表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第1章 救世主と聖女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/227

旅は道連れ

 アルの話を聞いた俺は旅に出る事を決意した。ポーラとミコトの顔を見た俺は二人に決意を語る。


「ポーラ、ミコト。俺はこの村を出るよ。旅に出る」

「そう。今のアルの話を聞いたからでしょうね」

「ああ。すまない。せっかくポーラが俺の面倒を見てくれるって言ってくれたのに」

「あら、まるで別れ話でもするような言いぐさね」

「え、だってそうだろ。ポーラはこの村のギルドを鍛える為に、お父さんからこっちに派遣されたんだろう。だったら、君はここに残らないと」

「関係ないわよ。あなた一人じゃ危ないから私も付いて行ってあげるわ」

「僕もいるから大丈夫だよぉ」


 ポーラはアルの話は聞かなかったように続ける。


「それに、あなたが元に戻るのを手伝うと言ったのよ。だったら、あなたに付いていくのは当然の事よ」

「いいのか?」

「ええ」

「ありがとう。ポーラが来てくれると心強いよ」


 ポーラは微笑んでいたが、真剣な表情に変わるとミコトの方を見た。


「ミコト、そういう事で私達は近い内に旅に出ると思うのだけれど、ごめんなさい。姉さん達が見つかるまでという約束だったけれど…」

「その事なんだけど、ミコトも俺達と一緒に来ないか?」


 俺の誘いに二人共驚く。


「君の魔術があると助かるんだけど、無理にとは言わないよ」

「少し考えさせてください……」

「ああ、すぐに返事をくれなくても大丈夫。考えてみてくれ」


 話を終えると、アルの事を早めに話をしておいた方がいいだろうと、ギルドへと向かった。


「パル、マスターはいるかしら?」

「おはようございます。ポーラさん、アスカさん。ミコトさん。マスターは今、奥で話をしている所です。少しお待ち頂けますか?」

「分かったわ」


 マスターは話し中なのか。仕方がない。待つとするかな。


「と、所でアスカさん。それは何ですか?」


 パルが俺の肩に止まっているアルを指差して質問してきた。怖がっているというよりは、触りたいといった感じのようだけど。


「僕はぁ、アルだよぉ。宜しくねぇ」

「し、喋ったぁ! か、可愛い! アスカさん! 触らせてください! 抱っこさせて下さい!」


 凄い勢いだ。アルも引いているじゃないか。


「僕はおもちゃじゃないよぉ」


 パルの勢いにアルは慌てて俺の後ろに隠れる。


「うぅ……。触りたいです……」

「あはは……」

「あの子、嫌だぁ……」


 余程嫌だったのか、アル、声に出ているぞ。声に。ほら、パルがショック受けて泣きそうだ……。すると、ナイスタイミングで奥からマスターが戻ってきた。


「おい、何の騒ぎだ。さっきから騒々しいぞ」


 マスターは俺達に、いや、ミコトに気付き、丁度良かったとばかりに話を始めた。


「おぉ。聖女さん。あなたもいらっしゃったのか、丁度良かった。探す手間が省けたよ」

「私に何か御用が?」

「ああ。先に俺の用件を話しても?」

「ええ。構いません」

「ありがとう。助かる。実は、今エスティのマスターから連絡があってな」


 エスティの冒険者ギルドマスターということは、ポーラの父親か。


「マリーさん達。あなたの従者達だが、どうやら女神の試練の塔に転移されていたそうだ。皆、無事で塔を登っている最中なのだと」

「マリー達は従者じゃありません! でも、良かった。皆、無事だったんですね……」


 ミコトの目にうっすら涙が浮かんでいた。相当心配をしていたようだ。


「ミコト、良かったわね。まあ、姉さん達の事だから、心配はしていなかったけれど」

「所で、私に用とは何だったんだい?」


 マスターが俺達の用事を確認すると、アルがひょいっとマスターの目の前に出てきた。


「僕の事だよぉ」

「うぉっ! ドラゴン! しかも、しゃべった!」


 マスターはアルをじっくりと観察している。じっと見られてアルは何だか照れくさそうだ。俺は、マスターに事情を説明し、アルが危険なモンスターとは違う事を村長にも伝えて欲しいとお願いをした。


