そのよんっ 「いぬ」
トモちゃんは犬を飼っていた。小さい犬。可愛いんだけど、たまに吠える。
「散歩といいつつ、ずっと抱いてるよね」
「公園にいったら走らせるけどね」
「犬かぁ、元気だよね、犬」
「そーだねぇ」
ほら、あれだ。犬は喜び庭駆け回るやつ。
「私は寒がりだから猫かな。」
「チカちゃんは犬だよ」
「えー、なんで?」
「犬っぽいもん。忠犬ってかんじする。」
する?忠犬?
でも、小学生の時はぽちってあだなだったんだよね。
POCHIってかいてあるピンクのトレーナーがお気に入りで、そればっかり着てたから。でもそれは、トレーナーのせいであって、決して私が犬っぽいわけじゃないと思うんだよ。そうなんだよ、だから私は断じて犬じゃない!だって猫舌だし、猫っかぶりだし。
「トモちゃんは猫だよね」
「よく言われるけど、チカちゃんの犬っぷりにか敵いません」
「どこが犬なの?私全然そういう感じじゃないと思うんだよね」
「だから忠犬っぽいんだって。なんでも従います、みたいな」
「えー、そんなことないよー。ほら今も反論してるしー」
「うーん・・」
トモちゃんは、ボールをひょいっと投げた。いつの間に公園に着いたんだっけな。女の子のお喋りは長い。犬はたたたっと走って、ボールを追いかけた。持って帰ってくるのかなって見てたら、ボールに追いついただけで満足したらしく、たたたっと戻ってきやがった。
「チカちゃん、ボール」
「あ、うん、とってくるね」
「そしたらあっち投げてー」
「はいはい」
「あと、散歩終わったらうちでぷよぷよしようよ」
「うん」
「連鎖の練習台になってね」
「わかってますって」
「忠犬だなぁ」
「・・・」
否定出来なくなってしまった。あーあ。
実際はきっと、トモちゃんが女王様なだけでしょう。