表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第2章 魔王と戦争

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/227

ロックワーム殲滅

 二十体のロックワームが俺達の方へと迫って来る。ある個体は地面に潜り、別の個体はそのまま地上を這って向かって来ていた。賊達との戦闘で最前列に出ていた俺は当然ロックワームの標的になっていた。


「くそっ。気持ち悪い。うねうねしやがって。これだから虫は嫌いなんだ!」


 そう。俺は虫が嫌いだ。まだ子供に人気なカブトムシやクワガタムシ程度なら我慢は出来る。でも、特にこいつらみたいな芋虫とかミミズみたいにうねうね動く奴らは気持ち悪くて溜まらない……。


 地上にいる二体のロックワームが俺を喰らおうと飛び掛かって来たのを、後ろに飛んで躱す。<アクセルブースト>を使った俺のスピードの方が断然速い。絶対攻撃を喰らってたまるか。


 さっきまで俺が立っていた場所に二体のロックワームの頭が突き刺さる。すると、その地面から別のロックワームが飛び出して来た。ロックワーム三体が頭をぶつけその場に倒れた。


 俺一人に三体も来るのかよ。


 他個体の様子を見れば、バランたちはそれぞれ一体ずつのロックワームと対峙している。


 ミコトは、後方から<ウォーターアロー>を俺の前にいる三体に向けて放つ所だった。


 だけど、さっきいたのは二十体のロックワーム。今戦っているのは体。残り七体はどこに行った?


 ミコトの<ウォーターアロー>がロックワームに突き刺さり、暴れ出す。


「効いてはいるみたいだけど、こいつらHPが高いのか!」


 暴れている一体が、俺に体当たりをしてきた。その体当たりを躱し、ロックワームの横腹? を殴りつける。


 ガツッ。虫を殴った感触じゃない。まるで岩を殴ったように硬い。こんな硬いのにあんなにうねうね動くとはどんな体をしているんだよ。スライムブロウでは火力が全く足りなかった。すぐにフレイムナックルに装備を変える。これだけでは足りないだろう。レベルアップで取得した新しいスキルを使う。


「<パワーライズ>」


 全身に力がみなぎるような感覚が走る。その時、次の個体が体を横に薙ぎつけて来ていた。その場で飛び上がり、縄跳びのように攻撃を躱すと上からロックワームの体を叩きつける。今度はロックワームにダメージが入ったのか、感触は変わらないがロックワームが体を捩らせた。


「よし。ダメージが通った。これなら……」


 ロックワームとは戦える。気持ち悪いのを我慢すれば……。まだ誰もロックワームを討伐出来ていない。でかい図体にあったHPの高さ。でかい口に呑まれれば、一溜まりもない。それを警戒しながらの戦いに全員苦戦をしていた。


 まだ一体ずつでの戦いならバラン達は互角以上に渡り合えるようだ。流石は商隊の護衛を買うだけの事はある。気になるのは姿を消した七体。これが、どう出るのかで戦局が変わる。


「目に見えない奴より、目の前の敵だな」


 ロックワーム三体は俺の周りを囲むようにぐるぐると回り始めた。


 俺を逃がさないようにと狙いを定まらせないようにするためか。確かに迂闊に動けなくなった。早くこいつらを倒して次に備えないと。


「<ウォーターアロー>!」


 ぐるぐる回っているロックワームに水の矢が再び刺さる。その瞬間包囲網が崩れた。その隙をついて、目の前のロックワームに左右の連打を当てる。まだ倒れない。背後に気配を感じ、横に飛ぶとロックワームが口を大きく開けて飛び掛かって来ていた。


 俺が躱した事で、俺の目の前にいたロックワームにその歯が食い込むと、体を二つに噛み千切る。噛み千切られたロックワームは、分かれた体がそれぞれうねうねと蠢いていて、気持ち悪さが倍増した。


