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ありがとう

「ん……ここは?」

「あ、起きた?」


俺は寝具店まで零ちゃんを運び、そこのベッドに寝かせた


「あ……お兄さん……えっと……名前は……」

「夜野海星だよ」

「あ、そうだった……ごめん……」

「そうだ!あいつは!?」


俺は零ちゃんが寝ている間にあったことを全て話した






「とりあえず、俺は零ちゃんをベッドに運びます」

「それはいいんだけど……」

「こいつ、どうする?」


俺たちは、狭山家に悪事を働いた田村宮の処遇について話し合っていた


「そいつは地下に拘束しろ」


探索から帰ってきた神谷さんが言った


「神谷さん……」

「ほれ、ロープはここじゃ」

「ちっ……」

「田村宮」


神谷さんが言を発した瞬間、場が凍りついた


「お前は小さき子を傷つけ、人生を壊した」

「それは万死に値する大罪だ」

「だが……お前はさっき、殺すなら勝手に殺せよ……と言ったな?」

「『殺すなら勝手に殺せよ』?『どうせいつか死ぬ?』『生きようが死のうが』?『結局は同じこと?』?」


どうやら神谷さんはさっきの戦いを見ていたらしい


「それは果たして、本当に同じかの?」

「今からお前には、死ぬよりも辛い拷問を受けさせてやる」

「なあに、心配するな、儂は拷問や殺人のプロじゃ」

「『死にたい』『殺してくれ』というまで嬲ってやる」


なかなかに怖いことを言ってる気がするが、あの田村宮にはそれくらい言ってもいいと思う

だってあいつは、零ちゃんと、狭山家を壊したんだから


「古見、夜野、こいつを地下まで運んではくれんか」

「え?いいですけど……その行き方を知らないんですけど……」

「おお、そうか、うっかりしとったわい」

「なら案内役として浅田、お前頼む」

「え?僕ですか?」

「まあ、いいですけど……」

「では、頼むぞ」


俺は田村宮の手をロープで縛り、来夢の案内通りに地下まで運んだ


「へえ、こんなとこがあるんだな」

「なあ……これに……」

「お、いいですね」


古見さんが見つけた椅子に田村宮を縛り付けた


「じゃあ、帰ろっか」

「そうだね、特に用はないし」


「おい」


さっきまで一言も発しなかった田村宮がいきなり口を開いた


「なんですか?」

「お前ら、こんなことしていいと思ってんのか?」

「俺はお前らよりも年上だ、ここから出る時には、まずお前らを殺す」

「俺らはお前よりも年上で尊敬できる神谷さんからの指令でお前をここに置いてる、殺さないだけいいと思え」

「ふん、いつか絶対後悔するぞ」


そういう田村宮を背に、俺たちは俺たちの帰るべき場所へと帰った






「そっか……結局あいつ、死なないんだ」

「うん……でも、神谷さんに任せれば、大丈夫だと思う」

「あの人、すごいんだね」

「うん、神谷さんはすごいよ」


「零!!」


「霞ちゃん?」

「零!大丈夫?」

「大丈夫だよ、なにかされたわけじゃないから」

「だとしても……!」


急に現れたのは、霞ちゃんと桃ちゃんだった


「じゃあ、俺は行くね」


この空間に俺がいるのは場違いだと思い、ここを去った


「待って!」


霞ちゃんに呼び止められた


「あの、れ、零を助けてくれて、ありがとうございました」

「俺はなにもしてないよ」

「でも……あのクソ男から……身体を張って零を守ったのは……すごいと思う……」


桃ちゃんは意外と毒を吐く子だったことに衝撃を覚えたが、霞ちゃん、桃ちゃん、二人とも、零ちゃんのことをすごく大切に想ってることに俺は感動した


「ありがとうね、でも、俺は本当に何もしてないよ」

「大人として、零ちゃんを、未来がある子を守るのは、当然のことだから」

「じゃあ、俺はほんとにもう行くね」

「うん……ばいばい……」


俺があの三人のもとを離れたのは、二人なら零ちゃんを任せられると思ったからだ

年の近い二人のほうが、零ちゃんも話しやすいだろうし

それよりも俺は、この組織のために動くことを考えないと

もう早速問題が生まれてる

一刻も早く、安定した生活を送れるようにならないと


「あ、兄ちゃんちょっとええ?」


誰かに呼ばれた


「貴方は……」

「ああ、小倉や、小倉高敏」

「ああ小倉さん……どうしたんですか?」

「いや、その神谷さんが探しとったんや、それで……」

「神谷さんが?」


神谷さんが俺を探して?

意外な人物だった

神谷さんは、もっと他の人を頼ると思ってたから


「神谷さんは屋上におると思うから」

「……わかりました、ありがとうございます」


俺は屋上に向かって走り出した

そういえば小倉さん、俺の名前覚えてなかったな

まあこれだけ人数がいれば覚えるのも大変だろうな

数分間走り、ようやく屋上についた


「おお、来たか」

「はあ……はあ……す、すいません……」


息を切らしながら神谷さんに近づいた


「まずは息を整ええ、その状態じゃあ、喋るのもきついじゃろ」


俺は久しぶりに走った

というより、運動すること自体が久しぶりだ

屋上についた時点で満身創痍だった


「ふう……かなり落ち着きました」


息を整え、神谷さんの話を聞く体制に入る


「よし、では早速なんだが……」

「夜野、お前にリーダーをやってもらいたい」

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