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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第1章 救世主と聖女

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旅立ちの決意

 俺達はファイアリザードとの死闘を終え、アルの説明を受けるために村まで戻って来た。だが、道中、ふと思った俺の心配が的中してしまった。


「アスカにポーラ、こんな朝早くどうした……? モ、モ、モンスター!」


 村の入り口で出会ったファーマスが俺の肩に止まっているアルを見て騒ぎ始めた。やっぱり、こうなるよな。これが普通の反応だよな。でも、アルが居ないことには話が進まない。


「あ、ファーマスさん。大丈夫ですよ。こいつは人を襲いません」

「いや、襲わないって言われても。君たちは信用出来ても、モンスターを信用なんて出来ないだろう?何か起きてからじゃ遅いよ!」


 困ったな。人を呼んで村に入らせないようにしそうな勢いだ。どうすれば納得してもらえるのか? 俺達が悩んでいるとアルが喋りだした。


「ねぇ。さっきから僕の事モンスター、モンスターって言っているけどぉ、僕、モンスターじゃないからねぇ」


 その姿でモンスターじゃなかったら何なんだという皆の冷たい視線を他所にアルは続ける。


「こう見えても、○□※の使いなんだからぁ。ある意味、神様と言ってもぉ、過言じゃないんだよぉ」


 ノイズのせいで何の使いかは分からないが、神の使いだって?


「い、いや、ド、ド、ドラゴンが喋ったぁ」


 またそこか! 神の使いというより、喋った事に驚いている。


「喋るドラゴンなんて聞いた事もないよ。うーん。まぁ確かに見た目は恐ろしくはないね。寧ろ、可愛いといえるか」


 お、少し風向きが変わったかな?確かにアルの見た目は恐ろしいというより可愛い見た目をしている。


「分かった。君たちを信用しよう。でも、本当に人を襲ったりしたら、ギルドに討伐依頼を出すからね」

「ありがとうございます」


 ひとまずファーマスの理解は得られた。後でギルドに行って村長にも話を通してもらうようにしよう。とりあえず、宿に戻って話を聞くか。


 陽が昇ってすぐという事もあって、農夫のファーマス以外とは宿まで出会うこともなく、無事に戻れた。宿屋の主人グルターも朝食の用意をしているのか入り口にはいなかったから丁度いい。俺達はすぐに部屋に駆け込んだ。


