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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第2章 魔王と戦争

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アルの活躍

 デカいロックバードを地上に降ろして戦えないか悩んでいた時、アルがその役を買って出た。


「「「え?」」」


 俺たち三人の声が重なる。それはそうだ。これまでアルは戦闘力〇だからと戦闘中は俺の<空納>の中に隠れていたのだから。皆が疑問に思ってもおかしくなはい。


「ブラッドに力をもらってぇ、僕にも戦いの役に立てる時がぁ、来たんだよぉ」

「いや、アル。お前これまで戦闘力〇だったのに、そんないきなり戦えるようになるものなのか?」


 俺の質問にミコトとミサオも頷いている。


「攻撃力はぁ、〇だよぉ」

「じゃあ無理じゃんっ」


 アルの返事に速攻でミサオが突っ込む。


「ふっふっふぅ。でもぉ、一つだけ使える力があるんだよぉ」

「どんな力なの?」


 ミコトが聞き返すとアルは胸を張って答えた。


「パラライズブレスだよぉ。あいつを麻痺させてぇ、地面に落としてあげるぅ」

「大丈夫なのか? 麻痺が効かなかったら、お前喰われちまうぞ」


 俺の言葉にアルは自信に満ちた声で答える。


「僕を誰だと思っているんだよぉ」

「アルだろ」


 俺が普通に突っ込むとアルはノリが悪いと感じたのか、口を脹らませていた。


「むぅ。まぁ、僕に任せてぇ、見ててよぉ」


 そう言うとアルはロックバードの下へと飛び上がって行った。ロックバードはまだこちらの様子を伺っているのか何もしてこない。アルとロックバードの距離が徐々に縮まっていく。半分くらいの距離まで進むと、流石にロックバードも動きを見せ始める。


 アルに向けて火炎弾を吐き出した。アルは火炎弾を避け、臆することなくロックバードへと突き進んでいく。ロックバードの顔の前に魔術陣が現れ、突風がアルに向かって吹き付ける。


「当たらないよぉ」


 突風も避けられロックバードがアルに向かって急降下を始める。体当たりをするつもりなのだろう。一気に二体の距離が縮まり、アルが止まる。


「いくよぉ。<パラライズブレス>ぅ」


 白い光のブレスがロックバードへ一直線に向かって放たれる。ロックバードはアルの攻撃に備えていたのか急旋回するとブレスをやり過ごす。


「躱されたぁ……。なんてねぇ」


 旋回した後アルに突進するロックバードにもう一度<パラライズブレス>を放つとロックバードの右翼に命中した。


「ピギャァ」


 ロックバードが小さな声で鳴いたかと思うと、地上に向かって落下していく。アルの<パラライズブレス>はロックバードを確かに麻痺させ、宣言通り、アルはロックバードを地上へと落とした。


「どんなもんだいぃ」


 空中でアルは偉そうに胸を張る。俺たちはアルが本当にロックバードを地上に落とす事が出来ないと思っていたので、目の前の光景を信じられないと見ていた。


「アスカぁ、落ちるよぉ。ボケっとしないでぇ」


 アルの声で俺たちは気を取り直す。そして、ロックバードが大きな音を立てて俺たちの目の前に落ちて来た。


「まさか、本当に落とすとは……」

「アルの事、見直さないとね」

「ようし、袋叩きにするよ!」


 ロックバードは地上に落ちた衝撃によるダメージとアルの<パラライズブレス>の効果で動けない。


「また空に逃げられないように、翼をやるんだ」

「「分かった」」


 俺たちは一斉にロックバードの両翼を徹底的に攻撃した。ロックバードの麻痺の効果が切れる頃には翼はボロボロでもう飛び立つ事など出来ない状態だ。


「よし、あと少しだ!」


 飛び立つことも出来ず、既に瀕死の状態だったロックバードは最後の悪足掻きにと火炎弾を吐き出し、魔術の突風を俺に向けて放つ。


「危ない。こいつ、まだやる気か」

「気を付けてよ。手負いの獣ほど気を抜いたらダメ。何をしてくるか分からないよ」


 当たる寸前で、突風で加速した火炎弾を躱した俺にミコトが注意する。油断をしていたわけじゃないが、まだこんな力を残しているとは思っていなかった。いや、これを油断というのか。


