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「嫌っ!離して!」

「うるせえ!俺に従わねえお前が悪いんだ!」

「やめてください田村宮さん!落ち着いて……!」

「うるせえ!」


「零ちゃん……!?」


俺は水を投げ捨てて零ちゃんの元に走った

俺と古見さんが見たものは

零ちゃんが田村宮さんにレイプされているところだった

恐れていた事態が、本当に起きてしまった


「夜野くん……!」


古見さんも俺に次いで走った


「やめろ!離せロリコン!」

「うるせえ!俺好みの女に調教してやるよ!」

「安心しろ、すぐに気持ちよくしてやるからっ!」


「やめろおおおぉ!!!!!」

「があ゛っ……!??!?!!?」


AVかエロ漫画でしか聞かないようなセリフが飛んできたタイミングで、俺は後ろから蹴りを入れた


「零ちゃんから離れろ……!」

「ぐっ……!てめえ……!殺すぞォ……!」

「零は俺だけの女だァ……お前は勿論、門道にも零は渡さねえ……」

「気持ちわりぃんだよロリコン……!」

「零ちゃんの身体は零ちゃんのものだ……!お前のものじゃない!!」

「うるせえクソガキぃ!!!!」

「うっ……!」


田村宮は俺を殴り飛ばし、俺の身体は地に投げられた


「なんだ!?」

「なんの騒ぎ!?」


俺の必死の叫びが届いたのか、田村宮の大声が自身の首を絞めたのかはわからないが、人が集まってきた


「田村宮……!?」

「誰か……あいつを止めてください……!」

「零ちゃん、こっちに……」

「おい!俺の零だ!」

「零は俺だけの女だ!誰にも渡さねえ!」

「零ちゃんは零ちゃんのものだ!お前のものじゃない!」


田村宮は固まった


「……お前、誰に口聞いてる?」

「……は?」

「零を助けたのは俺だ!俺には、零を助ける義務がある!」


どうやら田村宮は零ちゃんを助けたらしい


「それでも、零ちゃんを乱暴していい理由にはならない!」

「うるせえ!零は俺のだ!!」


これはもう人ではない、ただの獣だ


「はいはいそこまでー」


来夢が俺と田村宮の間に割り込んできた


「二人共落ち着いて」

「浅田!お前には関係ねえだろ!引っ込んでろ!」

「さっきも言ったけど、今はそんなことしてる場合じゃないでしょ?」

「江川さん、田村宮さんを拘束してください」


騒ぎを聞いて集まってきた人の中には、江川さんもいた


「これ以上、彼を零ちゃんの近くにいさせるわけにはいかない」

「殺さないの?」


今まで言を発してなかった零ちゃんがいきなり口を開いた


「……は?」

「……わたしは、こんなやついなくてもいいと思う」

「小さい子を狙ってレイプするとか頭のネジが飛んでると思う」

「獣のすることだよ、はっきり言って」

「それに……」

「零ちゃん……!」


止まらない零ちゃんを、江川さんがなんとか静止させた


「……どうして、零ちゃんはそこまで恨むの?」

「だって、お姉ちゃんを殺したのは、そこのクズだから」

「……は?」


開いた口が塞がらなかった


「あれ?自己紹介のときに気が付かなかったの?」

「ああ?なんのことだよ」

「覚えてない?狭山優希」

「誰だよ、そいつ」


零ちゃんはため息を吐いた

そして拳を握りしめ、自身の想いを吐いた


「優希はわたしのお姉ちゃんだ!お前が犯して壊したわたしの姉だ!!」

田村宮は、やっと気がついたような顔をした


「……ずっと、お前を殺したかった」

「お姉ちゃんを犯して、人生を壊して……挙句の果てには命さえも奪った……!」

「そんなお前を殺したくて、必死に鍛えた!」

「我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して!」

「でも……前の広い世界じゃ、探すのは無理だった」

「オーサカやホッカイドーにいるかもしれない、下手したら海外にいたかもしれない!」

「そんななかで、探すのは不可能だった」

「でも……お前は今ここにいる」

「殺したかったお前が、今ここにいる」

「わたしたち姉妹の人生を奪った罪、その命で払え……!」


田村宮は顔を伏せ、しばらく沈黙した


「だから?」

「……は?」

「殺したきゃ勝手に殺せよ、どうせいつか死ぬんだ、生きようがお前に殺されようが、結局は同じことだ」


ついに開き直ったか?

零ちゃんは怒りの表情を浮かべ、田村宮めがけて突進した


「待つんだ、零ちゃん」

「なんで……止めるんですか……」

「そいつがお姉ちゃんを壊した!本来なら幸せになってたっていうのに!」

「それをこいつが……こいつが……!」


「そうかもしれない」


来夢の温かい声が空気を包み込んだ


「でも、ここで殺すのは、違うと思うんだ」

「なんで……!」

「彼の怪力は、いざというときに役に立つ」

「恨みを晴らすのは、それからでもいいんじゃないの?」


零ちゃんは涙を流し、その場に膝をついた


「じゃあ……わたしの想いはどこにぶつければいいの?」

「もう……わかんないよ……!」


「じゃあ、俺にぶつけたらいい」


皆が一斉に俺の方を振り向いた


「俺のことを田村宮だと思って、なんでも言えばいい」

「俺はそれをすべて受け止める」

「違う……それじゃあ……意味が……」


わかってる

俺なんかにに恨みをぶつけても何も変わらないということは


「もし、零ちゃんが恨みを履くことで、少しでも気持ちが楽になるなら……」

「俺はずっと、いつまでも零ちゃんの話を聞くよ」


零ちゃんはずっと俺の胸の中で泣き、叫んでいた

なぜ自分の姉があんな目に遭わないといけなかったのか

なぜ田村宮が平然とした顔で話しかけてくるのか

そして泣き疲れ、そのまま寝てしまった


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