表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第2章 魔王と戦争

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/228

徹夜の戦闘

 オークと戦い始めて既に二時間くらいは経過したか?


 まだ半数以上のオークが残っている。こっちは一人冒険者がやられてしまった。

 六対五十以上……。しかも近接戦が出来るのは、俺を含めて二人しかいない。目の前には十六体のオーク。内二体は、剣と魔術を喰って進化したらしく、戦闘力が上がっている。


「半分、任せても大丈夫か?」


 大剣を掲げ、もう一人の冒険者が俺に問いかける。


「勿論。ただ、早く倒した方が良さそうですね」


 奥にいる四十体のオーク達がミコトの張った<ホーリーバリア>を殴り続けている。いつまで保つか分からない。


「分かっているさ。そっちの八体は任せたぞ」


 冒険者はそう言うとオークに向かって突っ込んでいった。俺も構えると目の前の八体に<探知>を使う。奥にいる吹き飛ばしたオークの残HPが一番少ないか。


 奥に行くために無傷のオークを掻い潜って行くのも面倒だし、捕まったら危ない。前後を入れ替えるために<空波>をもう一度使うか……。目の前のオークが少しずつ俺の方へと寄って来る。


「お前達に喰われてたまるか! <空波>」


 右拳が白く輝く。どうやらこれは右拳でしか使えないみたいだ。ついでに<双牙>を使おうとしたが、右拳には<双牙>を発動出来なかった。<空波>は二重ダメージ出来ないみたいだ。まぁいいや。とにかく、こいつらと後ろを入れ替える。


「はっ!」


 右拳を前に突き出し、手前にいた五体を後ろに吹き飛ばす。


「くそ。二体耐えやがったか」


 二体のオークが衝撃波に耐え、まだ俺の目の前に残っている。仕方がない。まずはこの二体を。


 <紅蓮>、<双牙>を両拳に発動。掴みかかって来た一体の腕を躱し、もう一体の方へと向かう。


 俺の動きに合わせてもう一体が殴って来た。その攻撃をしゃがんで躱すと、俺は膝目掛けて右拳で突きを放った。


「<疾風>」


 俺の突きがオークの左膝を砕き、バランスを崩す。すかさず、左拳で右膝を砕いた。


 両膝を砕かれたオークが体重を支えることが出来ずに倒れると、腹に一撃を入れて離れる。


「危ない、危ない」


 さっき俺を掴もうとしたオークが背後から再び掴もうとしてきていた。止めをさせなかったじゃないか。倒れたオークは、何とか立ち上がろうと藻掻いている。


 ここまでダメージを与えているのに、また復活されたら面倒だと思っていたら、炎を纏った矢がオークの後頭部へ刺さり、光の粒子となって消えた。


 さっきまで進化されるのを嫌って、後衛の攻撃が止んでいたが、俺たちが前に出たことで、後衛に背を向けたオークの隙を付いたのだ。


「経験値は入らないけど、瀕死に追い込んで、止めを刺してもらうのもいいかも。よし!」


 俺を掴もうとしていたオークが後衛の方へ向かおうと俺に背を向けた。


「行かせない」


 背中を殴る。アーツを使わないと大したダメージはないかもしれないが、こっちに注意は引き付けられるはず。案の定、オークは俺の方へと振り返り、反撃してきた。殴りかかってきたその腕を下から突き上げる。オークの腕は軌道を逸らされ、大きく空振りをすると、その間に、俺はオークの腹に連打する。爪が突き刺さり、腹が血塗れになった所で、後ろからの遠距離攻撃で倒された。


「あと、六体か」


 他の六体は俺の背後にいる。遠距離攻撃はまた進化の機会を与えるから止まった。


 さて、どいつから戦うか……


 <探知>でオーク達のダメージを探ると、おかしい。<空破>で与えたダメージが無くなっている。何かを食べて回復した様子も無いのに。何故かと考えてみれば、理由は簡単だった。


 ミコトの<ホーリーバリア>。この中は少量だか傷が少しずつ癒やされる。それがオーク達にも効果があるということだ。


「しょうがないか……」


 この障壁を消せば回復効果は消えるが、そんな事をしたら他のオークが一気に攻めて来るかもしれない。


 一体ずつ確実に倒す。これは変わらないんだ。もう一人を見れば、向こうも二体のオークを倒していた。負けていられないな。


 俺が近くのオークに向かって駆け出すと、オーク達も俺に向かって走り出した。


 まずは、手前のオークの顔面を殴り、動きを止めないまま奥のオークに向かって行く。攻撃を躱しながら、一番奥にいたオークの元まで辿り着いた。


「さあ、これでいいだろう」


 オーク六体は俺の方へと向き、後衛に背を向けている。狙い通りだ。俺の意図を察した後衛部隊が一斉に攻撃を開始する。


 炎、水の矢がオーク達に命中し、オーク達の意識が後ろへ向いた瞬間に、背後から<空波>を放つ。


 オーク六体を吹き飛ばし、体勢が崩れた所を更に一斉射撃がオーク達に降り注ぐ。これで四体。あと二体を俺が、<疾風>で止めを刺した。任された八体は片付いた。


 まあ、俺一人で倒したわけじゃないけど。でも、これで向こうを手伝える。


「こっちは片付いた! 手伝うよ」


 <双牙>と<毒手>を発動。進化したオーク二体に攻撃を当て、冒険者の傍へと駆け寄る。


「早いな。助かるぞ」

「上手く後衛と連携出来たから、こいつらも同じ要領で」

「分かった」


 そう言うと、オーク達に向かって斬りかかっていく。


 全然分かっていない……


 仕方ない。冒険者が相手をしているオークとは別のオークに攻撃を与え後衛の方に背を向けさせる。背を向けた直後には、後衛がそのオークに攻撃が集中する。弱った所で止めを刺す。


 これで五体。いや、四体か。冒険者が丁度倒していた。


「おい、さっきあの進化したオークに何かしたのか?」

「え?」

「いや、今まであの二体が邪魔で苦戦していたが、お前がこっちに来てから、明らかに動きが悪くなった。お陰で他のオークを楽に倒せるようになった」


 毒で弱体化したのか。毒で自動回復分を相殺するだけのつもりだったけど、ラッキーだな。冒険者の大剣の刀身が赤くなる。何かのアーツか。


「喰らえ! <ヒートスラッシュ>」


 赤くなった大剣でオークに斬りつければ、まるでバターを切るようにスパッとオークが真っ二つになる。あの赤い刀身は高熱で赤くなっているのか。凄い切れ味だな。


 横から襲いかかってきていたオークを横薙ぎに斬れば、これも簡単に真っ二つになった。これで障壁内に残ったのは進化した二体だけ。


 もう周りも大分暗くなってきた。


「これは、徹夜ペースだな……」


 障壁の外にいるオーク四十体と目の前の進化した二体のオークを見て、俺は溜め息を吐くのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