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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第2章 魔王と戦争

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悪霊の使い方

 ミサオは自分がここに来た目的を語りだした。


「あたしがここに来た目的は、ブラッドの魔器を手に入れるため、ダンジョン踏破するための力を手に入れるため」

「それと悪霊と何の関係が?」

「そう言えばあたしの自己紹介がまだだったね。あたしは形代操。所謂、異世界人って奴」

「ああ。それは俺達も同じだ。俺は、渚飛鳥」

「私は聖命(ヒジリ ミコト)


 俺達も自己紹介を軽くし、ミサオは話を続ける。


「で、こっちに来たあたしの職業が人形使いっていう変わった職業なの」

「人形というと、さっきの奴か」


 ミサオは肯定すると、自分の横に一体の人形を召喚した。


「で、今呼び出した人形がPD(パーフェクトドール)。これを動かすための動力が足らないのよ。その動力と言うのが、怨念の力なの」


 成程。それで怨念を吸収するために悪霊の噂のある所を訪れているという事か。


「人形が怨念で動くというのが何故かは聞かないで。あたしも知らないから……」

「それにしてもよく悪霊の姿を確認出来たね」

「ああ。俺はあそこにモーレスの霊がいるという所までは分かったけど、姿を確認は出来なかったよ」

「あたしの人形使いの力に<霊体知覚>というスキルがあるのよ。それで普段見る事が出来ない霊体を見る事が出来るの。あなた達が見えるようになったのもそのスキル」

「じゃあ、その人形にモーレスの怨念を注入するつもりだったという事だな」

「ええ。でも、それには霊の了承を得る方法と強制的に入れる方法の二つがあるの」

「それで、さっきは了承させるために俺達を犠牲にしようとしたんだな」

「う、うるさいわね。あいつが反応したから、あなた達があいつを悪霊化させた原因と思ったのよ! 悪かったわね!」


 逆切れしやがった。ここで強めに言ってもグダグダするから、黙っておく。


「了承した方が力をより得られるのよ。了承時を一としたら、強制は〇.七かな。他の人形達を動かすのに手に入れた感じだと。それで、このPDがえらく大量に怨念パワーが必要なのよ。もうかなりの怨念パワーを注入しているけど、全然動かないから、噂を聞きつけてここに来たの。あいつの怨念パワー、かなりの物だから、きっと動くようになる」

「そうか。でも、あいつの了承を得ようと思わない方がいいぞ。たぶん、嫁にいけなくなると思う。あの感じだと怨念というよりエロパワーって感じだった」


 生前の話を聞いている限り、女への執着がすごい。間違いなく体目的だろう。霊に犯されるとかあり得ない。


「うぅ。なら、強制的に取り込むかぁ。でも、そうするとあいつを弱らせる必要があるのよねぇ」

「今まではどうしていたの?」


 ミコトの質問も尤もだ。触れない霊を弱らせるなんてどうやっていたのか知りたい。


「別に、普通に攻撃して弱った所を<シールソウル>っていうスキルを使って、封じ込めるの」


 封じ込めるのはスキルだから良いとして、普通に攻撃とは?