「ふむ。まあ、お前達がそう言うのならそうなのだろう。それに、こいつは危険そうには確かに見えないな。分かった。伝えておこう」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 俺は礼を言うと、俺とミコトはギルドから出ていった。ポーラはまだ少しマスターに話があると残っていた。宿に戻る道中、ミコトが俺に話をしてきた。


「アスカさん、その、さっきの話ですけど……」

「さっきの話?」

「はい。一緒に旅をしないかと」

「ああ。さっきも言ったけど答えは急がないよ」

「いえ。その旅ですけど、エスティまでご一緒させてもらってもいいですか?」

「そっか。マリー達に追いつくのには、確かにここにいるより向かった方が早いね。それじゃあ、よろしく頼むよ」

「いえ、私の方こそ自分勝手でごめんなさい。よろしくお願いします。アスカさん」


 俺は立ち止まるとミコトに握手を求める。それに応え、ミコトが握手する。


「よし、じゃあ、これから一緒に旅をするんだ。“さん”付けは無しだ。俺だってミコトってずっと呼んでいるんだし」

「はい!」


 ミコトが笑う。可愛い……。守ってやらないといけないよな。


「アスカぁ、何で照れているのぉ?」


 アルが俺の顔を覗き込み、からかってきた。


「照れてないよ。アル、何言ってんだよ」

「うふふ」


 宿に着いて、部屋に帰ると暫くしてポーラが戻って来た。


「ただいま。ふぅ。色々あって疲れたわね。お風呂でゆっくりしたい気分だわ」


 帰ってくるなりお風呂ですか。


「ミコトもどう?」

「はい。ご一緒します」

「じゃあ、行きましょう。アスカ、見たら駄目よ」

「分かっているよ」

「え、アスカも行くの?」

「そうよ。だって、この体で男湯に入らせるわけにもいかないし、一人で入らせるのもね。誰か女性が入って来ても困るでしょう」

「入るときはポーラに連れられて、目を瞑っているんだ」


 ミコトは悩んでいたが、意を決し風呂へ一緒に行くことにした。脱衣所に着くと早速俺は目を瞑る。そして、ポーラに手を引かれ浴室へと入って行った。


「所で、旅に出る話なのだけど……」


 ポーラがこれからの事を相談したいと話を切り出した。


「アスカ、エスティにまず向かっていいかしら?」

「ああ。ミコトもそこまで一緒に行くことになったから構わないよ」

「あら、そうだったの。それもお願いしようと思っていたのだけれど、話が早くて助かるわ」

「そうだ。エスティで思い出した。さっきマリー達が転移していたっていう女神の試練の塔って何なんだい?」

「女神プリメラ様に会うための試練の塔よ。そこを昇った最上階にプリメラ様が居て、そこまで行けばお会いになる事が出来るわ。そこで、神器を授かるのよ」

「そういえば、セレスも神器がどうのと言っていたけど、ポーラも登った事があるのか?」

「ええ。まだ、向こうにいた時に。そうね。力をつけたいのなら、あなたも挑戦してみるといいかもしれないわね」


 いいな。試練という位だ。力試しには持ってこいかもしれない。神器とやらももらえれば戦力増強になりそうだ。


「ああ。是非」

『プリメラの所に行くのぉ? なら、僕もプリメラに話があるから丁度いいねぇ』


 アル? 風呂に付いてきていたのか?


「アル。お前女神様と知り合いなのか?」


 俺の言葉にポーラが首を傾げるのが分かった。


「アスカ。アルはここにいないぞ?」

「え? でも、声がしたけど。それに、俺達の会話も聞いていたみたいだったぞ」


 俺は思わず目を開けてアルを探し、ポーラとミコトの裸を見てしまった。あ、ミコト。着痩せするんだ。今の俺とまでいかないけど、中々大きい……。


「アスカ! だから、目を開けたら駄目と言ったでしょう!」

「きゃああああああ」

(見られた、見られた、見られた……)


 ポーラの一撃でまた気を失った……。


『アスカぁ、ごめんねぇ……。これ、念話だよぉ』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