れ先について、突っぱねるなら折衝のために、我が国と話し合う必要があります。健全な人族国家なら魔族国家との外交ルートなどあるはずがありませんから、私がその窓口になる他ありません。私の生存が確認出来なければ、王都は元奴隷の難民という名の魔族領から来た領民で溢れかえって機能不全に陥ります。聡明な王なら私を殺せないでしょうねえ」

「……」

「こうなればこのミーナ・セルニャンキサ、生きている限りずっと、貴国の檻の中から両国の関係を調整する事に奔走いたします。我が国と貴国がこうして接触してしまった以上、さらなる衝突が起きないようにするには、誰かが間に立たねばなりません。こうなった責任として、その役目を私が負いましょう。そしてその折衝によって、貴国の大沃野で採れる小麦などを我が国に送る事が可能になれば、我が国は救われます! それどころか、周辺地域から逃げてきた人族奴隷を、エシッド王国のような人族領へ送致する計画まで検討出来る! 人族は人族の土地で暮らすべきです。そうでしょう? 魔族は魔族の土地で――」

「そうでない者は? あなたは人族の土地に来た魔族でしょう」

「私は自分の信念を貴国で押し通す事はしませんよ。エシッディアに入ったならば、エシッディアの者に従え、と」

「しかしそれでは、あなたはきっと我が国に処刑されてしまうのでは?」

「死にたくないからそうするのですよ、アルヴィンソン嬢。私は死にません。脱獄してでも彼此ひしの間を取り持って見せますとも」

 ミーナは私にそう宣言してみせた。その目には、血税で戦場へ行く者だけが持つ覚悟と同じ光を灯しているように感じられた。

「私はね、アヴィさん、ゴラクリには恩があるのですよ。命も魂も知性も半分はあの国から賜ったのです。それを返さなくてはなりませんから、あの国を裏切るような真似は出来ません。あの国もこの私の魂をそうそう捨てられないはずです。しかし、そのゴラクリが貴国の国益を損ねないよう働きかける事は出来ます。それで貴国のお役には立てませんか?」

 ミーナは上目遣いになって、私の顔を覗き込むようにほほ笑んだ。その微笑みには、己が独自である事を知っている者特有の慎ましい自負と、その裏打ちである数奇を極めた彼女の歴史の片鱗を覗かせる複雑な(かげ)が差していた。それらは恩を根源的な動機としてゴラクリ国政府へ深く根ざした愛国心を形成しているはずだろう。そこまでの女に、可能な限り祖国から王国の国益を守ってやる、とまで言わせたのだ。もちろん、この聞き心地の良い言葉がただ使命を果たすための甘言である可能性は、強く疑わねばならない。しかし、彼女には私達三人の尋問という実績があった。もしかしたら女王陛下はこのスパイを本当に有用だと見なし、あるいは処刑せずに生かして活用してしてくれるかもしれない、と私はふと思った。思ったところで何だというのだろう? 彼女が生きて望む事は彼女の国の繁栄であり、そのために我が国の財産をかの国へ我田引水する事だ。私は敵国の工作員が生きのび、解放される事を本当に望んでいるようだ、とようやく実態の伴った自覚をした。珍しく感情的になったキーヴィエからの売国奴の(そし)りもむべなるかな。私にはミーナ・セルニャンキサがゴラクリ国のスパイにあるまじき従順さを、奇異に思う資格は無かった。私もまたエシッド王国という国家の成員、それも貴族階級という政府の構成員としての自覚を欠いていたのだ。それでも、一人の魔術師として知識を尊び論理を巡らす事を突き詰めてきた私には、私とは別の深い知恵を持つ彼女に対する尊敬の念を捨てる事は出来なかった。しかし、己の専門分野以外の事、機微に対する暗さ、世間知らずぶりを自覚出来た今、二つの感情を一つに合わせて止揚(アウフヘーベン)する事は容易かった。願わくば、彼女が我が王国のために生きて暮らしてくれる事を。私は妖精界の神々へ祈った。

 遠くからばたばた、という蹄のたたらを踏むような音が聞こえ、音のする方を見下ろして見ると、丘のふもとから一台の馬車がボスク・キープの方へ、曲がりくねった緩やかな坂を駆け上ってくるのが見えた。馬車は一見して明らかに、先ほどギャレット氏やロン・クレイを連行した物々しく無骨な箱型でくすんだ黒塗りの護送馬車とはまるで違う。上流階級の貴族や高官が使うような、四頭立ての旅用四輪箱馬車ロードコーチだった。御者台の後ろの屋根上席には四、五人の憲兵が乗っている。

 旅馬車が私達の前に停まるとすぐに屋根上席の憲兵のうちの数人が下りてきてミーナの前に立ち、馬車の扉が開いて中からも三人の憲兵達が出てきて、彼らも彼女の前に整列した。

「ミーナ・セルニャンキサ様ですね。ボスクーミェ辺境伯様より、あなたの事は失礼の無いように監獄へ送れと命令を受けております」

 とても囚人一人に対するものとは思えない格別の扱いだった。屋根上席の大人数はおそらく万一ミーナが抵抗し暴れた場合に備えて万全を期した捕り手だと思われるが、それ以外は辺境伯家の賓客としてミーナは扱われていた。私達三人があっけに取られている横で、ミーナは馬車の革張りの内装を覗き込んで口笛を吹いた。

「素晴らしい! 非常に快適そうです。閣下には感謝してもしきれません」

 ミーナ得意げに腕組みしてうなずいた。

「これも私の頭脳労働による尽力の対価、という事ですかねえ」

 それから私の方へ振り返った。

「アヴィさん、もしも私が貴国からお目こぼしを受けた暁には、きっとあなた方の一党(パーティー)のお世話になりますよ」

「どうして?」

「私の存在は貴国エシッド王国にとってはもはや国家的機密情報。すでに私の素性を知っているあなた方を差し置いて、一体誰が私を預かれるというのです? 私の方も、信頼のおける者のそばにいる事を所望しますしねえ」

 ミーナは私の顔を指さして笑った。

 私達が国家機密を預かる? 彼女が囚人から国家機密となって生きて戻ってくる? 私には――私達三人には、信じられない未来だった。たしかに私達一党(パーティー)は異世界カルトの摘発への協力を重ね、いくらか国家からの信頼を稼いでいる。しかし、そうは言っても、まさか――。

 憲兵達が、そろそろ中へお願いします、と伝えながらミーナの両脇に立ち、彼女に馬車へ乗るよう促した。ミーナは素直に応じてゆっくりと歩き出しながら、私達三人の方へはウィンクを一つすると、

「では私は今日はここでちょっと失礼いたしましょう。しかし、しかし私は、ひと月経つまでの間にはきっと、あなた方と再びお会いして見せますよ!」

 そう言い残して、ミーナは衛視達に連れられて馬車の中へ消えていった。

 ボスクーミェの丘の上を、さわやかだったはずの風が今ではびゅうびゅうと吹きすさんでいる。街道の向こうへと走り去って小さくなっていく馬車を、私は呆然と眺めていた。彼女の言う事ならば、あるいは本当にその通りになるかもしれないと思ったからだった。

 そしてこの予感は実際に、ひと月としないうちにその通りになったのである。

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