「いや、普通に攻撃って、霊体にどうやって攻撃するんだよ」

「え、殴るのよ」

「誰が?」

「あたしだったり、人形だったり。まさか、あなた霊体に触れないの?」

「当たり前だろ! だから、ミコトの新しい魔術で浄化してもらおうとしていたんだ」

「ふぅん。そう、なんだ……」


 だけど、弱らせるという点ではミコトが上手く<ピュリファイ>を使えばミサオの手伝いになるか。


 俺は……。攻撃することも出来ないから、囮になるくらいか……。うぅん……。でも実際役に立たないよな……。今回は。


「分かった。俺達も早くこの村を出発したいから、ミサオ。君に協力するよ」

「ありがとう。助かるわ。でも、あなた達に何が出来るの?」

「私は魔術で攻撃出来るよ。魔力を押さえないと、昇天させてしまうかもしれないけど……」

「俺は……。囮だな……。嫌だけど……」


 何か霊体とかに攻撃出来る手段を考えないといけないな。今後もそういった物理的に触れない敵が出て来ないとも限らない。


「よぉし! じゃあ、皆であいつを捕まえよう!」


 そうしてミサオと協力して悪霊モーレスを捕獲? する事になった。


 夜が明け、俺達はモーレスが現れた時の作戦を立てる事にした。それぞれの役割としては、俺が囮。奴が現れたら注意を引き付けるようにする。


 そして、ミコトが<ピュリファイ>でモーレスにダメージを与える。力加減を間違えれば、昇天して消滅するかもしれない。俺達にはどっちでも良いけど、ミサオを手伝うと行った手前、昇天させるわけにはいかない。ミコトはそれが難しいと嘆いていた。


 そして、ミサオは弱ったモーレスを<シールソウル>で人形に閉じ込めるという手筈だ。もしも、<ピュリファイ>のダメージで足りない場合は、ミサオ自身で追加ダメージを与え、再チャレンジをする。


 そして、その日の夜、昨夜と同じように村が霧に包まれる。


「昨日、がっかりして消えた癖に、今日も出るんだ」


 ミサオ、原因であるお前が言うか? だけど、出て来てくれて助かる。さあ、作戦開始だ。


「よし、じゃあ始めようか!」


 俺は早速<探知>を発動。見つけた。昨日と同じ場所に現れた。あそこに何か関わりがあるのだろうか?


「昨日と同じ場所だな。ミコト、準備頼む」

「うん」


 ミコトは<ピュリファイ>の詠唱を始める。


「ミサオ」

「分かってる」


 ミサオは俺とミコトに<霊体感知>の視覚を共有。これでモーレスの姿を見る事が出来る。


「行って来る。こっちに誘き寄せるから頼むよ」


 俺はモーレスの居る場所へと辿り着くと、気配は感じるがまだ姿を確認出来ない。


「どうした!? お前の好きな女がここにいるぞ。巨乳の女だ!」


 自分で言っていて恥ずかしい……。


 胸を強調するように胸を張って立つ。すると、黒い靄が現れ、人の姿へと変わっていく。


「出たな」

「オ……」

「ほら、お前の好きな巨乳だ!」


 そう言って俺はその場で跳ねる。それに合わせて、胸が上下に揺れる。


「オ……、ンナ……。オンナ……」


 モーレスが俺の方へ寄って来る。昨日のミサオの服を引き千切ったように俺の服を引き千切るつもりなのだろう。させないけどなギリギリまで近付いて来た所で、俺は走り始める。


「捕まるかよ!」


 そのままミコト達が待機している場所へと走り出すと、モーレスはしっかりと俺を追いかけて来た。


 よし、今の所は順調だ。モーレスの追って来るスピードはそれほど速くない。たまに止まって待たないと俺自身が見失いそうになってしまう。


「どうした?早く来ないと、逃げられてしまうぜ」


 俺の挑発にモーレスの姿が消える。しまった。距離を取り過ぎたか? だが、昨日と違って霧は晴れない。まだ近くに潜んでいるのかもしれない。そう思った時、目の前にモーレスが突如として現れる。


「こいつ。瞬間移動したのか!?」


 俺はモーレスの伸ばしてきた手を何とか搔い潜り、再び走り出す。


 そして、ミコト達のいる場所まで戻ると、モーレスが再び目の前に突如として現れる。


「ミコト!」


 俺はミコトへ合図を出すと、既に詠唱を完了させ待機していたミコトがすぐに魔術を発動する。


「浄化の光よ! <ピュリファイ>!」


 ミコトの放った浄化の光がモーレスを包み込む。


「○△□※×」


 言葉と認識するのも無理な悲鳴をモーレスが上げると、人の形を保てなくなった黒い靄が徐々に小さくなっていく。


「ミサオ!」

「任せて! <シールソウル>!」


 黒い靄を囲むように黒い球が現れる。球は靄を取り込みながら、どんどん小さくなっていき、ビー玉位の大きさまで縮んだ。


「おいで!」


 ミサオの横に人形が現れると、黒い球が人形の中へと取り込まれた。

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