3.口寄せの術
さっきまで、おれらは確かにナカトミの部屋、いや馬鹿トミの汚部屋(しっかりと訂正しておこう)で意味不明な物を見せられるために、目をガムテープで塞がれ座らされていた。そこまでは、しっかりとナカトミの部屋にいた。しかし、ガムテープを勢いよく外された瞬間、いつの間にか知らない森の中にいた。つまり、このことからおれらは目を閉じていた間に何かが起きたということなのだろうか。それか意識を失ってその間に何かが起き、さっき意識を戻したと言うことなのだろうか。やはり、考えてもこの状況は、何の因果か全く分からなかった。しかし、状況を整理して、ナカトミに対してむかついてきたことは確かだった。後で一発殴っておこう。
おれが状況を整理しているとジョージは逞しく腕をまくり、持っていたタオルを頭に巻き始めた。
自称ハーフと名乗り欧米人に憧れているジョージは、最近アメリカ人のサバイバル動画にハマっており、いつでもサバイバル出来るようにイメトレをしているのだ。おそらくイメトレしていた成果を今まさに見せようとしてくれているのだろう。ジョージのサバイバルモード、少し頼もしいな。
「ふんっ、口寄せの術」そう言って、ジョージは真面目な顔で片手を地面に思いっきし付けた。
訂正します、サバイバルモードではなく忍びモードでした、全然頼もしくないです(くたばれ)。
おれはナカトミこと馬鹿とジョージこと馬鹿2を置いておき、とにかくこの森から抜けなくてはと考え始めた。