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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第2章 魔王と戦争

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ブラッド城への帰還

 ブラッドの試練の洞窟を漸くクリアした俺たちは祠の中にある台座から魔器を手に入れた。いや、ミコトだけは何も手に入らなかった。


「何で私だけ何も無いの?」

「分からない。ミコトが聖女だから魔王からは装備が貰えない、とか?」

「そんな理由だったらアスカだって救世主なんでしょ?」

「うーん……。それはアルが言っているのと、この世界の人達がアルの傍にいる人間は救世主とかいう認識を持っているだけだしな。どうなんだろう?」

「まぁまぁ。二人共。それはブラッド本人に聞けばいいじゃない。台座の不具合とかだったら直接貰えばいいわけだし。それよりも、アスカ。あなた<鑑定>持っているのよね」

「なんで、お前が知っているんだ?」

「だって、<探知>持っているんでしょ? だったら、持っていないと覚えられないもん。あたしのこの指輪鑑定してよ」


 仕方ない。ミサオの指輪を鑑定する。ついでに、俺の靴も。


「それは奏魂の指輪っていうみたいだな。へぇ、防御力上昇の効果は無いみたいだけど、HPとMP以外のパラメータ上昇の効果があるみたいだな。お前のパラメータの1パーセントが上昇するみたいだぞ」

