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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第1章 救世主と聖女

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試練の塔攻略2

 第一階層を何とかクリアし、次の階層へと転移された俺達の目の前には、大きな広間があった。部屋そのものが塔の中だというのにドーム状の作りになっている。


「どうして?」


 ポーラが疑問の声を上げる。この部屋に何か問題でもあるのだろうか?


「どうしたんですか?」

「ここは、私が踏破した時の最後の階層だった場所よ」


 それはつまり、ここをクリアすればプリメラに会えるということなのか? でも、今この部屋には俺達以外誰も居ないし、何も無い。試練なんてどこにも無さそうなんだけど、このまま何も無いということは有り得ないだろう。


「さっきも違ったんだろ。だったら、次も違っていてもおかしくないさ」

「そう……ね。取り敢えず中心に行ってみましょう」


 ポーラの提案に俺達は部屋の中心へと歩くと、床に五つの転移陣が現れる。


「転移陣?」

「違うわ。あれは召喚陣よ! 来るわよ!」


 ポーラの言葉と同時に5体の剣を持った石像が姿を現した。ミコトを後ろに下がらせ、武器を構える。出し惜しみ出来るような相手には見えない。両手にファイアナックルを装着すると、石像達が剣を構えた。


「剣士タイプがいきなり五体なんて……。難易度上げ過ぎでしょう」


 ポーラのボヤキを聞くと同時に石像達がこっちに攻めて来た。ポーラは剣で攻撃を受け止めるが、少し力負けをしている。少しずつだが、ポーラの体に剣が近付いていく。


「くっ。前より強い……」


 嘘だろ。前より強いって。そんなのが五体同時だと。


「動きも速いし、力も強い。試練っていっても限度ってものがあるだろうが!」


 <アクセルブースト>を使い、俺の方へとやって来た二体の攻撃を躱すと石像の顔に拳を叩き付けてみれば、予想通り硬い。


「やっぱり硬いな。でも!」


 これまでのモンスターと違い、少しはダメージが入っているようだ。俺のパンチで石像が一瞬怯んだ。ほんの一瞬だけど。


「ミコト! <アドバンスギア>使って、走れ!」


 石像の一体がミコトに向かって走っていく。ミコトは頷き、自身に<アドバンスギア>を使うと、壁に向かって走り出した。


「よし、すぐに助けるからな!」


 俺の一言が気に触ったのか、二体の石像の攻撃が激しくなった。ポーラも二体を同時に相手にして、身動きが取れない。恐らく、ポーラを基準にこいつらの強さが設定されている。だったら、何もかも出し惜しみなんかする余裕は無いよな!


「これでも喰らっとけ!」


 初撃を当てた石像の顔面を再び左拳で殴り、続けて右拳を叩き込んだ。


「<衝波>ぁ!」


 <衝波>の威力に石像が後ろに倒れる。


「よし! 効いた!」


 倒れ込んだ石像を助けるように、もう1体の石像が剣を横に振り払い、その攻撃を後ろに飛んで躱した。


「止めをさせなかったか。石像のくせに連携が取れているな」


 後ろに飛んで距離が開いた間に倒れた石像も起き上がって体勢を整えている。だけど、今の<衝波>は良い牽制になったみたいだ。すぐにこっちに攻めて来ない。俺の出方を伺っているみたいだ。


 今の内に、<練気>で使ったOPを回復しておく。ズズン。大きな音がしたのでそちらを見れば、ポーラが一体の石像を切り崩していた。そして、次の石像に攻撃を始める。


「流石。俺も頑張らないと」


 石像達が剣を振り被り、攻撃動作に入った。こんなに離れた距離からの攻撃? アーツか!

 二体の石像が剣を振り下ろす。俺は咄嗟に横へと飛び退くと、数秒後には壁と何かの衝突音が鳴った。遠目で壁を見ると、二本の線が壁に入っている。たぶん、見えない斬撃を飛ばしたんだろう。


「避けて正解だったな。くそっ。遠距離攻撃もあるのかよ」


 再び二体の石像が剣を振り上げ、今のアーツを放とうとしている。狙いを定められないようにジグザグに走りながら、距離を詰める。


「まずはお前だぁっ!」


 再び見えない斬撃を放った石像の胸に<衝波>を当てれば、ボロボロと体が崩れ落ちた。


「きゃっ」


 ミコトの悲鳴が聞こえ、そちらを見てみれば、石像の振り下ろす剣が真っ二つに割れ、ミコトの目の前の床に刺さっていた。さっき俺に向けて放った見えない斬撃が振り下ろした剣を折ったみたいだ。運がいいぞ。剣が折れた石像は、ミコトを捕まえようと手を伸ばしている。