「だから、気持ち悪いんだよ!」


 分かれた体の頭の方に水の矢が突き刺さり、その直後に俺の拳が当たると、ロックワームの体が光の粒子へと変わった。千切れたもう半分も消えていく。


「やっと一体」


 残った二体に次々とミコトの水の矢が突き刺さり、目の前にいた三体全てが光の粒子に変わった。


「アスカ、大丈夫?」


 ミコトが俺の所へ駆けて来た。


「ありがとう。ミコト。助かったよ」


 ミコトに礼を言うと、ミコトはにっこり微笑んだ後、バラン達が戦っているロックワームに向けて<ウォーターアロー>を放ち始めた。


 ミコトの<ウォーターアロー>のおかげで戦っていた十三体のロックワームを討伐する事が出来た。バラン達もこちらへと集まって来る。


「お嬢さん、助かったよ」


 弓を使っていた冒険者がミコトに礼を言うと、バランもミコトに礼を言う。だが、バランは全く警戒を解いていなかった。


「お前達、助かった。だが、油断するな。まだあいつらの気配は残っているぞ。既に囲まれている」


 バランの言葉と同時に七本の土の矢が俺達に向かって地面から飛んできた。


「ちっ」


 皆が後ろに飛び土の矢を躱すのと同時に地面の中から七体のロックワームが姿を現す。


「あ……」


 冒険者の一人がロックワームの大きな口の中に吞み込まれる。


「くそぉぉぉ。やりやがったなぁ! 虫けらが!」


 バランが仲間を丸呑みしたロックワームに剣で斬りつけるが、その攻撃ではロックワームを倒す事は出来ない。仰け反りはしたが、怒り任せに攻撃したバランの隙を見逃さず、別の個体がバラン目掛けて体当たりする。


「くそぉっ!」


 ロックワームの攻撃でバランは吹き飛ばされてしまった。吹き飛ばされたバランは痛みに悶え苦しんでいるが命に別条は無さそうだ。良かった。


 七体のロックワームはバランの追撃に向かわず、こちらを取り囲んだままだ。奴らに目があるように見えないが、気配で分かる。こいつらは、俺とミコトの方をじっと見ている。


 俺に関していえば、このぶっ壊れたAP値のせいで標的にされているのだろう。じゃあ、何故ミコトも狙うのか。それは、おそらくミコトの<ウォーターアロー>が原因だ。この面子で一発の威力が最も高いのがミコトの<ウォーターアロー>なのだろう。


「ミコト!」


 俺はミコトに魔力回復薬を渡す。ミコトはそれを一気に飲み干す。


「ありがとう。アスカ。助かったよ」


 そう言うと、ミコトは俺達の周りを<ウォーターアロー>で囲む。その数三十本はくだらない。


 ロックワーム達の動きが止まった。俺達を囲む水の矢を警戒しているんだ。


「ジェフの敵を取らせてもらう。爆ぜろ!<爆裂矢>」


 弓使いが弓を目の前のロックワームに向けて構える。鏃が赤く光っている。今使ったアーツの効果なのだろう。


「喰らえ。俺の最強コンボだ! <必中><追尾><拡散>!」


 弓使いの放った一本の矢が七本に増えると、七体のロックワーム達に向かって飛んでいく。ロックワーム達は再び動きだし、その矢が当たると爆発を起こす。


 これは、賊との戦闘開始の合図代わりにも使ったアーツだ。だが、弓使いの最強コンボはロックワーム達には然程ダメージが入っているようには見えなかった。弓使いが悔しがっている所に、ミコトが追撃で水の矢を全て解き放つ。


 水の矢は何本か避けられ、外れたりしたが、三体は光の粒子と化した。残る四体も瀕死のように見える。


「うぉおお」


 俺を含めた他のメンバーが残った四体に追撃に出る。俺は、両手に<紅蓮>、<双牙>を使う。


「これで止めだぁ! <疾風>!」


 左右の高速の突きがロックワームの体に突き刺さる。<双牙>による効果で実質四発の<疾風>を受けたロックワームは光の粒子と化した。振り返れば他の三体も光の粒子と化している。こっちの犠牲は喰われた一人の冒険者と体当たりの直撃を受け、動けないバランのみ。


 二十体のロックワーム相手にしては上々の結果だと思う。俺とミコトはバランの元へ駆けつけ、ミコトが<ヒール>でバランの傷を癒す。


「駄目だ……。早く、ここから逃げろ」


 バランが必死に声を絞り出し、逃げるように促す。俺達が不思議そうにバランを見ると、背後から冒険者達の悲鳴が聞こえて来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