表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

そのななっ 「とうがらし」

「やっぱ夏はつけ麺だねー」

「いやいやラーメンでしょう。暑い中食べるのが良いんじゃない」

「いやいやいや夏だからこそ食べれるつけ麺、夏限定、食べなきゃ損じゃないか」

「限定、お得、お一人様限り、そんな言葉に乗せられる日本人の悲しき性ね」


初夏、私はせっちゃんとお馴染みのラーメン屋さんに来たのですが、

どうも数日前から店の前に新たな看板が追加されたようなのです。

そう、初夏に現れ、真夏にはその居場所を「冷やし中華 はじめました」に奪われる、

冷麺の主役(当社調べ)『つけ麺』です。

せっちゃんは『つけ麺』に目がないので、店員さんに嬉しそうにその名を告げていました。

季節限定メニューは、券売機に名前が載らないのです。

通常券を渡すだけで良いため、ラーメン屋での店員さんとの会話は限りなく0に近いはずなのですが、つけ麺!と告げるせっちゃんよりも、「ほうれん草とキクラゲ抜きで」と告げる私の台詞の方が長いのがどこかもの悲しい。


「そんな悲しき日本人のチカちゃん、これ食べる?2個しかないけど、1個あげるよ?」

「なになに!?」


たった2個しかないトッピングを分けてくれるなんて、せっちゃんは太っ腹です。

私は絶対に4個乗っている角煮も、3枚乗っている海苔も分けてあげないのに、なんて優しいのでしょう。


「とうがらし」

「これ?うわほんとだ、とうがらしだ」

「これねー、カリカリしてて美味しいんだよぉ」


何を隠そう、この店にはちまたで話題の「食べるラー油」もありますし、

私はとうがらしの辛さが大好きのため、悲しき日本人に成り下がり、1つ頂くことと相成りました。

ひゃっほい儲け儲け-!


「いただっきまーす!」


カリッ

パリパリ

むしゃむ・・・・しゃ・・?


「からっ!から!からぁぁ!ちょ、水!水!水!」

「ばっ、本気で食うヤツがあるか!それ薬味だぞ!冗談だったのに!」

「水!水!水!」

「ほら水!だいじょぶか!?」

「っ・・喉灼けるかと思った!からっ!痛い!ばかっ!ばかばかばか!」

「ばかはおまえだっつの!なんで食うんだよ、食うもんなわけねーだろ、こんな見るからーに飾りの唐辛子!」

「だってせっちゃんが美味しいよっていったもん!」

「信じるなよ!おまえ騙され安すぎだろ!」

「う、うあーん、辛いよ痛いよー心が痛いよー騙されたよ-」

「嘘泣きはいいから水飲みなさい」

「うー」


心が痛いのは本当よ?

店員さんの哀れみの目線が、私のガラスのハートに突き刺さりっぱなしなんですもの。


「まったく、バカなんだから、少しは疑いなよ」

「うん・・」


恐らく心中大爆笑の店員さんはみなかったことにして、「くそっ!もうせっちゃんの言うことなんて信じねぇ!」そう心に誓った私なのでした。


そしてお察しの通り、この誓いの存在が忘れ去られるのは、そう遠い未来では・・ないのでしょう。

それはまた、別のお話。

もちろん実話です。

辛かったです。

喉が禿げるかと思いました。

おっと、最初からだった。

つけ麺は美味しいですよね。でもラーメン派。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