「<ファイアアロー>!」


 ポーラの放った<ファイアアロー>がミコトを捕まえようとしている石像の顔面に直撃する。ボンっと爆発した隙にミコトが石像から離れていった。<ファイアアロー>を受けた石像は、ターゲットをポーラに変更したらしく、ポーラに向かっていった。ポーラならあいつが合流しても何とか出来るだろう。


 一先ずこれで目の前の石像に集中できる。とはいえ、今の俺はOPもMPも空っぽの状態だ。回復アイテムを使う……余裕はないか。


 石像が俺に向かって距離を詰め、剣を連続で斬りつけてくる。一発でも受ければ俺の体は簡単に切断されてしまうだろう。躱し続けながら、回復薬を使うのは無理だ。


「<アドバンスフォース>!」


 自分に敵が来なくなり余裕が出来たミコトが俺達に<アドバンスフォース>を掛けてくれた。少しは与えるダメージも増えるはず。


「いつまでも、しつこい!」


 縦に振り下ろされた剣を半身ずらして避けると同時に石像の顔面に拳を叩きつける。石像が一瞬だけ怯む。反対の拳で更にもう一撃。効いているようには見えないが、まったく……。壊れるまで殴ってやる。


 拳の間合いに入ってしまえば、剣を振り回しにくいのか石像は剣を使ってこない。このままいけるか! そう思った矢先、石像の拳が俺の腹に命中する。


「ぐぅっ……」


 俺の動きが一発で止まる。こいつ、やっぱり力が強い。ポーラの一撃より重い。動きの止まった俺に石像が剣を振り下ろす。腹の痛みを堪え、横に転がり避けようとしたが、完全には避ける事が出来ず、背中を斬られてしまった。腹と背中の痛みを我慢して、立ち上がり大きく息を吸い込むと体勢を整える。


「ふぅぅっ」


 石像が斬りかかってきた。その動きに合わせて、剣を持っている手を狙って拳を突き出した。石像の剣を握る手と俺の拳がぶつかったと同時に、石像の横を抜け背後へと回る。


「よし、今だ」


 石像が振り向いている間に、<空納>から魔力回復薬を二本取り出し、一本を一気に飲み干した。すぐに<錬気>でOPを回復すると、残りの一本も一気に飲み干す。こんなに魔力回復薬を消耗するとは思ってもいなかった。もっと買い込んでおくべきだった。


「さあ、準備は出来た。いくぞ」


 まずは一撃! 腹に<衝波>を叩き込み、<錬気>でOPを回復。石像の攻撃を躱し、顔面にもう一撃<衝波>を当てると、石像が崩れ落ちた。


「よし、残りは?」


 ポーラの方を見てみれば、丁度残った二体がボロボロと崩れる所だった。


「アスカ、こっちは終わったわ。そっちも終わったのね」

「傷を癒します。待ってください」


 ミコトの<ヒール>で傷を癒すと、俺達は座り込んだ。


「流石にきつかったな。少し休憩しようぜ」

「そうね。少し休みましょう」


 <空納>の中から、再び魔力回復薬を飲み、一息つく。


「この調子だと、買い込んである魔力回復薬をこの試練の塔で使い切ってしまいそうなんだけど。参ったな」

「私が一緒に来たから、ファミリアのレベルが上がってしまったのね。ごめんなさい」

「そんな事無いですよ」

「そうだな。感謝こそすれ、迷惑なんて思った事は一度も無いよ」

「そう言ってもらえると助かるわ」


 <空納>の中にある魔力回復薬を確認すると、残り二十本だった。つまり<衝波>は二十回しか使えない。この先は今の戦闘よりきつくなるのは目に見えている。心許ないけど、これで何とかやるしかない。ステータスプレートを確認すれば、レベルが上がって十二になっていた。新しいスキルは……。残念ながら何も無い。まあ、当然か。


「それじゃあ、そろそろ行くわよ。この先、私にもどうなるのか分からないから、十分注意してね」


 俺とミコトは頷き、石像を全部破壊して現れた転移陣の中へと入って行った。

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