「さてと、何とか部屋に戻れたな。それじゃあ、アル色々と話を聞こうか」

「いいよぉ。何から聞きたいぃ?」


 俺の肩から降りて、ベッドの上にちょこんと座る。


「そうだな……」


 聞きたい事がありすぎてどれから聞こうか。俺が悩んでいると、ポーラが先にアルへ質問を投げる。


「まずは、あなたは何なのか教えてくれるかしら?」

「うん。さっきのおじさんに話した通りだよぉ。○□※の分体さぁ」


 またノイズだ。何でノイズが聞こえるんだろう。


「何の分体なのかしら? ザァーっていう音で聞き取れないのは私だけなの?」

「いや、俺も聞こえないよ」

「私も聞き取れませんでした」


 アルが首を横に振る。


「うぅん。世界が秘匿しているからねぇ。僕の本体の事。いずれ時が来れば分かると思うよぉ」


 世界が秘匿するってどんな存在なんだ。


「他にはぁ?」

「アル。お前、俺が召喚された理由を知っているみたいだったけど、それは何なんだ?」

「あぁ。それはね。君にこの世界を救ってほしいのさぁ。所謂ぅ、救世主ってやつぅ」


 え。何か突然スケールがでかくなったんですけど。


「君をそんな体にしたあいつを退治して欲しいんだよねぇ。っていうか、君しか出来ないのかなぁ?」

「俺に聞かれても分からないんだが。だけど、俺にこの呪いをかけた奴をお前は知っているんだな」

「知っているよぉ。話すと長ぁくなるけど、聞きたいぃ?」

「ああ。是非!」


 俺の呪いを解く手がかりだ。聞かないなんて選択肢はない。


「まずぅ、今この世界は三人の女神、三人の魔王が統治しているのは知っているよねぇ」


 ポーラとミコトが頷く。え、俺だけ?知らないの。ポーラはともかく。異世界人のミコトも知っているの……。


「元々はそんな世界じゃなかったんだよ」


 アルが言うには、元々はこの世界に六人もの神は存在しなかったらしい。ある時、世界を滅ぼそうと異世界からやってきた奴からこの世界を守るために六人の神が生まれた。そして、そいつから世界を守った後、今のように六人の神がそれぞれの土地を守護するようになった。だが、そいつは死んだ訳じゃなく、隠れていただけ。そいつの力で世界が少しずつ破滅に向かっており、三人の魔王はそいつの力に負けて闇に堕ちた神の成れの果てだという事。


 そして、その内の一人が荒廃する自分の領土を守り、侵略するために異世界から人を召喚した。それに合わせて他の女神、魔王も召喚を行ったため、異世界との繋がりが強くなり、アルの本体が俺の存在に気付き、こっちに召喚をしたらしい。


「それでぇ、君を召喚する時にそいつにも感付かれて、呪いと召喚先をずらされちゃったんだよねぇ」

「それじゃあ、あなたがここに現れたのは、アスカを探してやってきたという事かしら?」


 アルはベッドから飛び立ち、ポーラの顔の前に近付くと、うれしそうに言った。


「ピンポォン。大正解ぃ。アスカ、宝箱開けたでしょぉ。あれが、君の居所を教えてくれたんだよぉ」


 今度は俺の前にやって来て、頭の上に止まった。


「で、その洞窟に僕が転移したらぁ、あいつが追いかけてきたのぉ」

「何でセティフの洞窟は消えたんだ?」

「あぁ、あれ。僕の転移の衝撃で吹っ飛んじゃったぁ」


 転移で吹っ飛ぶって、どんなエネルギー量しているんだよ。


「それじゃあ、マリー達が消えたのは?」

「うん? 知らないよぉ。僕、何もしてないぃ」


 ミコトがしょんぼりと落ち込んでいる。やっぱりマリー達が気になるよな。


「じゃあ、あとはあのファイアリザードに光の粒子にならなかったのは?」

「あれはぁ、あいつの力が働いていたから。光の粒子になるのを防がれていたんだよぉ」


 そんな事をして何の意味があるんだろう?


「あ、何故って顔しているねぇ。あれ、あのままにしていたら、ゾンビ化して更に強力なモンスターになっていたんだよぉ。だから、そうなる前に食べちゃったぁ。と、そうだぁ」


 アルはふと思い出したように、俺の手を握ると、


「はい。あげるぅ」


 俺の手の中に大きな鱗が二枚現れた。<鑑定>するとあのファイアリザードの鱗らしい。


「どうしたんだ? これ?」

「あいつのドロップアイテムだよぉ」

「それは分かる。鑑定したからな。どうやって俺に渡した。まさか、う……」

「失礼だなぁ。ちゃんと、僕の胃の中から呼び出したんだよぉ。本来得られるはずだったアイテムだよぉ」


 ま、まあそういう事にしておこう。じゃないと、使いたくなくなってしまう。とりあえず、アルの話が全部本当のことなのかどうかはともかく。俺がやらないといけない事がなんとなく分かった気がする。救世主になるなんて、実感湧かないしどうだっていいが、俺に呪いをかけた奴をアルが知っている。そして、そいつはあのファイアリザードを使い走りにするような奴だ。俺が元に戻るには、もっと強くなる必要がある。それにはこの村じゃ無理だ。周りの敵が弱すぎる。


 決めた。旅に出よう。もっと力をつけるんだ。そして、俺に呪いをかけた奴をぶっ飛ばして、元に戻る。その結果、世界が救えるんなら、一石二鳥ってもんだ。


 やってやるぜ!


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