「分かった。気を付けるよ」


 火炎弾を躱されたロックバードは、自身の周りを魔術陣で囲み、突風を上空に向けて起こす。そして、魔術陣がそのまま時計周りに移動を始めた。その移動スピードが徐々に速くなり、前に突風を起こすだけだった魔術が、回転する事で大きな竜巻となった。


「こんな使い方まで。あれじゃあ、近付けない」

「でも、ロックバードもこっちを攻撃出来ないんじゃ」

「ちょっと二人共、なんか竜巻の中が光ってるよ」


 ミサオが言う通り竜巻の中のロックバードの体が光っている。


「あの光は……。まさか、<癒しの光>! まずい。傷を癒されるぞ」

「させないよ!」


 ミサオがMDに<ダークボール>を命じ、闇の球が竜巻に向かって飛んでいくが、竜巻を破壊する事は出来なかった。


「ダメっ。竜巻の勢いが強すぎて、魔術が通らない」

「なら、これなら!? <雷炎>!」


 雷を纏った炎の球を竜巻に向けて飛ばす。だが、俺の<雷炎>でも竜巻を吹き飛ばすには火力が足らなかった。このままでは、傷が癒え、再び空へと飛び立たれてしまう。


「くそ、一か八かだ」


 竜巻に向かって俺は駆け出す。


「アスカ!?」

「ちょっと、あんた正気なの!?」


 竜巻に突っ込んだ俺は、そのまま空中へと舞い上げられる。


「うわぁあああああ」

「「アスカ!」」


 竜巻の中で俺は<空波>を外に向けて放つ。<空波>の衝撃波で少しだけ竜巻の中心へと進む。これを繰り返し、漸く竜巻の中心へと辿り着くと、そこは無風。当然、下へと落下する。


「うぉおおおおおおお」


 落下するその先には<癒しの光>で傷を癒すロックバード。上を向いて、俺が落下して来ているのを見つけると、火炎弾を吐こうと口を開ける。


「させるか。<雷炎>」


 俺の放った<雷炎>ロックバードの吐き出した直後の火炎弾に当たり、爆発が起きる。その衝撃波を利用して落下速度を緩めた俺はロックバードの上に着地した。


「いっけぇ! <衝波>」


 そして残りのOPを全て込めた<衝波>をそのまま叩き込む。


「ギャァアアアア」


 ロックバードは断末魔の悲鳴を上げると、そのまま光の粒子となって消えた。


「あれ? 邪神の影響を受けていたら消えないはずじゃ?」


 ロックバードが消え、竜巻も無くなり俺の下へミコトとミサオが駆け寄って来る。アルも地上へと降りて来た。俺の足下には、ロックバードの羽根と嘴の欠片が落ちていた。それを拾い上げ、<空納>に納める。


「まったく無茶して。大丈夫?」


 ミコトが俺を心配してきたが、竜巻に突っ込んだ割にはダメージをあまり受けていなかった。


「ああ、思ったより大丈夫だな。あの魔術自体はダメージが入らないみたいだったからかな」


 兎に角突然襲ってきたロックバードを殲滅することが出来た。これでゆっくり休めるな。


「やっと休憩出来るわ」


 ミサオも俺と同意見みたいだな。俺も頷き、<空納>からテントを取り出す。


「今日はもうここで休もう。疲れたし、ここなら見通しも良いから敵が来てもすぐ分かるしな」


 皆頷き今日はもう休むことにした。明日には国境だ。気を引き締めないとな。

 

それにしても今日のアルは大活躍だった。この先、他の女神や魔王から力を貰うと、アルも戦力になるのだろうか。ただのマスコットキャラみたいに思っていたんだが、考えを改めないとな。

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