「ほほぅ。それは中々の指輪だね。ブラッドめ。洒落た物を」

「俺のは俊傑のブーツだって。魔具と言う割には、神器のような名前だな」

「本当ね。魔具だから修羅のブーツとか、羅刹のブーツとかそんな物騒な物なのかと思ってたのに」

「見た目が禍々しくは無いんだから、そんな物騒な名前じゃないでしょ」

「「まあね」」


 ミコトのツッコミに俺たちは声を合わせればミコトが大きく溜め息を吐いた。兎に角、今は魔具を手に入れたという事だ。つまり、ミサオとの約束を守ったということになる。


「ミサオ」

「もう。言わなくても分かってるよ。ブラッドの所に行くんでしょ」

「ああ、頼む」

「お願いします」

「よろしくぅ」


 うん? 俺は後ろを向くと、アルがフヨフヨと宙に浮いていた。


「あ、アル居たのか」

「居たのか、じゃあ無いよぉ。ずぅっと居たのにぃ」


 アルがムスッとしたので頭を撫でてやる。


「もう、そんなので機嫌取ろうなんてぇ」

「もう、とか言うなよ。よし、帰ろうか」

「そうね。ブラッドに見せてやらなきゃ」


 ブラッドの洞窟から出ると辺りが暗くなり始めていた。


「結構、時間掛かったんだな」

「そうだね」

「早く帰ろう。ブラッドに会うんでしょ」


 俺たちは頷くと急いでブラッドの城下町へと向かった。運が良かったのか、途中モンスターに遭遇することも無く、城下町へと辿り着いた。


「今日はもう流石に遅いな」

「そうね。明日にしようか?」

「ブラッドならまだ起きていると思うけど……。二人共泊まる所は?」

「探す前にお前が連れて行ったんだろ?」

「あはは。そうだった」

「でも、宿屋は空いてなかったよね?」

「一応、カマスさんから馬車を使ってくれていいとは言われてるよ」

「そっか」

「馬車ぁ? それじゃあゆっくり休めないでしょ? あたしの部屋に来る? ブラッドの城にあるからさ」


 城にある部屋か、豪華そうだな。


「あ、でも、変な事しないでよ。アスカ、あんたそんな格好していても、中身は男なんだからさ」

「するかっ!」


 お前は俺の好みじゃないし、好みはどちらかと言えばミコトの方が……って、違う! ミサオが変な事を言うから。


「ミサオ、良いの?」

「いいよ。だって、あたし一人には広いし、ベッドも大きいし。アスカはソファーか床ね」

「いちいち、しつこいぞ。でも、馬車よりかは休めるかもな」

「良し! じゃあ決まりと言うことで、行こう!」


 俺たちはミサオの案内のまま城門までやって来た。門番が俺たちに気が付き、呼び止められた。


「ちょっと待て。この先には行けないぞ」

「何を言っているのよ。あたしよ!」

「あたしだと……。失礼しました。ミサオ様」


 門番がミサオに気が付く。


「後ろの二人は、昼に商人と一緒に居た者達でしたので」

「この二人はあたしの仲間。ダンジョン攻略を手伝ってもらったのよ」

「では!?」

「じゃじゃーん。これが魔器よ!」

「やりましたね。おめでとうございます」

「うん。ありがとう。じゃあ、二人と一緒にあたしの部屋で休むから通してくれる?」

「うーん……。分かりました。どうぞ、お通り下さい」

「ありがとぉぉぉ」


 ミサオは手を振りながら門番の横を歩いていく。俺とミコトは門番に軽く会釈をしながらミサオの後を追いかけていく。


 門を抜けて中庭を通っていくと、荒野の中とは思えない見事な庭園が広がっていた。


「へぇ。ここは花があるんだな」

「そうね。何でもここの花を少しずつあの荒野に植えて、緑を取り戻そうとしているらしいよ。中々、上手くいかないみたいだけどね」


 ブラッドは魔王とはいえ、自分の領地を改善しようと努力しているという事か。プリメラ様が言っていたのはこういう所があるからなのかな?


 庭園を抜け、城の入口へ辿り着くと、入口の前には門番が立っていない。不思議に思っているとミサオが入口の横に立っている石像に話しかけ始めた。


「通るよぉ」


 すると、石像の顔がミサオの方へと向きを変える。


「お帰りなさいませ。ミサオ様。どうぞ」


 ゴゴゴという音を立てながら大きな扉が開く。


「あ、後ろの二人はあたしの連れよ。一緒に通るからね」

「畏まりました」


 石像の目が俺たちをギロリと睨み、元の石像に戻った。城の中に入りミサオに尋ねてみる。


「ミサオ、さっきのは?」

「ブラッドが創ったガーゴイル。城の門番だよ」

「ふぅん」

「あれ、ああ見えて強いから」


 別に戦うつもりは無いぞ。気になったから聞いてみただけだ。ミサオは階段を登っていく。何階まで上がるんだ?


「ミサオ、だいぶ階段を上がったけど、何処まで上がるの?」


 ミコトが疲れてきたのか質問をする。


「もうすぐだよ。ほら、あそこ」


 ミサオが指差した先に、通路の入口が見えた。


「あそこを奥に行った所にあたしの部屋があるよ」


 通路に入れば少し先にいくつかの部屋が見える。


「どれ?」

「あの赤い扉」


 いや、お前。全部赤いぞ。ほら、ミコトも何を言っているのという顔をしているじゃないか。


「さ、着いたよ。入って、入って」


 結局、一番奥の扉だった。中に入れば、おお。確かに広い。


「うわぁ。広いね」


 ミコトが羨ましそうに部屋を見ている。


「そう言えばミコトは? こっちに来たときどんな部屋に住まわせてもらっていたんだ?」

「私はマリー達と宿屋に泊まっていたから」

「そっか。俺と似たようなものか。ミサオ。恵まれているなぁ」

「そうかな? こっちに呼ばれた時点で恵まれているとは言えないと思うんだけど」


 それを言ったら召喚された皆が同じなのだから、そこは言っちゃいけないぞ。


「あ、その奥にお風呂あるから入る?」

「風呂もあるのか!」

「いいの?」

「いいよ。あ、ミコト一緒に入る?」

「二人で入れるくらい広いの? いいよ。入ろっか」

「アスカ、覗かないでよ!」

「覗くか!」


 本当に俺を何だと思っているんだ。二人が風呂に入っている間にキマイラから手に入れた石を鑑定しておく。


「リトルキマイラの核石か。あれはリトルキマイラって名前だったのか」


 名前からキマイラの弱体化した感じなのかな。


「ちょ、ミコト。なんでそんなにおっきいのよ! この着痩せ詐欺!」

「な、何を言っているの!」


 馬鹿な叫びが聞こえてきたが、聞かなかった事にしよう。さて、この核石どうするかな? 一応二人と相談してから使うべきだろうな。


 二人の風呂に入って気持ち良さそうな声を聞きながら、出てくるのを待っていたら、いつの間にか寝てしまっていた。

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